三匹眼▼「月曜日はこの世の終わり sideA」
三匹眼▼「月曜日はこの世の終わり sideA」
1 魔女▼は魔訪を遣う。戯れに人間の女を魅了し、その力《魔訪》を与える。
2 魔訪は、魔法じゃない。万能とは程遠いし、便利でもない。勿論、夢も希望も詰まっていない。
3 魔訪遣いは、魔法使いじゃない。それはきっと、使うというより遣われているからだ。
▼ Ω ▼ Ω ▼ Ω ▼ Ω ▼ Ω ▼
白い部屋。
白い壁。
白い机。
白い椅子。
統一された、純白の空間。
画一された、虚無の空間。
支配された、魔女の空間。
▼「やぁやぁ、ようこそようこそ。さぁ、そんなことろにつっ立ってないで座ってよ。こっちこっち」
「… あの、私」
▼「大丈夫大丈夫、分かってるって。ほら、座ってよ。こっちは君が来るのをずっと待ってたんだからさ。ね?」
「でも、その」
▼「ん? んん? 不安? 大丈夫だって、そんなに緊張しないでよ。うん。それでさ、早速だけどね、今からね、君を面接するからさ。こっちの質問に正直に答えてね?」
「めん、せつ?」
▼「そうそう、面接。極々簡単な面接だよぉ。んじゃ、時間も勿体無いし、早速最初の質問ね。まずは、そうだね、君の名前を教えてよ」
「名前。私の、名前は… 風見鶏緑」
▼「おっ。いい名前じゃん。もっと自信持とうよ。ちなみにお幾つかな? 女性に年齢を尋ねるってのも無粋だけどさぁ、そこは勘弁してね」
「17歳。高校生、です」
▼「若いなぁ。羨ましいよぉ、わりとマジで。やっぱさー、歳は取りたくないよねぇ。歳なんてさ、重ねていったところで何一つ良いことなんてないもん、わりとマジで。っと、話しが逸れちった。それで、ミドリちゃん」
「はい」
▼「君さ、どうしてここに来ちゃったか、分かるよね?」
「…」
▼「ごめんごめん。今のはちょっと語弊があったねぇ。別にさ、ここは天国でも地獄でもないし、君が実は既に死んでる、なーんてことも勿論無い。ここはただの白い空間。白い部屋さ。この意味、分かるよね?」
「あの、は、はい」
▼「オッケーオッケー。こっちとしてもさ、面接なんて偉そうに言ってるけど、要するに重要なのはそこだからね。ま、君は久しぶりのお客さんだし。あんまり堅苦しい話はしたくないんだよねぇ。こっちとしてもさ。だから、一先ずはこんなところかなぁ。で、どう? 少しは緊張解れた?」
「その、はい。少しは」
▼「良かった良かった。それじゃ、最後の質問ね? 君は 《魔訪遣い》 になったら何をしたいのかな?」
「私は…… 空を、飛びたい。つばさが、翼が欲しい」
▼「ブフッ、ぃヒヒヒひひひhihihihHIHIHIッヒヒヒっ。いいねー、空を飛ぶ? 飛んじゃうの? それ、最高だよ。純粋にして究極だもん。人類の夢だもん、空を飛ぶってのはね。わりとマジでさ」
「…」
▼「よーし、よし。オッケー。合格だ。ミドリちゃん、合格。ぱちぱちぱちぱち」
「本当、ですか?」
▼「本当本当。マジだよ。飛んじゃおっか。大空って奴をさ。次、目を醒ましたら、君は正真正銘の魔訪遣いになってる。これは、もう決定事項さ」
「私が、魔訪遣い…」
▼「さぁ、魔訪遣い風見鶏緑。君の本当の姿ってやつを魅せてちょーだいな」
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