11.
私達は顔を見合わせて、目を見開いた。
「ここで待ってて?」
拓海は私をおいて一人で家に入って行った。
私はドキドキしながら、シマトネリコの下で待っていた。
いつまでも拓海は戻ってこない。
時間にしたら5分位かもしれないけど、ずっとドキドキしていた。
強盗? 空き巣?
警察に電話したほうがいいのかも……。
拓海が気になる。
私はスマホを握りしめて、玄関のドアの前まで行った。
中で何が起こってるのかわからない。
私は震えそうになる手で、そっと玄関を開けてみた。
玄関はロココ調の調度品で飾られていた。
噴水に佇む女の人の置物なんて今はどうでもよく、私は、
「拓海?」
と、声を出した。
シーンとしている。
怖かったけど、勇気を出して家に上がってみた。
「拓海?」
「わっ! ビックリした!」
拓海が奥の部屋から出てきた。
「拓海、大丈夫!? 来ないから心配になって……。」
「ごめん! 母ちゃんがピアノの置いてある部屋の前で叫んでたんだよ。たかが、蛾の死体があったくらいでビビるなよなあ?」
蛾の死体……。
想像しただけで気持ち悪い。
「蛾にしてはデカかったけど、俺の手の平位。」
そう言って、パーにして見せてきた。
ぷっと鳥肌が立った。
私はちょっと後ろずさんでしまった。
「見る?」
「気持ち悪いよ!」
「ごめん、見たくないよね。俺が捨てて、殺虫剤撒かされて、今に至る、と。」
ピアノは防音室に置いてあるそうで、最初、私の声は聞こえなかったそうだ。
「姉貴、帰ってきたら、スッゲー怖がって、スッゲー怒るだろうなあ。」
拓海は楽しそうに言ってる。
「お友達?」
奥から拓海のお母さんも出てきた。




