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episode 17

家に帰って、パソコンをいじりながら

だらだらと時間を過ごしてたら、メールが入った


件名 今夜は

まだ仕事で帰れそうにない。

今日は会えないな、残念

ちょっといい事したかったのにな

俺の夢見て寝ろよ  圭司


・・・・・・

あの光景見てなかったらきっと

ほんわかした気分になってかもね。

まだあの人と一緒なのかな・・・・


仕事だもんね、うん


メールの返信をした

題名 Re 今夜は

残念ね、お仕事がんばってね 奈央


送信した後、なんだか自分の幼稚さに幻滅した。

なんて嫉妬深いんだろう。。。

もっと暖かい言葉をかけるべきだったよね。。。


なんだか自己嫌悪。

するとすぐに返信が来た。


題名 お、や、す、み

彼女は仕事の仲間だから。

俺が愛してるのは奈央だけ。


・・・・・・・・・・・・・・・・

ああ、なんでいつも圭司は私の心を読むの???

ほっぺたがかーっと熱くなる。

慌ててメール画面を閉じた。


翌日

なんだか図られてるかのようなタイミングで

部長室に用事が出来た。

いつもいるのは男性社員と派遣事務の女性。

そして昨日盗み見た、浜本さん。

冷静を心がけて部屋に入った。

「お疲れ様です。一課の高岸です。」

「ああ、入って。」

圭司の事務的な声がした。

圭司の横に立ち、同じパソコン画面を見ている彼女が

ちらりとこっちを見た。

圭司は手招きをしている。

浜本さんに軽く会釈をすると、にこりと笑いかけてきた。

「本社営業2課の浜本ゆかりです。

 2カ月こちらに出向することになりました。

 よろしくお願いいたします。」

色白で小顔、可愛い笑顔で話しかけられた。

ゆるい縦巻きのブラウンの髪も

スーツに皺ひとつよってないことも

すごい完璧に見える。

しかも、肌もきれい、いくつなんだろう。

「3階の1課の高岸奈央です。初めまして。」

社交的なあいさつをしたところで、浜本さんは圭司に向かって

「佐久田さん、ちょっと資料まとめてきますね。」

そう言って部長席を離れた。

「ああ、よろしく。」

そう言って、目線を私に向けた。

「じゃ、説明して。」

資料を圭司に向けて説明しながら

私は浜本さんの事ばかり考えてた。


だってすっごい顔の距離近かったよね・・・


ダメダメ、あれは仕事仕事!!!


脳裏で打ち消しながら、圭司とビジネスの話をした。

ああ、この状況ってどうよ!!

自分の不器用さを実感した。

何回舌を噛んだことか…

ビジネスの顔で真剣に会話するのが辛い。

こんなんじゃいけないのに。


昼休み、社員食堂でご飯を食べていると

後ろの女性社員たちからひそひそ話が聞こえる。

「ねぇ、営業部長の佐久田さんの所にさ、本社から来てる人見た?」

「あー見た、めっちゃ綺麗な人だよね。」

「あやしいと思わない?わざわざ呼ぶんだよ。」

「まあねー。んぇ、佐久田部長って独身??」

「良くわかんないけれどさ、格好いいよね~。」

なんか喉詰まってうまくご飯飲み込めないんだけれど。。。。

「若いのに部長ってすごいよね。」

「K大卒じゃん、頭いいし、なんか社長の親族らしいよ。」

「えええ、そうなの!!じゃ、やっぱ出世早くて当たり前よね。」

いたたまれなくなって席を立った。

なんだか心臓痛い・・・・


圭司はちゃんと努力したし実績もある

何より、絶対カリスマ性もある

その存在感は絶対に社内で数本の指に入るのに

頼るならあの人、ってなっているのにね。


身内ってだけで当たり前って思わないで。


そう言われたくなくて、支社でひっそりやってきた。

確かに就職難に雇ってもらえて得したと思う。

けれど私たちは努力してきたのに。な。

世間はそんなには思ってくれない。


気持ちを切り替えないと。

涙が出そうだ。

そうだなあ、もう金曜日だ

今夜はなに作ろう

もしかして圭司は営業かもね。

軽い夜食の準備しておこうかな。。

パスタ位ならさっと作れる感じで。


圭司は来るとは言ってないけれどね。

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