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23.
「わかったよ、直矢! お前の言う通りにするから、まずは夏帆から助けろよ!」
と、拓海が叫んだ。
「拓海!」
私は反対したかった。だって、直矢は直矢であっても、私達の知ってる直矢じゃないもの!
それに、3階からなら落ちたって助かる……かどうかわからないけど、こんな直矢の言うことを聞く拓海でいてほしくない!
「いいから、夏帆は黙ってろ!」
拓海に初めてきつく怒鳴られて、私は口をつぐんでしまった。
「ふっ、いいよ。そうくると思ったし。夏帆の乗ってる枝、もう折れそうだぜ? だからだろ? でも男に二言は無しだぜ?」
「わかってるよ!」
「じゃあ助けてやる。」
直矢は手にしていたロープを放ってきた。
「夏帆、それに掴まれ!」
直矢が叫ぶ。
「そのロープを掴んで、ゆっくり下まで降りるんだ。」
下を見ると、ロープは地面にまで垂れていた。
「大丈夫だよ、拓海、上でしっかり握ってるから。夏帆、降りろよ?」
直矢に言われ、私はぎゅっとロープを掴んだ。
ロープは上下にぎゅんぎゅんと揺れた。
私は手を熱くさせながら、下まで降りた。
「次は拓海の番よ!」
直矢は何も言わずに、拓海にロープを投げた。




