愽憐 零夢の秘密
今回も短いですが毎回短かくなると思います。
「おーい、聞いてるか匠君。」
「悪い愽憐。何の話だっけ。」
俺は偶然帰り道が同じだった零夢と一緒に帰る途中だった。
「なんだか匠君上の空だけど何かあった。」
「なあ愽憐お前クラスでいじめられてるか。」
「うん、いじめられていたよ。あ、でも昔のはなしだよ。小学生くらいの頃。」
「今はいじめられていないんだ。」
「そうだけど急にどうしたの。」
いじめは関係ないか。彼はあの時言われた言葉が頭から離れなかった。
「愽憐 零夢には関わらない方がいいよ。」
昼休みただ屋上で一人でいるとふいに声をかけられた。
「えっと、君は確か村雨 花梨だっけ。」
「私のことはどうでもいいんだよ。とにかくあいつには関わるな。あと質問されても答える気ないから。」
一方的言ってから彼女は何処かにいってしまった。
その時ふと隣の電柱に大きな傷跡があることに気がついた。しかしさっきまでこんな傷跡なんてなかったはずだ。
「なあ博霊こんなことに傷跡なんてあったか。」
しかし隣に彼女の姿はなかった。
「あれ、どこいった。」
その時電柱の傷が深くなっていること彼は気づかなかった。
「おーい。愽憐のやつ、ほんとうに何処に行ったんだろ。」
バキ。コンクリートが壊れる鈍い音を聞きふと電柱の方向見ると彼に向かって電柱が倒れてきた。
彼は声をあげることすら出来なかった。
しかし電柱は彼に当たる前に真っ二つに折れた。
目の前に居たのは手が鎌のように変形した巨大な骸骨が居た。
しかし、それは彼に見向きもせず何処かにいってしまった。
「へ?」
「だからあいつと関わるなと、あれほど警告したのにどうして聞かなかったんだ。お前は。」
「村雨、いつからそこに。」
「最初から。行っておくがストーカーの類いではない。」
「ところでさ、これって映画の撮影かなんか。」
「何処にカメラがある。どう見たって妖怪の類いだろ。」
「え、じゃあこの町には妖怪がいるの。」
しかし、この町に来てから見た妖怪といえばこれだけだ。
すると、彼女の返事は意外な答えだった。
「いや、いないよ。この町に妖怪なんて一人も。まあ昔の話だけど。」
「えっと、つまり?」
彼女の返事に彼は混乱した。ではこれはいったいなんなんだ。
「ああ、これは零夢つられて来ただけのよそ者。」
「愽憐につられて?」
「あいつはどうゆう訳か妖怪に好かれる体質でね。違った、別に好かれている訳ではない。」
「僕に愽憐と関わるなと、言ったのはそういう訳か。」
「そういうことだ。お前があいつとこ関わるとろくなことがない。」
「僕は別にそういうの気にしませんけど。」
「なに?」
「僕こう見えても運は強い方なんで、そういうの一切気にしません。」
その言葉を聞き彼女はきょとんとした顔をした。しかしその後急に笑いだした。
「アハハハハ!お前は面白いやつだな。しかし安心しろ。あいつの方から関わらなくなるから。」
「あれ、二人とも仲良くどうしたの。」
いつの間にか零夢がもどっていた。
そしてその後ろにはあの時の骸骨が鎌を彼女に向かって振り下ろそうとしていた。
「愽憐、後ろ。」
その時、彼女を向かっていた鎌が地面に落ちた。
「なんだ、また妖怪か。最近多いな。」
「え?」
いつの間にか彼女の手には黒く輝く大鎌が握られていた。
右腕を切られた骸骨は呻き声をあげながらもう片方の鎌を降り下ろした。
しかし、その鎌が彼女に触れる前に骸骨の胴体が真っ二つになった。
「愽憐。君は一体何者なんだ。」
「え、私。私は元愽憐神社の巫女愽憐 零夢だけど。」