5#青い果実
ナルに押し切られて、ナルのベッドに入る。
なっちゃんの香りがする。みかんの…
いや、ちがう。
押し付けがましい、街の女どもの香水とは全く違う、甘いフルーツのような優しい香り。
テイトはモテる。
街に居れば、女達が回りに群がる。
だがテイトは聖職者である事を理由に、一切相手をしない。
テイトにとって、女とは面倒を押し付けてくる、面倒な生き物でしかない。
面倒だけでなく、乳も押し付けられた事がある。
バインバインの脂肪の塊だ。
鬱陶しい事、この上無い。
「……甘酸っぱい優しい香りがする…熟しきってない、青い果実みたいな…美味しそうな…」
ブフォッ!!
自分の呟きに噴き出す。
青い果実って…!美味しそうって…!
噴き出した音を聞かれたかとテーブルの方に目を向けると、ナルは居なかった。
ドアが少し開いており、外で水の音がする。
ベッドの脇にある窓から外を覗くと、小さな桶に入れた水で身体を拭いているナルが居た。
ああ、畑で会った時から泥だらけになっていたもんな。
急いで食事の支度をしてくれたから、まだ全ての泥は落とせてなかったのか。と、納得したのだが、テイトは二度見、三度見してしまう。
なっちゃーーん!なっちゃーーん!!
全裸なんですが!!!
さすがに、これは……
テイトは黙ってベッドに潜った。
なんと言うか…理想の美少女に会えて幸せだとか、天国だとか、突き抜けて
もう、地獄なんじゃないかと。
我慢とか、忍耐とか、つらっ!
自制心…ナニソレ?美味しいの?
そう思える日が来るのだろうか…。