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アイリス2  〜英雄と呼ばれたある地球人の物語〜  作者: 花屋敷


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ルート


「まさかのまさかだったな。ここまでの展開は流石に予想できなかったよ」


 エアカーで15番ピアに向かっている最中にケンが言った。車には二人しか乗っていない。そしてこの車は情報部が保有している。安全といえば安全だがそれでも二人は具体的な名前を出さずに話をしていた。


「いきなり出向いていくなんてね」


「まぁ俺達の仕事は乗客を安全に速く目的地に運んで帰りも安全に帰ってくることだ。乗員が誰であろうと気にしないほうが良いだろう。やることは変わらないからな」


「そうね、運送屋が気にしても仕方ないか」


 ソフィアが笑いながら言った。


「そう言うことだ。俺達は小口の運送業者さ」


 エアカーが15番ピアに着いて中に入ると早速機体に乗り込んでアイリス2との打ち合わせを始める。


「ポイントはブルックス系内で絶対にNWPを見られない安全な場所を見つけることだ。往路はそこからワープインして一気に太陽系に飛び、復路では太陽系からそこにワープアウトしてくる」


『わかりました』


 3分ほど待つとアイリスがメインルームのテーブルの上に3Dホログラムで航路を映し出した。それに顔を近づけるケンとソフィア。


『シエラ第3惑星を離陸後にシエラ第1惑星を目指します。そうしてそのまま巡航速度で第1惑星を回る様に移動して第1惑星の裏側に向かいます。そこまでの飛行時間は離陸後5時間です。その地点からNWPをして前回のベースワン付近へのワープアウトが最も安全で第三者に見つかる可能性が低い数字が出ました。ちなみに今表示している座標でNWPをした場合に第三者に見つかる可能性は0.0001%以下です」


「前回の試験飛行の際にNWPしたポイントではダメなの?」


 ソフィアが思っていたことを口にした。


『あの空域は前回の試験飛行の際にはその周辺2,000万Kmを一時的に飛行禁止区域にしました。今回も同じことを行い、その後大統領の不在が何かの事情で外に漏れた場合には飛行禁止区域と大統領の不在を関連つけられる可能性がありますのでそのリスクを考え避けました』


 アイリスの指摘に納得するケン。できるだけ普段通りに振る舞う方が敵を欺きやすい。しかも敵がどこにいるかもしれない状況では尚更だ。避けられるリスクは徹底的に避けて通るというケンの方針と同じだ。


「となると5時間飛行してNWP、ベースワンまでは離陸後6時間弱か」


『正確には離陸後5時間と55分です。そして今表示しているNWPのワープインの座標近くには小惑星群があり第三者のレーダーを撹乱することができます』


 なるほど。小惑星群の近くからNWPすればまず見つからないだろう。もとよりそのエリアに近づく船舶はいない。小惑星群にはアンヘル博士が作った小惑星基地もある。周辺の警備も完璧だ。


「ベースワンから地球までの時間は?」


 これもソフィアが聞いた。


『巡航飛行と太陽系内にあるワープを利用して50時間です』


「片道約56時間。2日強か。アイリス、情報部のスコット大佐かアンドリュー中佐を呼び出してくれ」


 ケンがアイリスに指示するとすぐに


『スコット大佐と繋がりました』


 モニターにスコット大佐が出てきた。そしてすぐにシュバイツ准将とアンドリュー中佐もモニターに映った。情報部内でこちらの連絡を待っていた様だ。


 ケンとソフィアは今アイリスが計算したルートと発見されるリスクについて説明をした。小惑星群についても話をする。黙ってケンの説明を聞いていた3人はモニターの向こうで言葉を交わすとシュバイツ准将が言った。


「リスクヘッジをしながら最短、最速での移動がトップの希望だ。最終的にはトップの了承が必要だが56時間は許容範囲だと思う。こちらでトップの同意を取り付けるのでケンとソフィアはそのルートを前提として詳細を詰めてくれ」


 通信が切れるとアイリスを入れた3人(?)でルートの詳細を詰めていく。アイリスから提案が出た。


『リスクを更に下げるにはここの出発時間を夜に設定した方が良いでしょう。暗い方が更に見つかりにくくなります』


「いいアイデアだ。リスクを下げられるのなら可能な限り下げよう」



 翌日情報本部に顔を出すとシュバイツ准将以下大佐、中佐といういつものメンバーが二人を待っていた。


「大統領府の承認が取れた。ケンが出したルートで問題ないとのことだ」


 その言葉を聞いてホッとするケンとソフィア。


「出発時間についても夜の出発は問題ない。あとはいつ出発するかだがこれは今こちらから予定を送信しており相手側の返事待ちだ。来週には来るだろう。その時点で確定する」


 その後は地球での会談とその間の待機方法についての打ち合わせをする。


「外交部との話し合いの中で出てきているのは到着日の翌日から会談を開始し3日間予定している。これは調印まで入れてだ。そして4日後に地球を離れてシエラに戻ってくる」


「私が言うのもなんですが地球には他の星の大使館やそれに類する機関はないのですか?」


 ケンが聞いた。


「流石にケンだな。それについては我々も懸念していたので連邦政府に確認をしたところ今回の会談は地球で行うが場所は首都ではないらしい。場所の詳細は追って連絡がくるがあちらもトップ以下秘密裏にその会談場所に移動してくるとのことだ」


 お互いに内密にことを進めていくということかと理解するケン。


「会談の間のアイリス2だが地球連邦軍の軍事演習エリアが地球から80万Kmのところにあるらしいのでそこで待機してくれとのことだ。会談中は演習は行わずもちろんそのエリアは常時関係者以外立ち入り禁止空域になっている」


「わかりました。それなら安心です」


 こちらでできる打ち合わせは終わった。ルートについては問題がないが大統領が乗られることになって2階の客室の一部の設備を変更する必要が出てきた。


 アイリス2の2階の一番奥の船長室の隣の部屋を大統領の部屋にするということになりドックの作業員らがベッドや調度品をランクが上の物に入れ替える作業をする。


 その作業も終わりケンとソフィアが自宅でくつろいでいると二人の端末に同時に情報部からの連絡が入ってきた。出発が4日後の20時となった。



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