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第八章 セイレーンの混乱

投稿が遅れてすみません。

気が付いたら、ブックマーク数が40になってて、びっくりしました。

そこまで読んでもらえるとは思ってなかったです。

レベルの低い文章ですが、最後までお付き合いください。

 状況を理解するのにしばらくの時間がかかった。

 俺は壁に背をつけて立っている。両肩に何やら強い力がかかっている。

 「どうして……、なんで!?」

 俺の両肩を押さえつけているその人物は、俺より背が低く、見上げるような形になっていた。

 

 苅谷崎凜。


 「どう、して……」

 さっきから、かすれた声で何度もそう繰り返しているのは、テニス部の後輩、苅谷崎凜で間違いなかった。

 俺を見上げる両目は潤んでいて、今にも泣きだしそうだった。

 

 ああ、前にもあったよな、こういうことが。


 かすかな記憶が、目の前の情景にダブるようにして蘇ってきた。

 あの時も、苅谷崎は俺の腕をつかんで、泣きそうな顔をしていたっけ。

 で、あの時はそのまま苅谷崎はどっかに行っちゃったけど、今回はどうなんだろう。


 俺の頭は、不思議と冷静だった。

 17年の人生の中で、こういう、何と言ったらいいのやら、とにかくこんな状況におかれた事なんかなかったけど、前のようにパニックに陥ることはなかった。

 苅谷崎がこんなことを言い出すまで。

 「だれ……」

 「え?」

 苅谷崎は、一度大きく息を吸って、ますます泣きそうになって、


 「さっき話してた人、誰なのっ!?」


 ……驚いた。

 苅谷崎が敬語抜きで話して来たことにも、肩に加わる力が一段と増したことにも。

 「どういうことだ?」

 「さっき、ここで一緒にいた、女の人、誰?」

 さっき?

 俺がついさっきまでここで会話していた女子?

 神門だ。

 だが、なぜ苅谷崎はそんなことを言い出す?

 「誰、て神門だが」

 「どういう関係っ!?」

 矢継ぎ早に質問を繰り出してくる苅谷崎は、まるで別人のようでもあった。

 つーか、どういう関係、って……。

 何を聞かれてるんだ、俺は?

 俺と神門?

 別にやましいことなんかまったくない。むしろ、関係は薄いほうだと思う。

 神門は副室長だから、そりゃ会話もするし、わからない問題を教えてもらったりはよくするけど、あくまでそれなりにだ。もっと神門に近い男子なんて、星の数ほどいる。なんせ、顔も性格もいいやつだからな、神門は。

 「聞いてるのっ!?ねえ、どういう関係なのっ!?」

 「あ……、えーとだな、あー……」

 完全に返すべき言葉を失って言葉に詰まる。

 「神門は副室長で、まあただの友人だ。大した関係じゃない」

 かろうじて、それだけを言った。俺の頭は回っていなくて、別に返事する必要なんてあったのかわからないけど、とにかく状況を把握することができていなかった。ようは混乱していたのだ。

 「なあ、どうしてそんなこと聞くんだ?」

 頭に浮かんだ疑問がそのまま口に出る。苅谷崎は俺から視線をそらし、何度か息を吐いたあと、

 「……邪魔だから」

 さっきのヒステリックな声とは打って変わった、低い声で言った。

 「邪魔って何だ」

 「すっごく目ざわり。あなたの周りでちょろちょろして……」

 「……何が言いたい」

 苅谷崎は、鋭い目つきで俺を見据え、一度息を吸ってから強い口調で言った。

 「だれにもわたしたくない。わたしの、あなたを」


 

 正直に言おう。

 俺はこの時、苅谷崎の発言の半分も、理解していなかった。

 これが俗にいうヤンデレというやつだと、後でわかったことだ。

 目の前の状況を正確に把握するなど今の俺には不可能だったからな。

 全身がひきつるのを感じた。

 何か言わなくてはと思って口を開いたはいいが、喉の奥から出てきたのは「あ……?」という中途半端な唸り声だけだった。

 どうすればいい。

 どう対応したらいい?

 苅谷崎。

 お前はいったい、どうなってんだ……?


 

 「ねえ」

 苅谷崎の声が胡乱に聞こえた。

 「聞いてるの?」

 聞こえてる。少なくとも、聞いてはいる。

 理解はしていないが。

 「わかってるの?」

 何をだ。

 「わたしは……、」

 苅谷崎は俺の手首をきつい力で握りしめた。

 「わたしは、あなたがわたしの知らないところで別の女と仲良くしているのが嫌なの」

 俺は、無言。

 「どこにもいかないでよ、」

 そして苅谷崎は、俺を絶句させるのに十分なインパクトを持った言葉を言った。


 「セイレーン」


 それが俺のことを指すのだと、理解するのにだいぶかかった。

 セイレーン?

 浅倉がつけた、不本意ながら俺が呼ばれているニックネームのことか。

 なんで苅谷崎が俺をその名で呼ぶ?

 「そのセイレーン、てのは俺のことか」

 「…………」

 苅谷崎は返答しない。

 「苅谷崎、」

 「そう、……じゃない」

 「え?」

 苅谷崎はやっと俺から離れると、若干冷静さを取り戻した声で言った。


 「ちょっと長い話になるけど……でも、聞いて」

もうすぐ定期考査なので、しばらく投稿はできません。

あんまりヤンデレって感じがしないような気もするのですが、これから頑張るので

よろしくお願いします。

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