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19.
拓海が言った。
「俺、隣の部屋で寝るから、夏帆はここでゆっくり休めよ?」
と、直矢のいる部屋とは反対のほうを指差して言った。
「一人じゃ怖い!」
言って、ハッとなった。
みるみる顔が真っ赤になっていった。
「バカ! 一緒の部屋にいられるかよ!」
「でもでも……。」
一緒の部屋なんて緊張しちゃう!
でも、こんなところに一人なんて、もっとイヤ……。
私は俯いてしまった。
そして、ふと思い出した。
こんなところ……。
直矢はさっきも、「こんなところ!?」と怒っていた。
なんで……。
でも、今は拓海とのことのほうが気になる。
「お願い! 一人はイヤ!」
「わかったよ! じゃあ俺、向こうで寝るから、お前ここな!? 動くなよ!? 襲うからな!」
拓海は部屋の隅に行き、ゴロンと横になった。
私は、緊張して、体が動かない。
静かだった。
物音一つしない。
今、何時かもわからない。
「ねえ、拓海……」
「何だよ!?」
拓海、怒ってるのかな……?
私はしょげてしまいそうになりながら、聞いた。
「直矢、ここを私が「こんなところ」って言ったら、怒ってたよね? あれ、なんでかなと思って……。」
知らねえよ! と言われるかと思ったけど、拓海はムクッと起き上がった。




