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試験前夜

今回やや下ネタ注意

作者が下ネタに苦手意識があるのでほぼでないですが、たまにあるにはあるのでその時は注意喚起します

ps,ややこしい設定がもう出尽くした感あるので今回から本文オンリーでいきます

つまり本文が長くなっています

他のどうでもいい細かい設定はX(旧Twitter)の方で呟いときます

 リュウノ村を出てはや三日、現在時刻は午前四時。アムル達を乗せた馬車は月の国国境門へと近づいていた。水の国と月の国は隣り合った国なためまっすぐ向かう事ができ、他国とのいざこざが起きなくて済んだ。


「ホワイトさん、もうすぐ月の国ですよ。起きてください」

「うーん、、ごめんなさい、、お魚はもう生では食べません、、許して、、お魚さん、、」

「……どんな夢見てるか気になるね、アムル」

「……気になるけどそれは後で聞こう。今はホワイトさん起こさなきゃ」

「それもそだね」

「うーん、、むにゃむにゃ、、ニシンパイ……」


 何とかホワイトを起こすと、馬車は門の前で足を止めた。御者がホワイト達の方を覗くとすかさずアクアはアムルに隠れた。


「ここまでだ、ホワイト。俺は月の国に入る許可証がないからお前らだけで行け。そんでガキ。お前はとっとと俺の前から姿を消せ」

「はい……。ありがとうございました、テバさん」

「口を開くな疫病神。ほら、とっとと出ろ」

「テバ、馬車を出してくれた事には感謝するけど私の弟子への言動に関しては違う話だからね。次何か言ったら耳を落とすから」


 ホワイトの脅しにテバと呼ばれた青年はビクッと体を震わせたが、すぐに強気な態度に戻って「そうかよ」と呟いた。


「それじゃあな。せいぜい死に場所は選ぶこったな。……あと一つだけ気になることがあったんだが、お前ら二人しか乗ってなかったよな? 何度か女の子の声がしたと思うんだが?」

「気のせいか私の召喚獣だよ。人間の言葉を話す子とも契約したからね」

「ふーん、そうかい」


 なんだか府に落ちないと言った具合だったが一応誤魔化せたみたいだ。馬車はすぐにUターンしていった。


「すみません。アクアの音量が思ったより大きかったみたいで……」

「……ごめんなさい」

「いやいいよ。彼とはもう関わる事はないだろうし村に報告されても誤魔化しが通ると思うからね。それより今度彼に会ったら耳を切り落とすって覚えといてね」

「……俺は気にしてませんし、いいですよ、そんなこと」

「そんなこととはひどいな。彼の耳がかかっているというのに」


 ホワイトは物騒なことに対して冗談っぽい発言をすると、「行こうか」と切り出した。


 門番に通行証を見せ、月の国国内へと入るとまる一日かけて試験会場へ向かう。今度は馬ではなく、『カヴタロス』という馬より大きく力があるが、温厚で牛のような魔獣が引っ張る客車に乗っての移動だ。馬車と比べて何倍もの大きさの客車にはアムル達以外にも多くの乗客を乗せているため、アクアはある意味出禁だ。上手くないか。


 客車内は小さな酒場のような作りになっており、こんな朝早くだというのにとても賑やかだった。バニーガールとバーのマスターだけが従業員で、他はすべて乗客。それにはアコーディオンで演奏している者や、手品をしている者などといった芸人を始め、飲み比べをしているガタイのいい騎士と細身の若い女性、情報交換をしている商人の集まり、ばか騒ぎしている男三人の傭兵、やけ食いをしている修道女に寝ている師匠など、様々だ。


 一応ホワイトから前もって食費を預かってはいるのだが、生憎食欲はなかった。今日は試験前日。そう考えると鼓動は速くなっていき、手は震えていく。


 そんな状態になっている自分をアクアならどう言うだろうか。多分からかってくるに違いない。


 と、あれこれ思考を巡らせているとこちらに強面の男が三人ほど近寄ってきた。武器を持っているが、格好からして騎士ではなく傭兵とでもいったところだろうか。露出の多い服から見える肉体は、よく鍛えられていることが分かり大きな傷もついている。


「よう坊主。おめぇ、そっちの仮面つけたねーちゃんの連れか?」

「どうやらよう、俺たちゃ三日もこいつに揺られてるせいで女が恋しくなっちまったんだよ」

「だからそのねーちゃん俺達に貸してくれねーか? もちろんミルクを一杯奢ってやるからよ」


 傭兵の男達はバカ笑いをしている。ぶっ殺してやろうかと思った。そして気づけば剣を抜いていた。


「おいおい坊主。そいつは遊びの道具じゃねーぞ? 私情で使っていいもんじゃねーってこと分かってんのか?」

「しかもよう、こんな特徴のない剣を使うお子さまは俺達に勝てると思ってるらしいぜ? 笑いすぎて泣けてきそうだな」

「ほんと、ミルク一杯で妥協できないなら三杯まで奢ってやったのに」

「……さっきの発言を取り消すって言うなら俺も剣を納めますし、驚かせたことを謝ります。例えあなた達にとっては軽い冗談のつもりで言ったかもしれませんけど、俺は許せません」

