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サマラ星


 アイリス2がカーゴターミナルに近づくと、ターミナルに大型の飛行艇が何隻も止まっているのが目に入ってきた。皆荷物船を多数連結していて総全長が1,000メートル以上にもなる大型だ。何台もの作業ロボットが大型に荷物を積み込んでいるのが見えている。


 そんな中全長80メートルの小型船が1番ピアに着岸した。ケンとソフィアが荷物スペースに移動してアイリスに指示をすると後部ハッチがゆっくりと上がっていく。岸壁に1台の精密機器運搬専用のエアトラックが待機しているのが目に入ってきた。男性が2人近づいてきた。1人は港湾局の制服を来ているがもう1人は私服だ。


「船を替えたんだな。格好いいじゃないか」


 制服姿の港湾局職員が話かけてくる。


「ありがとうよ」


「それでこちらがケンの荷物を今か今かと待ってた天文台の人だ」


 私服の男が近づいてくると


「ブルックス宇宙天文台のムイーラと言います。今回はありがとうございました。なんとか間に合ってよかったです」


 そう言ってケンとソフィアに頭を下げる。港湾局のOKが出て積んでいたコンテナがアイリス2から降ろされるとそのまま近くにいた専用トラックの荷台に慎重に積まれていった。ムイーラと言った男はケンに礼を言うとそのままトラックの助手席に乗り込む。大型のトラックがゆっくりと地上から浮き上がってそのまま港の出口に向かっていった。


「何でもトラブルで望遠鏡の調子がおかしくなって初めて部品が無いって気づいたらしいぞ。そして今まで騙し騙し使ってたらしいが今日か明日くらいで完全に止まるって言ってたな」


 港湾局の男が去っていくトラックを見ながら言った。


「そりゃ慌てただろう」


「そうみたいだ。ケンが届けてくれたおかげで一安心だな」


 荷物を運んで感謝されるのが運送業者にとって一番嬉しい事だ。


「ところで簡易ドックは空いてるかい?」


 エアトラックが視界から消えるとケンが言った。ちょっと待ってくれと男がその場で聞いてくれる。通信が終わると、


「小型船用のドックがちょうど空いてるらしい。場所はわかるか?」


「このカーゴポートの奥だっけ?」

 

 とそちらの方向を指差すケン。


「そうだ。行けばわかる様になってる」


「ありがとうよ」


 礼を言うと港湾局の男はエアカーに乗り込んで1番ピアから離れていった。ケンは隣に立っていたソフィアに


「それでソフィアはどうすんだ?街でも見てくるかい?」


「そうね。せっかくきたから街の中をぐるっと見てこようかしら」


「ドックの近くにもエアタクシー乗り場があったはずだ。向こうで乗るといいだろう」


「ケンはドックで仕事でしょ?」


「そうなる。アイリスと一緒に計器チェックもしなければならないしな。とりあえず移動するか」


 荷物を下ろしたアイリス2は浮上するとそのまま大型貨物船を横目に見ながら港の反対側の端の方にゆっくりと移動する。そして小型船用のドックに着岸した。


「この星は治安はいい。その代わりリンツみたいにショッピングを期待していると肩透かしをくらうぞ」


 着替えて階段を降りてきたソフィアを見てケンが言った。


「ショッピングはリンツでたっぷりと楽しんだから街を見てくるわ。夜にはこっちに戻ってくる」


 そう言ってソフィアがタクシー乗り場に向かって歩いていった。

 ケンは停泊している船の簡易ドックで手続きをすませるとまずは船の外側の点検から始めた。


「大きな傷はないな。頑丈な作りになってるよ」


『外部カメラからも異常は見られません』


「塗装もしっかりしていてほとんど剥げてない。これなら大丈夫だろう」


 目視での外観検査を終えるとメインエンジンと補助エンジンそれぞれの噴出口を布で丁寧に拭いて掃除していく。


『ケンは丁寧に船を扱うんですね』


「前の船が古くてさ。しょっちゅうこうやって点検しないと機嫌が悪かったんだよ。その時の癖だな」


『今の掃除で噴射効率が0.02%上昇しました』


「エンジンの噴射率の不具合報告は何%からに設定されてる?」


『はい。1%からです。1%でイエロー、5%でレッドになります』


「設定条件としては悪くないな」


 エンジンを終えると後部ハッチの扉の機密性の確認、そして乗員の搭乗口の扉も同じ様に機密性を確認する。


「内部は明日にしよう。今日はもう日が暮れるからここまでだ。ソフィアが出かけてからの時間は?」


『はい。4時間25分経過しています』


「戻ったら教えてくれ。俺は船長室で次の仕事探しをする」


『船長室のPCを立ち上げておきました』


「ありがとう」


 ケンが船長室に入るとケンがいつも見ているサイトが既に立ち上がっていた。


「やっぱり予想通りだな。バイーア発の荷物の依頼がある」


 ケンが見ているサイトに荷物の輸送依頼で依頼主がバイーア惑星群の中にある星からの依頼が乗っていた。



依頼主 : ラジコット商会

商品 : 旋盤作業ロボット2台 

サイズ: 4㎥ x 2基

引き取り地 : ブルックス系 バイーア惑星群 第8惑星

目的地 : ブルックス系 ロデス星 ビルワラ商会

期間: 40日以内

大金 : 300万ユニオンクレジット(UC)


 

 ラジコット商会を調べるとそれなりの規模の機械メーカであることがわかった。ビルワラ商会も調べたがこちらも問題なさそうな会社だ。


「アイリス、ここからバイーア惑星群 第8惑星までの飛行時間は?」


『出発後5日と18時間です』


「第8惑星からロデス星までは?」


『はい。離陸後25日と2時間です』


「受けても問題なさそうだな。よし、これにしよう」


 バイーア惑星群とは8つの惑星が比較的近い距離に固まっているその全体を称して言う言い方だ。8つの星全てが重工業を柱にしていてさまざまな製品はや部品を製造している。ブルックス星系における工業地帯の役割を果たしており、ここで作られた資材がブルックス星系内にある様々な星に運ばれて最終製品に仕上げられていく。


 大きな荷物や大量に出荷される荷物はもちろん大手の運送会社ががっちり契約で押さえているがスポットで出荷される荷物も多く、ケンらの小口業者にとってバイーア惑星群は大手のおこぼれを拾いやすい星群になっていた。


 今回の報酬の300万UCは決して高い方ではないがサマラ星から5日程度で移動できるのであれば十分に利益が出る。しかもケンの船はほとんど燃料を食わない。



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