表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/27

12.

拓海は、あ、ヤベッといった顔になった。



「あ、はじめまして……。」



私は簡単に自己紹介をした。胸がドキドキする。



今日から付き合ってます、どうのこうのなんて、言えない。



「拓海の彼女?」



「そうだから! もう行って?」



「デートなら、今日の買い物はやめていいわよ? 明日でもいいし。」



「わかった。わかったから、もう向こう行って?」



拓海のお母さんは小柄で、サラサラのボブヘアで、さすが愛加里さんのお母さんといった綺麗な人だった。



「凄く気持ちの悪い虫が出て、拓海に捨ててもらってたのよ。あの子は、外国から入ってきた蛾て言い張るけど……。それより、待ったでしょう? ごめんなさいね。」



それはそうだ。手の平サイズの蛾なんて、聞いたことない。



でも、拓海のお母さんに優しそうに言われて、私は少し肩の力が楽になった。



そう、色んな意味で……。真っ赤になったり、鳥肌が立ったり、うろたえそうになったり、忙しい朝だった。……いや、もうすぐお昼だけど……。



「あなた達、これからどこか行くの?」



「今、帰ってきたとこ!」



「ああそう。暑いでしょう? まずは冷たいものでも飲んで?」



私達は拓海のお母さんに言われるまま、リビングへ行かされた。



大きな窓のある開放的なリビングに、やっぱりロココ調の家具の置いてある、甘い雰囲気のリビングだった。



拓海のお母さんがキッチンへ行ってる間に、



「そうだ! いいもの見せてやるよ!」



と拓海が言い、私達はリビングを出た。



「死んだじーちゃんから貰った魔法の箱。」



「魔法の箱?」



「うん。子供の頃に貰ったんだ。お菓子のシール集めて、抽選で貰える魔法の箱。中身はレアなシールやカードらしいけど。」



「見たい! 見たい! あれ、なかなか当たらないよね?」



「うん。俺、忘れてたんだけどさー。なんせ、大往生したじーちゃんが、死ぬ間際に言うんだぜ? その後のてんやわんやで見つからなくて、でも、さっき見つけた。あれは絶対そう。」



私達はピアノのある部屋へ行った。



部屋の隅に、可愛い雑貨がたくさん入れられた籐のバスケットがあった。



魔法の箱は、こう言っては何だけど、ドカ弁のようなものだった。



ステンレス地に、キャラクターやら描かれて、「魔法の箱」と書いてある。



なんかガッカリな見た目だけど、開けたらレアシールやレアカードなら、子供には受けるのかな?



「これ。まだ未開封みたいだけど、姉ちゃん、これ気付いてるのかな? 姉ちゃんに取られる前に奪還。俺、子供の頃、欲しかったレアカードあるんだよ。入ってますように!」



「拓海!」



背後から直矢の声が聞こえた。



私達は驚いて、その拍子に、振り向きざま、互いの頭を軽くぶつけてしまった。



その時、拓海の指先がかかっていた魔法の箱の蓋が開いた。



でも、中を見れなかった。



軽くとはいえ、頭をぶつけてしまった私は、目の周りがチカチカし、拓海も頭に手を当てていた。



「拓海! 夏帆!」



直矢の声はちゃんと聞こえる。でも、だんだん遠くなる。



次に気付いた時、私達はとんでもない所に立っていた。



「あの……何ここ?」



さっき拓海と頭をぶつけてしまって、夢でも見てるのだろうか?



そういえば、頭をぶつけた時、星がチカチカして、下から上へ上がっていく感覚はあった。



単に火花が出ただけだと思ってたけど……。



でもここは……?



夢の世界? にしては、頬に当たる風とか、足元のゴツゴツとかリアルなんですけど……。



直矢が両手にシールやカードをいっぱい持った状態で、寝そべる形で地面に転がっていた。目を閉じている。   



拓海は?



拓海はどこ?







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