「へっ、正義のヒーロー気取りか? 勿論あやまんねーし俺達は本気でそのねーちゃん狙ってたんだぜ」

「そうそう、仮面って逆にエロいんだよ。いい身体してるばっかりに顔も美人を求めちまうところがよ、仮面だと自分で想像できるんだぜ? くぅーっ、そそられる!」

「ああ、奢ってやりたくなるぜ!」


 アムルは一人に斬りかかっていた。が、突如現れたバーのマスターにスイーツナイフ一本で止められてしまった。何者だこの人。


「お客様方、当車両は暴力厳禁。見たところそこの坊やだけが剣を使っていたようなので、坊やにはペナルティです」

「なっ! ……でもっ!」

「アムル? なんの騒ぎだい?」


 ホワイトが起きてしまった。もろ寝起きといった声色で。傭兵三人はくぅーっと、唸っている。どうやら刺さったらしい。


「ああ、坊やの保護者様でございますか。実は揉め事をその坊やが犯しまして。ペナルティを言い渡したところです」


 ホワイトは二秒ほど停止するとすぐに「それで?」と言葉を発した。


「何でアムルは剣を抜いたの?」

「……そこの人たちの挑発に乗ってしまい、つい」

「……そっか。それでマスター、ペナルティってどんな?」


 傭兵達はニヤニヤとこちらを見ている。この際それがホワイトに対してなのか自分に対してなのかはどうでもいい。いかなる理由があろうとやってしまった自分の方が悪なのだ。


「ペナルティですが……。そこのお三方を叩きだしてください」

「……え?」

「おいおい、マスター。今何て言ったんだ? 俺たちゃ何か悪いことしたか?」

「そうだよ、なんでだよ! 悪いのはそこのガキだろ!」

「そうだそうだ! マスター、一杯奢るから目を覚ましてくれよ!」

「あなた達ですが、三つ問題を起こしました。以前この車両で不純異性行為をしていたこと、そこの女性を襲おうとしたこと、私の酒に文句を言ったことです。一つ起こせば労働、二つ起こせば私のサンドバッグになり、三つ起こせば退場です」


 マスターの私情が入っていた気もするが、出された物に対して文句を言うのはお門違いだ。当然問題に違いない。


「おい、待てよ! 俺達は常連だろ? なんでそこのガキの味方するんだよ!」

「そうだそうだ! 悪いことしたかは払った金額で決めろよ! それが商人だろ!」

「分かった、今日は俺の奢りだ。好きなだけ飲んでくれ。だからこんな何もないところで俺達を捨てないでくれ!」


 ちなみに現在地は月の国国内でも数少ない過疎地域。馬車は当然ないし、別の客車は一月はここを通らない。何せ本数が少ないのだ。余談だが、帰りは別のルートを使うらしいのでこれに乗ることは事実上の不可能である。


「よし、野郎共。こうなったらここを占領するぞ! この車は俺達の物だ!」

「そ、そうだな! こうなった以上手段は問わねえ! 降りるわけにはいかねえからな!」

「おうよ! テコとでマスター! 俺達が勝てば一杯奢れよ!」

「では失礼しまして。……まずはサンドバッグになってもらいます」

「なに言ってやがん……あ、あれ? なんで俺が宙に浮いて……」


 いつも最初に話していた傭兵は足をかけられると地面に叩きつけられた。頭からいったためか、気絶している。


「な、くそぅ。……って俺も浮いてるじゃねーか!」

「え、俺もだ! 奢らせてくれー! 仮面びじ……」


 御愁傷様である。三人仲良く頭からいった。


「さて、お三方。労働もしてもらいますよ。こちらの騎士様と手合わせしてください。……それがペナルティですって、聞いてませんね。一応補足させていただきますと、私めはお客様の修練の相手としてたまに手合わせさせていただいてるんですよ。こちらの騎士様、そうとうあなた達と手合わせしたいようですよ」


 アムルがホワイトを見ると、ぶちギレていた。顔は見えない。だが雰囲気で分かる。これはアムルを村から出してくれた時と同じ感じだ。言葉を発さなくなるから余計怖い。


「あなた達の事は存じ上げませんけど、よくもまあ色々ヤろうとしてくれたみたいですね……。私の相手をしたかったようなのでお望み通り……いや、あなた達は仕事ですからね。私からもお相手願いますよ」

「う……なんだ? っておい、まてまてまて! なんだそのこぶ……」

「ちがうちがうおれなにもしようとしてないからゆるし……」

「奢るから勘弁してく……」


 三人仲良く顔面に一発貰った。その後、俺は窓から一人づつ捨てた。


「皆様、大変なご迷惑をお掛けいたしました。そして騎士様、坊や……。お二人には謝りきれません。どうか、当車両からお詫びをさせてください」

「気にしないでください。私はできのいい弟子がいたからなんともなかったですし、この子が一線を越える前にマスターには止めていただきましたから、こちらこそ感謝します」

「ありがとうございました……。あと、色々すみませんでした」

「君が謝ることは何もないですよ。むしろ称賛です。……お二人からお支払いただいた料金はお返ししますし、残りの乗車期間中は全額無料とさせてください。といってもここにはバーぐらいしかありませんから」

「ではお言葉に甘えさせていただきます。……あの一ついいですか?」

「もちろん、何なりとお申し付けください」

「この子を坊やと呼ぶのはやめてあげてくれませんか? 本人は気にしてないかもしれませんけど、私が気にします。その、他の客人とは身分が違うみたいで……」

「これはこれは、大変失礼しました。では騎士様、お弟子様、改めて本日の件、申し訳ございませんでした」


 こうして試験前夜の事件は終わりを迎えた。本来ならもっと速く向かう予定だったのだが、何やらアムルの知らないところで邪魔をくらったらしい。当然、村のせいだ。知った当初は焦りながらもホワイトの自宅は会場の近所にあるわけだしと、そこまで恨んでいなかったのだが、今はすごく恨めしい。


 余談だが、アムルは坊やと呼ばれる事は何とも思っていなかったし、従業員のバニーガールは例の傭兵三人がヤった相手らしかった。


ポ◯モン対戦はダブル派

でも見るのはシングル派

あとホワイトさんはわたくしの癖ではございませんからね! そこんとこ間違えないように!

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