【詩】「姿見」「祝福のとき」「蝶」
「姿見」
海は空を映して青い。
夕映えに海は茜に染まる。
曙に海は金に輝く。
海は空の姿見。
空は自分の姿に見惚れている。
「祝福のとき」
雨雲から
無数の糸が
垂れてきて、
雫が、
つたい、
つたい、
つたい、
膨らんで、
おちる。
おちる。
おちる。
おちてくる
雫の群れ。
おちてきた。
おちてきた。
おちてきた。
雨の雫を
呼ぶもの。
地上から
たちのぼる
こえ。
みえない
こえ。
もうもうとした
草木の
こえ。
やがて
迎える、
祝福のときを
待って。
「蝶」
蝶をまだ見ない。
花は散った。
春雨ばかり。