22.
「は!? 何言ってんだよ! あっ!」
拓海がスッポリはまってる枝が、ギシギシと鳴った。
「拓海!」
私は悲鳴を上げそうになった。
「そこから落ちてもいいけど、助かっても重症だぜ? 俺には関係ないけどな。
アーモンドのカードさえ手に入れば、まずはアーモンドの実を出して土に植える。
そしたら雨が降ってくるんだ、この国は。アーモンドの樹はすぐに育つ。
そのアーモンドの実欲しさに、モンスター共がやってくる。何と言っても、ここでは、ご馳走だからな、アーモンドの実は。
だけどねぇ……。」
直矢はロープをゆらゆら揺すって見せながら、話を続ける。
「商人が隠れているんだ、この国に。モンスター共しか元々はいなかった何も無い国さ。
そこに、俺のいた国から商人が逃げた。あいつらは、今、召喚の術を勉強している。アーモンドのカードを手に入れるためだろう。
俺らがドラゴンを退治したことも、もう知ってる筈だ。
またドラゴンなんか召喚されたら、たまったもんじゃない。ま、ドラゴン召喚は、余程の腕が無いと、まず無理だけどね。アーモンドのカードも。そんな商人はなかなかいない。
ただのモンスター共は、アーモンドの実をやれば大人しく従うさ。あいつらにアーモンドの実は育てられないし、盗む知恵も無い。
商人は違う。泥棒になって奪いに来るからな。アーモンドのカードを取られたら、商人が国王になっちまう。
アーモンドの実はここでは、一番の権力の象徴なんだ。お前らが変なところでカードを使わないか、ヒヤヒヤしたよ。」
「くっそ……。」
拓海は必死に態勢を整えようとした。
「無駄無駄。そのうち枝が折れて、二人とも、まっさかさま。それより、俺の家来になれよ? 商人からアーモンドを守ってくれ。」
「バカにするなよ! 直矢!」
「直矢ねぇ……。ま、たしかに直矢って名前だけどさ、これからは国王と呼んでもらわないとな。」
次第に私がはまってる枝も、ギシギシとイヤな音を立ててきた。




