抗魔術師と魔神の契約
あれコメディーどこいった。これじゃジャンル詐欺だよ。
「愽憐神社なんてこの村にはないぞ。」
「え?」
昨日の零夢の言葉がどうしても気になり。今日花梨に聞くことにした。
零夢の幼なじみの花梨なら何か知っているのではないかと期待していたが花梨は知らなかった。
「じゃあ、愽憐はどこの巫女なんだ。」
「別にどこの巫女でもないよ。愽憐の巫女なんてあれ自称だから。」
「なんでそんな嘘を。」
「そんなの俺には分からない。本人に聞いてみろ。そういえばお前今日放課後暇か。」
「暇だけど。」
「なら放課後囲碁サッカー部に来い。」
「そんな部活あるの。」
「あるよ。」
放課後
「本当にあった。」
匠は放課後部活棟に行ってみると本当にあった。
「あれ、匠君。囲碁サッカー部に入部したいの。」
「愽憐、もしかしてお前ここの部員なのか。」
「そうだよ。いってなかったけ。まあ、そんなことより匠君がこの部活に入部してくれるなら歓迎するよ。」
零夢は部室のドアを開けると匠の腕を強引に引っ張った。
「ちょっと待て愽憐。俺はただ村雨に呼ばれただけで。」
その時匠は部室の違和感に気づいた。
「あれ、この部室広すぎないか。」
明らかに広かった。軽く教室五個分はある部室はほとんどが本棚に囲まれて中央にテーブルと椅子があった。一目目にしただけでは図書室に見間違いそうである。
「この学校の部室ってこんなに広いのか。」
「いや、この部室はすこし特別なんだ。」
「えっと、あなたは。」
「そういえば自己紹介まだだったね。僕直江津 珠洲緘。よろしく。」
そう言って自己紹介をしてくれたが。珠洲緘の姿は少し異様だった。
制服の上にボロボロパーカーを着ていて頭の上にヒヨコのぬいぐるみを乗せている。
下手をすれば変質者扱いだ。
「ロリコン。この人新入部員の匠君。」
「ちなみにロリコンじゃないから。」
なぜかあだ名がロリコンだった。
「転校生やっと来たか。よし、これで全員揃ったな。」
「ちょっと待て村雨。かって話を進めるな。」
「順をおって説明してやるからまず座れ。」
そして全員が椅子に座ると村雨が説明を始めた。
「それじゃあ単刀直入に言うけど囲碁サッカー部って書いてあるけどここは囲碁サッカー部じゃない。
ここは対魔術部隊抗魔術師の本部だ。」
「抗魔術師。なんだそれ。」
「昔はこの村に魔術師がいたんだ。しかし、ほとんどが悪い奴だった。だから魔術師に対抗するため出来たのが抗魔術師。」
「魔術師がいることは聞いたことがあるけど抗魔術師なんて聞いたことないぞ。」
「ほとんどが死んだ。今じゃ残っているのは実戦に参加してなかった子供の抗魔術師くらいだ。
しかも今は抗魔術師より立派奴が出てきたからな。でもこの村にはいない。何故ならこの村だけは抗魔術師が居るからな。」
「でも、この村に来てから魔術師なんてみてないぜ。」
「もうこの村には魔術師なんて一人もいない。けど新しい敵が出てきた。妖怪だ。なんか急に現れたんだ。」
「確か愽憐によって来てるんだよな。」
「正確には違う。零夢、こいつにあれを見せてやれ。」
「でも花梨が無闇に人に見せるなって。」
「今回は見せなきゃ俺がただの痛い奴になるだろうが。」
「それもそうだね。」
零夢は左手にしていた革の手袋を外すと手の甲に禍々しく輝く紋章を匠に見せた。
「なんだこれ。」
「タトゥーの類いではない。これが妖怪を引き寄せる原因。これを私達は魔神の契約とよんでいる。」
「魔神の契約。なんだそれ。」
「さあ、詳しい事は知らん。」
「魔神の契約なら愽憐は魔神と契約しているのか。」
「私魔神と契約なんてしてないよ。」
「え?」
「これ生まれつきなんだよね。赤ちゃんころからあったよ。」
「じゃあ何で魔神の契約なんだ。」
「知らん。今のところ分かることはこの紋章が妖怪を引き寄せることだけだ。さらに知りたかったら亜悶さんに聞け。」
「亜悶さん?」
「私のお父さん。お父さんならこのことについてもっと知ってるはずだよ。でも今はどっか行ってるけどね。」
「何者なんだ愽憐の父親って。」
「その話は後は。だいぶ話が脱線したな。そろそろ本題に入ろう。お前には抗魔術師になってもらう。これは決定事項だ。」
「え?」
その後なんだかんだあって匠は強制的に抗魔術師になった。