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第一話 破綻手続き[後編]

バディは一方的なもんじゃないだろ?――by終太郎

 今にも一雨きそうな曇り空に所々が腐りかけている木々、そしてその間を吹き抜ける冷たい風。


「……へ?」


 気づけば僕は、荒んだ森の中にひとり座り込んでいた。パチパチと目を瞬いてすぐ頬を抓ってみたが、周囲の景色が変わることもなければ`痛みを感じない`なんてこともなく、手を掴んでくれていたはずの彼の姿もなかった。


「えっ、と……あのぉ…」


 緊張のあまり名前をド忘れしてしまった。近くにいるかもしれない彼に向けておずおずと声をかけるも、返ってくるのは草木の擦れる音と雲の唸り声ばかりだ。そういえば扉を潜ってすぐにズンと重力に引っ張られ、反射的に繋いでいた手を放してしまったことを思い出す。


「っ……」


 刹那、顔から一気に血の気が引いた。直前までリインさんと違法だなんだの言い合っていたことからして、己の異世界転生(?)とやらは正規の手続きを踏まずに強引に執り行われた可能性が高い……というかソレで確定だろう。ならば窓口を務めるリインさんと知り合いらしい彼は、あの待合室に押し戻されてしまったのではないか。


(てことは僕は……難易度死刑(ナイトメア)(?)の世界に、置き去りにされた…?)


 のっし、のっし。


 嘘だ夢だこれこそ本物の悪夢(ナイトメア)だと頭を抱える僕の背後から、追い討ちをかけるように重い足音が響いてくる。ビクッと身体を震わせ肩越しに振り返ると、全長七メートルはある大熊が二本の足でこちらへ向かって歩いてきていた。悲鳴を上げるよりも先に、僕は身体の向きを一八〇度変えて正座する。`熊に背中を見せてはいけない`という、常識のような注意喚起のような信号が頭を駆け抜けたのだ。


(こ、この後どうすれば良かったっけ……)


 今にも悲鳴が飛び出しそうな口を必死に掌で押さえつけながら、涙目で考える。このままジッと熊が通り過ぎるのを待てばいいのか。目を合わせるべきか否か。いっそ死んだふりをすればいいのか。


 こんがらがった頭では何が正解なのかまるで分からず、大熊の歩みも止まらない――そもそもあの熊はただの熊なのだろうかと、一周回って別のことを考え出した。あまりにもデカ過ぎるし、ここは一応異世界なわけで。


「グォオオォオオォオオォオオォオオ!」


 そう、ここはモンスターが当たり前のように蔓延る異世界なのだ。だから咆哮とともに頭と両手をグパッと開いて巨大な口へと変え、牙を剥いて迫ってくる魔獣がいたとしても何ら不思議ではない。つまり何が言いたいかと言うと、


「端っから常識が通じるわけないじゃんかーーーー!」


 涙を飛ばしながら盛大に吠え、背を向けて一目散に逃げ出す。が、一歩踏み出すなり膝からガクリと力が抜けて崩れ落ちた。僕自身なにが起きたのか分からず、目を見開く。思い返せば森で目覚めてから異様に身体が重く、おまけに裸足だった。チラッと顧みた足は小石でも踏んづけたのか、切れて出血している。恐怖で痛みが麻痺しているのが幸いか。


「ガウアァアァァァアアアァアア!」

「っ……」


――大丈夫


「な、んだよ……」


――俺と一緒なら、ナイトメアも跣で逃げ出すさ


「ふっ、ざけんな!」


 大口叩いておいて何一つ大丈夫じゃないじゃんか! 勝手に連れてきて勝手に放ったらかしにして……あの大嘘つきめと罵れるだけ罵ると、迫りくる死に備えて身体を丸め、固く目を閉ざす。




『ステータス№99999、更生者99999番と同期完了』




「え……」

『跳べ』

「へ、ぇ――」


 今すぐ跳べ――と脳に直接声が流れたかと思いきや、僕の身体はふわりと宙を舞っていた。全身を殴りつけてくる暴風から顔を庇いつつ瞼を開くと、どこまでも広がる曇天と森、それと外壁に囲まれた街と思しき区域が視界に飛び込んでくる。


