やっと入学式
いわれるがままに俺は、高校までの道案内をしていた
「それでなんであんな場所にいたんだ?学校とは、真反対だぞ、もしかして駒瀬さんって...」
「はい、そうなんです私...いわゆる方向音痴みたいな感じで...出水くんも真反対なのに何故あそこに居たの?」
「俺は、あっちに家があるから」
「なんだ家近いんだね」
今のところ会話のキャッチボールは続いているが高校まであと5分はかかるそんな時1つの希望がのしかかってくる
「お兄ちゃん!!」
と時の妹、茜が後ろから抱きついてきた
「ってなんで茜がここにいるんだよ」
抱きつくのが慣れているような口ぶりで話しているが妹に抱きつかれた事なんて小学生の時からまったく無かったので少し嬉しい時であった
「あのさ私がここまで走ってきたのには、理由があるのですよ...ってそこにいるのは彼女さん...なんだ彼女いるの隠してたんだ」
そんなデリカシーの無い事を早口で言う
「そんな関係では、無くてだな...」
「じゃあ夫婦?それとも親友とかそういう感じ?」
「違うそうじゃなくて普通の同級生」
なんだ、と言わんばかりに切れ気味の呼吸を整える茜
「じゃあはい忘れ物」
と弁当を渡してきた
本当はもっと良い妹だったのだけれど...
「じゃあな気をつけろよ」
と妹を送り出した
そんな頬笑ましい家族を羨ましい目で見ていた駒瀬
「私も妹が欲しい」
駒瀬は心の中に閉まっていたような事をボソッと言ってしまう
そんな事に気づかなかった訳もなく聞いてしまう
「いま妹が欲しいって」
「あれそんな事言ってた?」
本人も気づかないような事だったらしく
「出水くんって耳良いだね」
と言われてしまう
そんな時、時は妹の作り方を一生懸命に考えていた
人体錬成とかできないかな?
粘土に「妹」と名前を付ければいいか、でもそれだと駒瀬さんが生きている妹が欲しかったとき俺、変な人だと思われるよな...
まあいいやそんな事そんなこんなで時は、考えるのをやめた
「たぶんいや絶対間に合わないけど走るよ」
と駒瀬の手を取って走る
「え?うん急ごうていうか間に合わないの?」とこのまま行けば間に合っていたかのような口ぶりで言う駒瀬
「ていうか普通に出会った時から走らないと間に合ってなかったよ」
そんなに方向音痴だったなんてと、ちょっと悲しい駒瀬だった
高校の前まで来てこの後どうするか考える...が思いつかないので普通に入っていった時と駒瀬
「入学式は、体育館だからこっち」
と道案内に慣れている様子の時に妹の道案内していたんだろうな、私も妹が欲しいな...いや弟でもいいなでも今のこの状況兄と妹みたいなどと考える駒瀬
「やっと着いた」
「間に合ったみたいで良かった」
と全然間に合ってなかったがとりあえず入学式には、参加できる2人だった