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スタークビル大将


 アイリス2がNWPでワープアウトするとそう遠く無い場所、せいぜい10数万Kmのところの宇宙空間にベースメテオが浮いているのが目に入ってきた。


「こうして見ると本当に大きいわね」


 ソフィアがそう言っている間にケンはベースメテオと通信をする。


「こちらアイリス2。ケンだ。これから第3惑星に向かう」


「こちらベースメテオ。アイリス2が来ることは聞いている。了解した。ところで外から見てここはどうだ?」


「想像以上に大きくてびっくりしているよ」


 ベースメテオの建設でアイリス2が協力したことはそこに勤めている軍関係者は全員が知っている。そしてその中の一部の関係者はケンが博士の研究を持ち帰った当人だということも知ってた。


 ケンもソフィアも知らないが、このベースメテオが活動を開始した際に軍上層部よりアイリス2に関してはエリア通行の許可は不要で好きな時に通行させて良しという指示が出ていた。同時にその乗員であるケンとソイファに関しても調査不要であると。


 上層部からそういう指示が出るのは大統領府関係者以外ではまずない。

 それが意味することをここで働く関係者は知っていた。そして軍の兵士である限り機密が外に漏れることもない。


 

「呼び出して悪かった」


「いえ。ちょうど配達が終わったところでしたから良いタイミングでした」


 シエラ第3惑星に戻った2人は情報部のスコット大佐の下を訪ねていた。挨拶が終わると大佐が2人を見て言った。


「要人の輸送を頼みたい。マッキンレー外交部長とシュバイツ准将、それと軍参謀本部本部長のスタークビル大将の3名だ。行き先は地球」


「確かに要人だ」


 最後に聞いた名前を聞いてそう言ったケン。ケンとソフィアはスタークビル大将とは数度面識がある。シエラ軍の最高司令官としてファジャルからは暗殺リストの最上位に書かれていると言われている。ただそこに書かれているのは役職だけで名前ではないとも言われていた。


 今まで他星との接触を最小限にしてきてシエラ。対外的に参謀本部のトップが出る場面がなかったこともありスタークビル大将の名前はほとんど知られていない。ただシエラ星内では超がいくつもつく程の優秀な指揮官として軍、情報部はもちろん、大統領からの信任も厚い。


 今回情報部が宇宙基地を作ってはどうかという提案をした際にも一番最初にそれに賛同したのがスタークビル大将だと言われている。


 シエラとして初めて宇宙基地ベースメテオが完成し稼働を開始したことによりスタークビル大将が地球を訪問して直接お礼を言うこととなった。


「太陽系連邦軍には今回の訪問およびそのメンバーについては連絡しており、先方からも

太陽系連邦軍副総司令官のケネディ大将が出席されるとの返事が来ている」


 両星の軍のトップ同士が顔を合わせるということだ。


「なお、今回随行員はいない。完全に秘密裏に行動するので3名のみの訪問だ。マッキンレー外交部長もシュバイツ准将も単独での訪問になる。地球ではアン大使以下外交部の連中やアンドリューらがいるから現地では問題ないだろう」


 出発は4日後、シエラ首都ポートのアイリス2専用ピアから出発し、ベースメテオ経由でNWPワープで地球に飛んだあとはLAベース横のシエラ大使館に着陸。現地で2泊したのち帰星というスケジュールになっていた。


「スタークビル大将とシュバイツ准将は今回の地球訪問前に先にベースメテオに寄られているのでアイリス2は離陸後ベースメテオで大将と准将を乗せてから地球に向けて飛んで欲しい」


「4日後に15番ピアから乗るのはマッキンレー外交部長1名ということですね?」


「その通りだ」


「現地での宿泊場所は?」


 ソフィアが聞いた。


「現地のアン大使、アンドリュー中佐らの連絡では太陽系連邦軍のLAベースの中にVIP用の宿泊施設があるらしい」


 そこまで言った大佐。2人はじゃあそこに泊まるのだなと思って聞いていると続けて大佐が言った。


「ただそこに泊まるとは限らない。スタークビル大将はアイリス2の部屋で寝とまりしても良いんじゃないかと仰っている」


「!!」


 驚いたが安全面を考えれば確かにアイリス2の中が最も安全だ。24時間アイリスがチェックしており万が一の時もすぐに離陸できる。


 2人が黙っていると大佐が言った。


「現在駐地球大使館では彼らが住んでいるレジデンスエリアの中にシエラからの来訪者を泊めるための宿泊施設を建設中だが今回の訪問には間に合わないのだ」


 2人は知らないが現在地球に駐在しているシエラ人は大使館からそう遠く無い場所にあるエリア内で程度固まって住んでいる。元々一般人が入れないエリアで治安面は問題なく、太陽系連邦軍の兵士が24時間付近を監視している。その同じエリアに宿泊施設が完成した後ならそこに泊まれば良いのだろうが間に合わないとなればアイリス2も宿泊施設の選択肢の1つになってくる。


「我々は構わないですよ。アイリス2の中は一番安全でしょうし」


「ケンも知っているだろうが大将は気さくな方だ。それにスタークビル大将もシュバイツ准将も軍所属の兵士だ。艦船に寝泊まりしてきた経験がある。安全さえ確保できれば他は何も言われないだろう」


 確かにその通りだと頷く2人。宿泊場所については最終的に向こうに着いてからの決定になるという話になった。



 大佐との打ち合わせが終わると2人はポートシエラのアイリス2専用ピアに移動しそこにいる職員らと打ち合わせをする。誰が乗船するとは言わず4日後に出発、現地2泊の予定で地球に行くと伝えた。ユーロセブンやタウルス、リブラらの輸送船ではなくアイリス2で地球に行くということはそれなりの地位の人が行くのだろうと理解する職員達、あとは彼らが燃料、水、食料、必要があればAIの更新など全てをやってくれる。


 普段からしっかりと整備されているアイリス2なので用意するのは食料や水になるがこれとて普段から数ヶ月分のストックがあった。燃料についても予備燃料を含めて全く問題のないレベルになっている。


 それでもピアで働いている職員達は丁寧にアイリス2の整備を行いVIPの地球訪問に備えた。



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