 眼下ではあれだけ馬鹿デカく見えていたはずの大熊が、掌で包み込めそうなサイズになって彷徨いていた……僕はとくに何をしたわけじゃない。ただ地面に触れていた指先にほんのちょっと力を入れただけだというのに、一瞬だけ身体が自分のそれじゃないみたいに軽くなった。


「ほ、ぁ、わぁあぁああぁ……!」


 そう、本当に一瞬だけ。ゆえに重力という枷を嵌め直された身体は急降下し、その悲鳴を聞きつけた大熊がぐりんと身体を捻って頭部の口を開いた。今度こそ喰われると身体を固くしたその時、


『終太郎、ソレを殴れ』

「は……?」


 再びその声が、


「お前っ、ソウシ……なのか!?」


 ソウシの声が脳に響いた。


『説明は後だ。いいから目の前のソレを殴れ』

「後って……てか殴るとかそんなの無理! 腕から喰われるだけだって!」

『無理じゃない信じろ』

「信じろ、て……」

『もう一度だけでいい、信じてくれ――()()()

「っ……」


 最後の祈るような一言だけは、脳ではなく耳元で囁かれた気がした。だからというわけではないが、僕はそれ以上反発せずに目を瞑って拳を固め、


(ええいっもうどうにでもなれ……!)


 大口を開けているだろう怪物に向けて思いっきり振り下ろした。


 グッシャァアアアァア!


「え……」


 拳に伝わってきたのは覚悟していた激痛ではなく、寒天を殴りつけたような何とも柔な感触だった。反射的に僕は瞼を開いたが、


「アジュバントスキル[実体化]発動」


 目の焦点が合う前に、後ろから伸びてきた腕によって強引に体勢を変えられてしまう。背中と足裏を支える形で僕を抱き上げた腕の主――ソウシは、高所から落下してきた身体に本来かかるはずだった負荷をすべて殺すようにして、静かに地上に降り立った。そして己の身体で僕の視界を遮ったまま屈むと、「借りるよ」と力の入っていない僕の片手を持ち上げ、肩越しに突き出すような形で固定する。


「終太郎、[ファイエム]って言ってみて」

「ファ……ファイエム…?」


 余裕顔のソウシに促されるまま、半ば放心状態で呟く。直後、掌を軸にして赤く発光する円形の陣が出現し、ボンッと音を立てて野球ボールサイズの火の玉が飛び出した。直進した火の玉は何か物体にぶつかったのか、熱風とともに火柱を巻き上げて視界をオレンジ色に染め上げる。しかし三秒後には鎮火し、あとには嫌な焦げ臭さだけが残った。


「な、な、な……」

「魔法だよ」


 驚愕のあまり言葉を失くす僕に「いいモンだろ」と告げると、ソウシは立ち上がって横にずれた。


「っ!?」


 開けた視界の先に広がっていた光景に、息を呑む。草木の一部が炭と成り果て、まるで巨大な煙草の灰を磨り潰したように地面が黒く染まっていた。その中心に、あの大熊のものと思しき白骨が散らばっている。これは後で知ったことだが、僕の拳を頭部にもろに受けた時点で大熊は絶命していたらしい。ソウシが火の玉の魔法を僕に使わせたのは、飛び散った血肉のグロさを誤魔化すためだったとか。


「悪かった」

「……へ?」


 食い殺されるところだったとは言え、生き物の命を訳も分からないままに奪ってしまった罪悪感にへたり込んでいると、ソウシが話しかけてきた。今し方と違ってバツが悪そうな顔をしている。


「すぐに出てきてやれなくて……やっぱ書類上は違法じゃなくても、白輪の死人を更生者として転生させるのはマズかったみたいでさ」


 異世界へ降り立つ寸前に常世が張っているセンサーのようなものに引っかかり、その衝撃で自我の目覚めが遅れたとソウシは説明する。そちらも色々ツッコみたいところだが、今はそれよりもハッキリさせたいことがあった。


