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拓と私

パラジウムの鉱石

作者: 星野☆明美

「星花!」

「来ないで、拓」

拓の目の前で、星花は黒い影に飲み込まれてしまった。

彼女を救うにはどうしたらいいのか?拓は本山へ出向き、星史郎に会った。

「神器を作ってそれで祓うしかない」

「神器?どうすれば手に入りますか?」

「プラチナとかパラジウムの鉱石を探さなきゃならない」

「どこにありますか?」

「君は……」

値踏みするように星史郎は拓を見た。

「本当に星花を救いたいのかね?」

「なぜですか?」

「星花がいなければ、君は自由になれる」

ぞわ。拓の全身の毛が逆立った。

自由に?それはとても甘美な響きだった。だが、自由になったが最後、拓の負のエネルギーはとき放たれ、追われることになる。

「俺は、星花の付き人ですから」

乾いた声だった。

星史郎はふむ、と呟くと、パラジウムの鉱石がある場所を拓に教えた。

「鉱石を手に入れるためには、闘わなければならない」

「闘う?誰と?」

「鉱石の守護者と。そしてひいてはおのれ自身と」

自分と闘う?上等だ。拓はすぐさま鉱山へ向かった。

「何者だ」

誰何の声がした。

「俺は拓。大事な人を救うためにパラジウムの鉱石を手に入れにきた」

「我々と闘って勝ったなら、いくらでももってゆくが良い」

大入道が数体現れた。

拓は屋久杉で作られた数珠を片手に、呪文を唱えた。

「なかなかやるな。ではこれはどうだ?」

拓は幻覚の中に投じられた。欲望が暴走しそうになる。殺戮したい、暴食したい、蹂躙したい、それらの欲望が膨れあがりそうになったとき、拓は星花のことを想った。

やがて静寂が彼を包んだ。

「そんなに本気で想うひとがいるのか?」

「ああ」

「その者がいなくなる時、お前はコントロールを失うだろう」

そうだな、と拓は合点がいった。

「パラジウムの鉱石は?」

「もってゆくが良い」

これで星花を救うことができる。拓はいそいそと星史郎の元へ急いだ。

「よくやった」

星史郎はそう言うと、パラジウム製の神器を生成した。拓はその神器を持って星花を救いに向かった。

「待ってろよ、星花」

その声は風に乗って囚われの星花の元へ届いた。


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