呼びリン
薫ちゃんはトイレで見つけた鈴に赤いリボンをつけていた。
リン リン リン
綺麗な音色だ。
そこへクラスメイトの男子の工藤 蒼が現れた。
筋肉質の細マッチョでキリリとした眉で短髪で男が見てもカッコイイ奴だった。身長は180センチは超えてると思う。
青の細い水着を着ている。
「なんか用か?」
と薫ちゃんに向かって言った。
「あんたがそうなのね」
と、何がそうなのかは分からなかったが2人の会話を邪魔する訳にはいかないことだけは分かった。
「キリンが動くとなると事件か?」
と。
キリン?
黒マントの誘拐犯を思い出した。
「座りなさいよ」と薫ちゃんは、怖い顔していた。
「この鈴に見覚えある?」
と鈴を見せた。
工藤は、鈴を手にして。
「これは、紅葉ヶ丘に住んでいる奴らの鈴だなぁ。コレをどこで」
「どこだっていいじゃないの?」
「連んでいるコイツは、キリンか?それにしては奇妙な感じだ」
「あんた、オーラが読めんのね!」
と薫ちゃんが感心していた。
でも、彼女を見ると可愛いなぁとつい思ってしまう。
キリン、キリン?
どういう意味だ。
「ちょっと待って!キリンって何のこと?」
と話に割って入ってしまった。
「差別用語よ。特殊な治療を受けた人たちの事をそう呼んでんの?」
「特殊?フォトバクテリアセラピーのこと?」
「そうよ」
「工藤君、治療受けたぐらいで差別されるのは困る。きちんと名前で呼んでもらいたい」
「彰人と薫でいいな。お前は、オレの事を蒼と呼べばいい」
別段、下の名前出なくとも良いのだが。
「カオル、アキト、俺も手伝いたい。仲間が何らかしら事件に巻き込まれてほっとけない」
事件?なんだ。
そうか、炭だらけになっていたのは。
人間なんだ。
「地底人って、結構、お節介なのね」
と言い返した。
「地底人?って」
と俺は謎だらけでよく分かっていなかった。
「この世の中にはいろんな人種がいるの。
地底人、海底人、天空人とあとは普通の人間と麒麟と呼ばる私なんかのこと」
「えっ?えっ?」
俺の頭は着いていけなかった。
「外国人みたいなの?」
人間の種類といえば肌や髪の毛の色、外国人だ。
「まぁ、そんな所かなぁ」
薫ちゃんは、頼もしかった。
「だったら、榊枝博士知らない?」
「助けてくれたお医者さんのこと、実は俺も探してるんだ。一度、きちんとお礼を言おうと思って」
「そう、今の時代はお医者さんか?」
と薫ちゃんは納得していたみたいだ。
博士?だったのか?あの人は、でも、親父に訊いても知らぬ存ぜぬだった。
実際、この世界に存在している人物には正直思えなかった。