「さっきの一撃も今の炎も、お前がやったのか?」

「あーまぁ、正確には俺とお前の二人でかな。それに関しても色々と説明が――」

「ありがとう」

「……え?」

「だから、助けてくれてありがとうって言ったんだよ」


 マジで怖かったからと素直に頭を下げる僕の姿を、ソウシは茫然と見下ろしていた。


「お前がこんな世界に連れてきたせいだって、罵られると思ってた」

「それとこれとは別だろ。助けてもらって礼を言うのは当たり前じゃん」

「……うんうん。そうだな終太郎(ピュアボーイ)

「`しゅうたろう`だ! 読み仮名で遊ぶな!」


 この場所が森のせいか、それとも不安や困惑といった諸々の感情を詰めて叫んだせいか、僕のツッコミは綺麗に木霊しながら消えていく。さらに深呼吸して気持ちを落ち着けると、次に気になっていたことをソウシに尋ねた。


「さっき自我がどうとか言ってたけど……ソウシって、人間じゃないの?」


 脳に直接話しかけてきたり突然姿を見せたり、魔法とやらのサポートをしたりとやっていることが人間離れしていると見上げる僕を、ソウシはフッと口角を上げて見つめ返してくる。


「言っただろ、お前の相棒でステータスだって」

「だからその意味が分からないんだって……」

「じゃあちょっと[ステータス]って言ってみな」

「ぇ、また……こほんっ、ステータス」


 先ほどの火の玉同様なにか起きるんだろうなと予想していたため、目の前に半透明のディスプレイが出現しても然程驚かなかった。といっても身体は正直なもので、気づけばディスプレイに手を伸ばしてスカスカと動かしていた。


「……これ、文字?」


 一通り驚き倒したところで、ディスプレイ上に棒グラフ状のパラメータとともに表示されているロシア語にもミミズにも見える記号を視線でなぞりながら問うた。それを聞いてハッとしたソウシは、「アジュバントスキル[翻訳]発動」と慌て気味に唱える。


「ァ、アジュ? あ、日本語になってる……んん!?」


 疑問符と感嘆符を忙しなく交互に浮かべる。無理もなかった。読解不能だったはずのディスプレイには今、筋力や敏捷力を始めとする能力値のほか、HPやMP、レベルといった見慣れた項目が表示されているのだが、


「99999って……!」


 その全ての項目の数値が99999と、普通にぶっ飛んだ数字だった。


「それが終太郎のステータス」

「え!?」

「で、俺の本体」

「はぁ!? こっちが本体じゃねーの!?」

「この身体は実体化のスキルで創った傀儡だよ」

「ごめん色々とこんがらがってきた……」


 頭を抱えて唸る僕に「だろうね」と苦笑を零し、ソウシは隣にしゃがんだ。もう一度ディスプレイを見るように肩を叩かれ、とりあえず顔だけ上げる。


「俺のことは追々でいいよ。今は、自分のステータスがカンストしてることだけ分かってくれれば」

「え、やっぱカンストしてんの?」

「俺的にはもっと上を目指したかったんだけど、更生者の耐久力を考慮するとコレが限界なんだってさ」

「……なんで…」


 絡繰りはともかく、ソウシがめっちゃ凄い奴ということは分かった。だからこそ、こんなパッとしない自分に相棒だステータスだと手を差し伸べてくれる理由が分からない。僕がそう正直に伝えるとソウシは一瞬だけ悲しげな顔をしたが、


「一目惚れってやつかな☆」


 テヘペロとすぐさま巫山戯てきた。ムカッとくるままにパンチしようとして、けれどもこの拳で熊モンスターが木っ端微塵になったことを思い出し引っ込める。すると感心するのと同時に呆れたように微笑んだソウシが、「お人好しだなぁ」と自分から手を伸ばして拳を包んでくれる。


「[エアーウィング]」

「へ?」

「唱えてみて」

「ェ、エアーウィング」


 呟いた瞬間、背中に見えない翼が生えた気がした。上出来と笑ったソウシは掴んだままの僕の手を引っ張ると、トンと地面を蹴る。僕の目にはスキップくらいの軽さに見えたが、身体は叩きつけられたスーパーボールのように高く高く跳ね、


「うっ、わわわ……!」


 気づけば僕とソウシは、鳶のように空を漂っていた。吃驚仰天してソウシの腕にしがみつけば「お前の魔法で飛んでるのに」と笑われたが、知ったことかと僕はギュッと目を閉じる。自由に空を飛んでみた~いなんて夢見る奴の気がしれない。こんな命綱もない状態でフワフワと、怖いったらありゃしねぇ!


