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episode 22

少し買い物をして、

家に帰りついたのは午後10時頃。

お風呂に入って、軽く食べて

着替えと買い物してきた食料をを持って圭司の部屋に向かった。


階段を上がって、圭司の部屋の鍵を開けて入る。

週末に一度チェックに入ったけれど

留守にしていたこもった匂いがした。

窓を開けて空気を入れ替えてから

エアコンのスイッチを入れた。

もうずっと、熱帯夜が続いている。

今夜も蒸し暑い夜だ。


それから20分もしないうちに圭司は帰ってきた。

玄関のカギを開ける音がしたので

玄関に出迎えた。

ガチャっと鍵が開き、ドアが開いた。

荷物を抱えた圭司が現れた。

「お帰り。お疲れ様でした。」

手のふさがった圭司の頬に、背伸びしてキスをして、

そして代わりにドアの鍵をかけた。

そして振り返ると、圭司は満面の笑みで

「コラコラ、まだ帰って来たばっかりなのに

 欲情させるなよ。押し倒したくなるだろう?

 俺まだ風呂も入ってないのに。」

カーッと顔が熱くなった。

「・・・・スケベオヤジ・・・・」

「スケベオヤジだもん。だって。」

「もう!」

楽しそうに部屋の方に歩いて行く圭司に付いて歩いた。

仕事机にどさっとカバンを置き

残りをソファーに置いた。

「本当疲れた~、今日は48時間ぐらいあったような

 気分がするわ。」

「お疲れ様、麦茶飲む?ビールがいい?」

「その前に風呂入って来るわ。」

そう言って寝室の方に歩きだした。

スーツをハンガーにかけようとしていたので

「貸して、やっとくからお風呂入りなよ。」

「サンキュー。」

カバンの中も洗濯ものだらけだったりして・・・


残念ながら、カバンの中身は意外に少なく

毎日のように洗濯をしていた様子がうかがえた。

独身長いからね、身に着くわよね、そういうの。

お風呂から戻ってきた圭司はまっすぐ冷蔵庫に行き

ビールを2本持って戻ってきた。

一本を私に差し出し、一本を自分に開けた。

「まだ、来たばっかりなんだろう?部屋に。」

「あ、うん。まだ部屋があんまり空調効いてないからわかったんでしょ?」

「うん、それに奈央も遅かったし。3階の電気消えたの分かったし。」

圭司はビールをぐっと飲んだ。

「あ、なんか食べる?」

「いや、いいよ。コーヒー飲んだりしてたら、腹いっぱい。

 浜本君がお土産の菓子とか開けたりするし。」

へぇ、そうなんだ・・。なんだかぽろっと口をついた。

「浜本さんもずっと一緒だったの?」

「うん、送ってきた。駅まで。」

「へぇ・・・」

圭司はちらりとこっちを見た

「仕事出来そうだろう?綺麗だろう?

 だが性格きついんだよねえ~~。知ってる?」

ドキ、そこ突っ込むか!!なんか本当カンのいい人だよね。

圭司はけらけらと笑いながら

「もう喧嘩売ってきたか。浜本君も素早いなあ。」

「いや、別にそう言う訳じゃないけれど。」

そう否定してみたものの、昼間の事を思い出してしまう。

なんなのよあれ!と言いたいのは山々なんだけれど。

そんなの言っても、困るだろうしね。


私の複雑な表情を見て、圭司は続けた。

「男もさ、馬鹿じゃないから、見抜けるときは見抜けるの。

 もう俺も若くないし、うわべだけで見てたりしないよ。

 彼女もさ、仕事はするし、気遣いもいいんだけれど

 女子社員とか派遣との関係見てると薄々わかるってものよ。」


ふ~~~ん、まあ、そうならいいけれどさ。

でも、ああやって簡単に人を攻撃できるってどうなんだろう。

昼間感じだ疑問をぶつけてみた。

「でも、私たちの事知ってる感じだった。なんで?」

「ああ、そこか攻めに来たのは。」

「なんか言ったの?」

ついちょっときつめに言ってしまうと

圭司もちょっとムッとした顔で答えた。

「言ってねえよ、ただ2年くらい前から彼女の押しが強くてね。

 会社の飲み会で酔った孝也が、

 こいつには支社に置いてきた女がいるから無理よって言ったらしいよ。

 それがお前かどうか彼女が知ってるのか知らないのかは知らないよ。」

「ごめん・・・」

あ、つい責めちゃった。また孝也か。

「謝るの早いなあ、相変わらず。」

圭司はぶっと噴出して笑う。

「なんて言ってきたの?」

そう言うけれど、告げ口みたいでいやだ。

「たいしたことじゃないよ。」

そう言って、この話題を終わらせた。

「ねぇ、お土産は??」

そう、たいしたことじゃないよ。と自分に言い聞かせるように。

圭司は紙袋を差し出した。

「龍井茶だ!」

中国のお茶。おいしいんだよね、これ。


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