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出会い

お久しぶりです

作者の体調が回復した(してない)のでぼちぼち再開します

目指せ毎日投稿(出来るとは言っていない)

 ホワイトがアムルと出会ったのは、今から丁度五年前の、戦争が終わり、故郷への里帰りをしようと帰路についている時だった。


 水の国東部の山岳地帯にある故郷へは、闇の国との国境門を抜けてすぐにある森を抜けなければならないのだが、生憎その日は雨だった。


 雨と夜の森を身体を冷やしながらも必死に駆け抜け、羽を羽ばたかせるかのような荒々しさ溢れる動きで寒さを紛らわそうとしていた気がするのだが、詳しくは覚えていない。


 体感時間では四時間以上走っていたと思う。恐ろしく寒い夜の道は、無情にも楽を感じさせてくれなかったのだ。


 その当たりの事は鮮明に覚えている。だいたい半分くらい進んだ先で二人の子供が木にもたれ掛かっていたのだ。


 一人は少年、もう一人は少女だった。少年は目をパチクリしながら睫毛に落ちる雫を振り落とし、少女は少年の片足に右手を添えてた。


 少年は一瞬死んでいるんじゃないかと思ってしまうような、生気のない目をしていた。それでも荒く呼吸をし、瞬きをしているのだから安心できるはずなのだが、何故か当時のホワイトには不安が拭いきれていなかった。


 少女は何かがおかしかった。ガラス細工のような瞳。泥で汚れているにも関わらず洗礼され、美しさを全く損なわない白い肌。妖艶と幼さを両立した女神のような顔立ち。とてもこの世のものとは思えなかったのだ。


 しかし、おかしかったのはその美しさからではない。その美しさをぶち壊すうるさい声に失望したからだ。残念すぎる美少女のアンバランスにはおかしいとしか思えなかった。偏見なのだが。


 ちなみにお気づきだと思うが、この死んだ魚のような目をしている少年がアムルで、残念美少女がアクアである。そういえばあの時、アクアが先にホワイトに気付き、アクアから話しかけてきた気がする。


「こんにちは、おねーさん! わたし達ちょっとだけ困っててさ、できたら食べ物を恵んでくれませんか? どうか、この通り、是非ともお願いします!」

「……違う」

「ん? 違う?」

「いえ、なんでもない。食べ物は勿論構わないのだけど、それよりあなた達はこんなところでどうしているの?」


 ホワイトがそう聞くと、アムルは例の表情のまま何も言わず、アクアは目を背け露骨に困った表情となった。


「あー、いや、その、なんというか……そう! わたし達戦争孤児で、元々匿って貰ってたおうちがあったんだけど、そこのおじさんおばさんがわたし達の事売ろうとしてきて、逃げてきたんだ! それで迷ってたらこんなとこに来ちゃった訳です」


 多分嘘である。態度でまる分かりだ。しかし、言いたくないことくらいあるよなとホワイトのお人好しが出てしまい、つい「そうだったんだ」と納得してしまったのだ。


「二人とも行く宛はあるの?」

「いーや全然。正直ここがどこかも分かってない」

「それじゃあ私の村に来る? 帰路中だしよければご一緒しない?」

「いーんですか! アムル、絶対行くよね!」


 これが初めてアムルが口を開いた時だった。


「……迷惑掛けるかもしれませんがよろしくお願いします。アムル、九歳です」


 アクアは何故か心底驚いたような顔をした後すぐに「アクアです」とだけ小さく答えた。


「私はホワイト。本職は月の騎士です。それじゃあ出発しようか。二人とも怪我とかしてない?」

「俺がしてましたけどアクアが治してくれたのでもう大丈夫です。いつでも行けます」


 そう言ったアムルの左足と、アクアの右手には血が着いていた。


「……治したっていうのはもしかして魔法で?」

「ピンポーン、大当たり! なんとこのアクアちゃんは世にも珍しい癒しの魔法を使えるのた! すごくなーい? 凄いでしょー!」


 さっき一瞬低くなったテンションは本当に一瞬で元通りになったようですぐにハイになった。


「それは凄いね。私の知り合いにも能力者はいるけど、傷を治す能力なんて見たことないよ」

「ふふーん、ホワイトさん分かってるー! アムルとは違うなー」


 そう言ってアクアは浮かんだ。文字通り宙に浮いたのだ。しかも足がない。

 厳密に言うと足首より下が丸みを帯びた水の塊のような何かで出来ており、それがアムルの背中と繋がっている。よく見たら手も一部が塗装の剥がれたかのように水になっている。


「え、なに、え、えー? どういうこと?」

「あはは、驚かせちゃったね。詳しいことは話せないんだけどさ、わたし、死んじゃってアムルの身体に住み着いてるの。魔力と魂っていうか意思? だけの存在になっちゃってさ、肉体失くなっちゃったんだよねー」

「それって……大丈夫なの? そんなの聞いた事無いけど、封印術の応用っぽいし……」

「またまた大正解! 禁忌の封印術でこうなりました! まあバレなきゃ犯罪じゃないし、助かった訳だし、だいじょーぶだよ!」

「アクア、ホワイトさんは騎士だからそんなこと言ったら捕まっちゃうよ! すみませんホワイトさん、聞かなかったことにしてください」

「今さら聞かなかったことにはできないけど……。うん、禁忌の事は調べて何か分かってからにするよ。今は誰にも言わないから安心してね」

「すみません……。それじゃあお願いします」

「お願いします!」


 ちょうど雨が上がった。まるで二人の事を神が祝福しているようだとホワイトは思った。この二ヶ月後にアクアは自身を神だと明かし、さらにその十ヶ月後、アムルは弟子になった。

一話と二話の内容を大幅に変更します

二話は多分五話くらいになります

一話は幻の話になるかも

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