名探偵キリン
私は、美波 薫。
探偵である。
探偵になった経緯は、たまたま、幸市に遊びにきた。
江戸川何ちゃらに、暇な時間はどうすればいいの?とか質問したら。
「探偵をするのが一番の暇つぶしになるかも知れません。この街は怪人が多いですから」
で、探偵になった訳だ。
まぁ、私は永遠の女子高生だから。
バイト代わりには持ってこいかもね。
今夜は満月。
美しい月を、見ると泣けちゃうんだよね。
さてと、探偵である私は、幸市の平和を守るため日夜、事件を解決すべく動くのだ。
このんところ、不審火の事件だ。
パイロキネシス能力を持ったものの仕業だ。
まさか、男子トイレには、流石の私でも入れないわ。
なんで、男子トイレなんだよー。
と、叫び出したいぐらいだ。
男子トイレに入れるパートナーが欲しい。
昼間、ちょうど良いパートナーを見つけたのだが、速攻で振られた。
少女は、かなりトンチンカンな性格だった。
でも、凄腕の探偵でもあった。
夜の街は、いろんな奴がいる。
オカマバーならぬニューハーフショーのウリの店 マゼラン。
マゼランから情報を、引き出すしかないなぁ。
店内を、入るとやたらめったら暗いんですけど。電光色の青い月や。星やら。なんじゃあ。
この前までは、トロピカルの南国だったのだが。
ステージには、赤い魔法陣で、変な盆踊りを踊っている店のママがいた。
変な仮面まで着けている。
こっちに気づくといきなり店内は明るくなる。
「キリンがなんのようなのよ〜」
と差別用語を使う。
マゼランのママ。
千鳥 明那
元、ワルキューレ星人だ。
今は、地球人として暮らしているはずだ。
黒いフード付のマントと仮面を脱ぐと鮮やかなピンクのスパンコールのワンピース衣装の短髪の銀髪の麗人。
素顔は良性を持ったように整っている。
細い眉毛が余計に瞳を綺麗に見せた。
「カオルちゃんとか言えなの〜」
とやり返す。
「まぁ、お座りなさいよ。レモンの炭酸ジュース出してあげるわ」
と優しいんだか分かんないのがワルキューレ星人だ。
しゅわしゅわ〜した飲み物は、飲んでて気持ちが軽くなるなぁ。
「パイロキネシスを使える人物、知ってない」と本題。
「男子トイレの件。さぁね。大方、地底人あたりが怪しいんじゃないの〜」
と、とっとと帰れ!みたいに優しく笑う。
冷たい男?女?だ。
従業員も元兵士のワルキューレ星人だ。
みんな美形だ。
余計、ムカつく。
中性というか。両性を持った彼ら彼女らは、それぞれ、夜の店を営んでいた。
東は、オカマバー、西はオナベバー。
ホストやキャバレーは、普通の人間たちがしていた。
どういう訳か幸市は、繁華街は、デカかった。
「そういえば、変わったキリンを見たわよ」
苦々しい気持ちだった。
千鳥 明那の本体は、島の結界の中に閉じ込められていたが、ようやくそこから抜け出したと思ったら、また、元の場所に閉じ込められた。
今の身体はいわば、この惑星に適合するために造られ意識の身体であるアストラルを重ねただけ。一般的には憑依で通じる。
「そうなんだ」と薫は軽く応えた。
それが転校生のことだとすぐわかった。
昔の大陸でのことで、今の話だ。
キリンは、もともとは、戦争でウイルス兵器を撒かれたために治療の一環でできたもの。
別にワルキューレ星人の言うような兵器でもなんでもない。
それどころか、この惑星自体が崩壊する寸前だった。
また、誰かが暗躍しているのが判るが今は、そんなことどうでもいい。
「ありがとう」とお礼をいって店を後にした。
暇な時とは、私はこの身体になって眠れなくなった。
夢が見れないのだ。