「終太郎目を開けてみなって。可愛いけど勿体ないから」

「無理だよ怖ぇ! ってか可愛いってなんっ……だ…」


 ツッコんだ勢いのままに目を開けた僕は、そのまま言葉を失った。重く垂れ込めていた暗雲に切れ目が入ったかと思いきや、そこから大量の真っ白い鳥の群れが降下してきた。よく見れば普通の鳥と違って、翼が四つもある。


 群れが空を横断していく勢いに負けた雲はあっという間に散り散りになり、ノスタルジックな夕空が顔を覗かせる。冷え切っていたはずの風も心なしか温かく、そして柔らかくなったような気がした。これは確かに、目を瞑っていては勿体なかったかもしれない。


「綺麗、だな」

「そう。魔法とか冒険もいいけど、今の現世では味わえない景色を存分に堪能できることも異世界の娯楽の一つだ」


 そう言ったソウシは、急に身体の向きを変えて僕と正面から向き合った。そして騎士が姫にするように手を掬いとると、惚れ惚れするようなゴールデンアイに真剣な光を湛え、「墓送終太郎」とフルネームで呼んでくる。はい、と思わず僕のほうも敬語で返してしまった。


「俺とバディを組んでくれ。そしてこの異世界で――」


 ヌゥオォオオォオォン。


 不覚にもドキッとさせられたかと思いきや、離れた上空から聞こえてきたオナラのようなゲップのような音にすべて持っていかれた。ソウシは苛立ちマックスの形相で、僕は純粋な疑問符を湛えて音のほうを見やり……別の意味で言葉を失う。小さな羽の生えた巨大なシルバーの鯨が、先ほど飛んでいった鳥の群れを丸飲みにしていた。あの音は紛うことなきゲップ音だったのだ。いやデカいし怖っ、異世界怖っ!


「あんにゃろう焼き鯨にしてくれるわ! おい終太郎、もっかいファイエムを――」

「いやいやそこまでする必要ないだろ!」


 襲ってきたならともかく、ただ浮遊・捕食してるだけの生き物を僕らの都合で退治するのは不憫すぎる。餌と間違われる前にと、デカ鯨に敵意剥き出しのソウシを引っ張って地上に引き返した。


「はぁ、ビックリした」

「…………」

「ソウシ?」


 地面に足をついた途端、ソウシは打って変わって決まり悪そうにそっぽを向いた。最初は鯨を倒せなくて拗ねたのだろうかと思ったが、黒髪から覗く形のいい耳がほんのり熱を持っているのが見えると、あぁと察した。


 拗ねているのも本当だろうが、それ以上にあの決め台詞っぽい言葉を鯨のゲップに邪魔されたのが恥ずかしいんだろう。外見こそ大人っぽいが、内面はそれほどでもないようだ。少し親近感が湧いたからか、自然と口角が上がる。


「痛っ」


 今度は僕のほうからと踏み出したところで、思い出したように足裏が痛んだ。そういえば切れて出血してたんだとその場に蹲ると、気づいたソウシが「怪我してるのか!?」と大慌てで駆け寄ってくる。傷だらけの僕の足裏を見ると、自分が傷ついたみたいに辛そうな顔をした。ビックリして声が出ただけで言うほど痛くないと僕が言っても、フルフルと首を振るばかりで。


