18.
薄れいく景色の中で、遠くに見えたもの、あれは……。
目が覚めた時、私は寝そべってるようだった。
体が痛い。
古びたベッドとテーブル、椅子、いくつかの調度品が見えた。
窓の外は夜のようで、月がスーパームーンのように大きかった。
蝋燭の燭台が見えて、ゆらゆら光ってる。
拓海と目が合った。
「大丈夫か?」
拓海の心配そうな眼差しに、胸がドキンと鳴った。
「う、うん……。私、どうしたの?」
どうやら、拓海が通路から飛び降りた時、気を失ったようだった。
拓海はあのあと、ドラゴンの胸に剣を刺すと、ドラゴンは息絶え、倒れたドラゴンの体の上に落下したようだった。
「3階から落ちたって、骨折るくらいだよ、大丈夫。」
「折ったの!?」
「折ってない。全然、どこも何ともない。」
拓海は、もうその話はいいから、といった顔つきになって目を逸らした。
拓海ってこんなに大人びていたかな……。
「それより、体、本当に大丈夫なのか?」
私に視線を戻した拓海は、熱い眼差しで聞いてきた。
胸のドキドキが止まらない。
「う、うん、私も大丈夫みたい……。」
「痛いところとか、ないの?」
「うん、大丈夫……。」
拓海はホッと息を吐き出した。
「やっぱり女の子なんだな……。」
そっと呟く拓海の黒い眼差しは、とても煌めいていて、それでいて温かく優しいものだった。
「直矢は?」
「あいつは隣の部屋で休んでる。一人にしておいてほしい、て。何かあったら呼べよ、とは言っておいたけど……。」
「うん……。」
月が向かって右に少しずつ動き始めた。それにつられて、拓海の顔も今までより明るく見えた。
「ごめんな、こんなことになって……。」
「拓海が謝ることじゃないよ。」
「うん、でも……。」
そこで私達は言葉が途切れた。
二人だけで一つ屋根の下に、いつまでもいたかった。
でも恥ずかしい。
拓海はどうするつもりなのだろう。
拓海が何を考えてるか知りたくて、拓海の目を覗き込んだ。
「何だよ、可愛い顔で見るなよ。」
照れたように、明るく笑いながら拓海は言った。
……ああ、いつもの感じの拓海だ。
私はホッとした。
さっき、急に大人びたような顔を見せた拓海を見てドキッとした。
今は、いつもの拓海の笑顔を見て、ドキッとして……ん?
……可愛い顔……。
そ、そ、そんな私、自分の顔に自信なんてない。
「……可愛くないよ。」
「可愛いよ。」
「……可愛くない。」
「だから、可愛いって!」
私達はちょっとじゃれ合うように言葉をかわした。
このあと、どうしよう……。
「あのさ……。」




