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3#ミネストローネ

畑から二人並んで小屋に向かう。

なっちゃん…ナルが言うには、古城に案内するのは構わないが今から向かうと帰りが夜になるので、明日の朝に出発しましょうとの事。


「気ままな一人暮らしなので、どうぞ泊まっていって下さいね。」


ナルは小屋にテイトを招き入れた。


俺、やばくないか?コレ…

テイトが思わず唾を飲み込む。


どストライクの美少女と狭い小屋に二人きりだとか、聖職者のしがらみとか、かなぐり捨ててでも襲いたくなったりしないか?それとも、これは試練か?神が与えた試練なのか?


「あの…テイトさん?」


「…あ、すみません、…空腹過ぎて…ちょっと…。」


妄想にふけるのを空腹のせいにした。


「あ、そっかお腹空いてますもんね。」


ナルはニコッと笑うと、暖炉に火をくべる。

暖炉には鍋がかかっており、鍋底が暖められるとフワリと良い匂いが部屋に充満する。


「すごく良い匂いがしますね。」


鼻孔が刺激されたせいか、腹の音が待ちきれないとばかりにクゥクゥ小さな音を連続して鳴らす。


テイトは腹を押さえながら、恥ずかしそうにナルの後ろ姿を見る。


「出来ましたよ、ミネストローネ!」


ナルは皿にミネストローネをよそい、テーブルに置く。

トマトがメインのサラダと、パンを並べた。


「あ…ごめんなさい、お肉類は無いの…だけど…いい?」


申し訳なさげに言う美少女。

ちょ…パネェ位にどストライク…今から食事なのに、ごちそうさまでしたと言いそう。いや、ぶっちゃけて言えば、なっちゃんをいただきますしたい。これ本音。本音ヤベェ!



「テイトさん…?」


「あまりに素晴らしい食卓だったので…言葉を失ってしまいました…。私は聖職者だから、野菜だけの方がありがたいのです。」


「良かった!お野菜ならたくさんあるので、遠慮なくおかわりして下さいね」


こぼれそうな程の笑顔。純真無垢な少女を前に、

テイトは少し後ろめたさを感じる。煩悩まみれの自分に。



二人向かい合って食事をとる。

ミネストローネはニンニクの香りがきいて身体が温まる。

そういえば、吸血鬼はニンニクが苦手と教典に記してあったなと思い出す。


ナル程の美少女、しかも古城の近くに一人暮らし…吸血鬼にとっては素晴らしい獲物だと感じる。

いや、吸血鬼以外にとってもだ…。


ナルの存在を知れば、彼女を手に入れたいと考える人間だって、決して少なくはないだろう。


ナルの方をチラリと見る。


ナルは、熱いのが苦手なのかスプーンに入ったスープに何度もふぅふぅ息を吹き掛け、冷ましてからスプーンを口に運ぶ。


ああ……俺は、そのスプーンになりたい…。




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