10.
やめよ、暗いこと考えるの。
「バスで行こうぜ?」
拓海は私のアイスラテが空になってるのを見て、トレイを持って立ち上がった。
「俺、この前、引っ越しのバイトしてさー、人生初のバイト! 帰ってから、体痛いなんてもんじゃなかった。でも、また来てくれよ! て何度も言われて、マッチョな奴に。俺、向いてるのかなあ。」
拓海は楽しそうだ。
「引っ越し屋が向いてるのか、マッチョな奴に向いてるのか?」
「もう、そんなの、引っ越し屋さんのほうでしょ!」
「だよなあ-。」
私達はうだる暑さの外に出て、市営バスに乗った。
さっきのファストフード店でも、バスも、拓海は「いいから」と言って、お金を出してくれた。
今朝、拓海と直矢に会った辺りでバスを降りた。
「俺んち、あそこの角、左に曲がったところ。バス停からは歩いて1分位かな。」
この辺りは、新興住宅街で、中学の校区の境目になっている。
私達は拓海の家へ向かった。
角を曲がると、すぐに拓海の家だった。
シマトネリコをシンボルツリーにしていて、小さくて可愛い葉がたくさん繁っている木の向こうに、雰囲気のピッタリ合う白っぽいオシャレな家だった。
土台のどっしりさで、2階建て以上の2階建ての家に見える。
うちはママの趣味でキンモクセイを植えている。
キンモクセイも大好きだけど、シマトネリコの植えてある家、なんて素敵なんだろうと、見とれた。
「オシャレな家-!」
「んなことねーよ。」
と、言ってる傍から、拓海の家から、
「キャーッ!!」
という悲鳴が聞こえた。




