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孤独の終

「何か今日はいつもより慌ただしいね」

「な。」

セイケント施設内。普段通りに出勤した双子のフィールとレールは、いつもと違う慌ただしさに違和感を感じていた。とりあえず、シキのところへ行こうとすると、依頼カウンターから、元気な少年の声がとんできた。

「レール!フィール!ちょっとこっちに来て欲しいっすー!」

振り返ると、背中に身長丈の長さをもつ大鎌を背中にしょった少年が、こちらに向かって手を振っていた。

「何だよロト。」

「実はっすねぇ、ちょっと二人に見せたいものがあるんすよ。」

照れくさそうにはにかむロトと言う少年。よほど早く見せたいのか、早く任務終わらないっすかねぇーなどと、普段なら絶対に言わないであろうセリフまで口にしている。

「そういや、今日の任務てなんだっけ?」

任務と聞いて、今日の内容を訪ねるレール。当然ながら任務があること自体、忘れていたレールに内容などわかるはずもない。

「今日は、この三人で紅葉さんの手伝いっすよ。」

紅葉さんというのは、シキと同い年の二十一歳の男性。セイケントの代表として、各地に出向いている、セイケントのなかでも一、二位を争う魔力の持ち主のことである。

「そーそー。紅葉さんも大変らしいからねー。」

「てか、紅葉さんてシキと同い年なんだろ?同い年にしては、シキって身長低くね?」

「あら。それ、シキが聞いたら怒るわよぉ。」

「 「「うわっ」」」

突然混じる大人の声。それに三人は揃って驚きの声をあげてしまう。声の持ち主が、ティスカだと言うことに気付くと、

「なんだ、ティスカか…」

安堵のため息を漏らした。

「なんだって何よぉレール。何?居ちゃ悪い?この受け付けガールが依頼カウンターに居ちゃ駄目な訳ぇ?」

ギリギリギリギリ

「痛い!?痛いよティスカ!!お願いだから頭グリグリすんのやめてくれ!!脳がしんじゃう!!」

涙目になりながら、必死でバタバタと暴れるレール。頭から手を話すと、怒りが治まったのか、ティスカは依頼カウンターに座った。

「まあ、シキは高校生っぽいからねぇ。容姿的に」

「んぐ……」

容姿と聞いて、思わずティスカから目を剃らすフィール。自分の体型とティスカの体型を見比べて恥ずかしそうに頬を赤らめた。

そんなフィールの私情に気づかないティスカは、思い出したようにシキからの伝言を告げた。

「そうそう、そんなシキからの連絡よぉ。三人とも軍事室に来いって。今日の任務はなんとかしてあげるわぁ。」

「了解っす。」

「まさか、説教とかじゃねぇだろうな」

「大丈夫よぉ、たぶん。」

「そうか。ならいい。」

ひとまず説教ではないことに安心する、レール含めた三人は、ひらひらと手を振るティスカの元を後にし、軍事室へと向かった。


「よくきたのです。まぁ、楽にするといいです。」

セイケント、軍事室。言われた通り集まった三人に、シキはいつも通りのソプラノボイスで話しかける。

「実は、折り入ってたのみごとがあるのです。」

「たのみごと?」

?を浮かべているであろう、フィールに頷くと、シキは目をうっすらと細めた。

「えぇ。自動人形については知っているですね?」

「知ってるっすよ。もう犠牲が出てるんすよね。」

「そうです。そして、昨夜、また犠牲が出ました。このままではいつしか街は滅びるやもしれないのです。そこで、」

シキは、そこで言葉をきると、

「あなた達に、自動人形壊滅まで、自動人形の抹殺をお願いしたいのです。」

今まで聞いたことがないくらいに、意思のこもった声で言ったシキ。三人は黙り込む。

「__限りなく厳しいお願いなのは承知の上です。拒否しても構いません。自動人形達はどんな強さか___え?」

シキは純粋に驚いていた。眼前にいる少年達に。彼らは笑っていた。怖がることなく。そして、彼らは言った。

「何改まってんだよ。そんなの受けないわけないだろ?」

「そーだよっ。街を守るためなんでしょ?そのためのセイケントなんでしょ?そのための私たちなんでしょ?」

「それに、任務にはリスクが付き物っすよ。」

シキは驚くのと、同時に、どこかで自分を嘲っていた。自分より小さいはずなのに_彼らは、仲間を信じていた。一人で抱え込もうとしていた自分とちがって。なんだか自分が馬鹿らしくなっていた。

「そう…なのですか。今なら、あなた達が有名になったのもわかる気がするのです。……いいでしょう!私、シキは。あなた達を自動人形特攻隊に任命することを今ここに宣言するです!」


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