15.
お城は黴臭かった。
何の石かわからない石造りの城で、5階建て位の、でも面積はそれ程広くない城だった。
……綺麗にしたら、中世の可愛い、お城ぽくなりそう……。
と、思ったものの、クモの巣は生えてるわ、変な虫は飛んでるわ、臭いわ、何が出るかわかったもんじゃ……。
そう、何が出るかわかったもんじゃない。これが一番、怖いのだ!
直矢は、
「俺、頭痛い。休むわ。」
と言って、体を横にできる場所をキョロキョロ探した。
「直矢、大丈夫……? でも、私は怖くて無理、こんなとこ……。どうしよう……。」
「こんなとこ!?」
「……?」
なんで直矢がムッとした口調で言うのか、わからない。
私も拓海もお互い、顔を見合わせた。
バサバサッ!
変な虫が飛んできた。
「キャッ!」
「あっ!」
私と拓海は同時に叫んだ。
「これだよ! これが、俺がさっき捨てた蛾だよ!」
「ええっ!?」
手の平サイズの蛾は、我が物顔で飛び去った。
また私の腕に鳥肌が立った。
「異世界転生とか、本当にあるってことだな。」
直矢はそう言うと、お城の中をスタスタ歩き、とある部屋の前に行った。
重厚だけどボロボロの木の扉を開けると、テーブルやベッドが見えた。
……本当に、中世のお城みたい……。
「俺、ここで寝るわ-。」
「お前、よくこんな、くせーとこで寝られるな。」
「臭いか?」
直矢はキョトンとしている。
「本当に直矢、頭打ってるのかも……。どうしよう、病院に連れて行かなきゃ。」
「ああ、そうだな。嗅覚効かないて、ヤバイって聞いたことある。」
拓海はグッと歯を食いしばったあと、ふとカードを見た。
それは「?」マークのものだった。
「一か八かでこれ使うかな……。」
拓海は心配そうに私を見た。
何もしないよりは良いと思い、私は頷いた。
バシッ!
拓海がカードを床に叩きつけた。
ボワン!
天井まで蒸気が上がった。
「え……まさか……。夏帆! 直矢! 逃げろ!」
ドラゴンが現れたのだった。