「……回復魔法とかも、使えるのか?」

「っ、ああ使えるよ」


 傷口を掌で覆いながら[ケアリー]と唱えてくれと言われたので、その通りやってみる。と、淡いグリーンの煌きをもつ十字架が出現し、あっという間に傷を治してくれた。マジかよと触れてみても、指先に伝わってくるのは柔らかい皮膚の感触だけで、瘡蓋にすらなっていないことが分かる。


「改めて見ると、魔法って凄いんだな」

「…………」

「ソウシ?」

「いつ怪我したんだ。あの大熊の攻撃は掠りもしてないはずだし、そもそもレベル99999の俺がついてるのに怪我なんてするはず――」

「お、落ち着けって! 熊から逃げようとして転んだ時に石踏んづけただけだから!」


 僕の足裏を凝視したまま真顔で喋るソウシがおっかなくて、食い気味に大丈夫だと声を張る。だがソウシの顔色は晴れるどころか、ますます暗く沈んでいった。ソウシのおかげで完治したし、こんなの本当にどうってことないのに……なんでそんな顔すんだよ。


「ごめん、俺のせいだ」

「や、なんでそうなんだよ。僕がドジ踏んだからで――」

「本来なら、転生と同時に俺はお前のステータスとして同期されるから」


 つまりは自分が強引な手続きをしてバグを起こしたせいで、同期が遅れて僕が怪我を負ったとソウシは言いたいらしい。もし同期がもっと遅れていたら、ただの非力な人間でしかない僕はあの大熊に喰い殺されていたと。


「……でも僕は生きてるじゃんか」

「ぇ、わっ」


 ネガティブ思考とタラレバを断ち切るべく、思いっきりデコピンを見舞ってやった。傀儡だとか言ってたから痛みは感じないようだが衝撃はあったようで、ソウシはペタンと尻餅をつく。その間に自分の足で立ち上がった僕は、「僕とバディを組みたいなら条件がある」と言って腰に手を当て、彼を見下ろした。


「今みたいに意味のないタラレバで自己完結しないこと。僕の意見もちゃんと聞くこと」

「終太郎……」

「記憶がない僕が言うのもアレだけど、バディは一方的なもんじゃないだろ?」


 組むなら対等でいたいと、今度は僕のほうから手を差し伸べる。一度死んだ身でありながら意思がハッキリしているという稀な存在にも関わらず、ここまではソウシやリインさんに振り回されて流されるばかりだった。ここからはそうはさせない。異世界に転生したからには、ちゃんと僕の意思で一歩を踏み出してやる。


「……仕切り直させてくれ」


 蜂蜜漬けの飴みたいに熱く潤んだ目で見上げてきたかと思いきや、ソウシは元通りの不敵な笑みを浮かべて僕の手を取り、立ち上がった。そして僕の手を握ったまま、「誓うよ、もう単独で自己完結はしない」と約束してくれた。


「だから、この異世界で俺と一緒に生きてほしい」

「っ、お、おう!」


 なんとか頷いたが、頬がカァッと熱くなるのが分かった。さらりと微風に靡く髪に、熱を湛えたままの猫のような瞳。やっぱソウシって完全無欠の美男子だ。さっき鯨に遮られなければ、あの夕日に包まれながらコレを受けるところだったのか。そう思うと、鯨に感謝したいような気もする。


「ふ、くくく……」

「ソウシ?」


 とりあえずこれでバディ成立だと僕は手を放そうとしたのだが、何故かソウシが放してくれない。それどころかより強く握りこんでくる。え、なに。若干俯き気味だから前髪に隠れて目も見えないし、なんか怖いんだけど。


「言ったな」

「へ?」

「一緒に生きるって、言ったな?」

「ひぇっ」


 いや顔っ、怖ぇよ顔! 爛々と輝く目とかもう猫じゃなくて蛇じゃん! 獲物を捕捉したアナコンダじゃん! ちょくちょくガラ悪くなるなとか思ってたけど、まさかこっちが素!?


「夜露死苦な、終太郎くん?」

「よ、よろしくおなしゃっす……」


 ヤバい、早まったかもしれない。

ノリで書き始めてみましたが……異世界もの難しい( ノД`)

おかしいところがあったら、ごめんなさい。

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