テイクアウト
一話完結の怪談短編シリーズです。
人物・背景などは想像力全開フル回転でお楽しみください。
座敷わらしが出ると噂を聞き付けた馬鹿な芸能人が
『通』気取りでうちの宿に泊まった。
悪いが当宿に出るのは座敷わらしじゃない。
お祓いすれば良いだけの者達だが
切りが無いのでやめていた。
「この部屋が、座敷わらしが出る部屋ですね。
さすが、玩具がたくさん置いてある」
「そうですか」
「楽しみだなあ。私は座敷わらしに少し詳しくてね……」
「そうですか」
「こう、部屋の空気を吸っただけで感じるのですよ」
「随分お詳しいのですね」
「実は、収録などで数々泊まってるから、それなりに馴れたものでね」
「そうですか」
「いやあ、今夜は楽しみですなあ!ハッハッハ!」
「そうですか。ならテイクアウトしますか」
「ハ…?」
「ご存知ないですか。テイ…」
「い、いやあ!お宅もですか。 最近流行ってるね、当然知ってますよ!」
当宿は、行き先がない霊達の里親紹介所。
どうぞ彼らの里親になって、あなたの家まで連れて帰ってくださいませ…。