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11#悲しみと妄想と。

「ごめんなさい…」


なんで、なっちゃんが謝るの?


「ごめんなさ…い……」


なんで、なっちゃんが泣くの?


「殺されてあげられなくて…ごめんなさい…」


なんで、なっちゃんが俺に殺されなくて謝るの!


俺の方こそ、なっちゃんになら殺されてしまってもいいと思っていたよ?


なっちゃんを怒らせたら、なっちゃんが俺を殺すんじゃないかって…。


それでもいいと思っていたよ。


なっちゃんの作る野菜だらけのご飯、本当に美味しかった。

あんな美味しい食事、初めてだったよ?


なっちゃん…。



初めて畑で会った時から

泥だらけだったけど、太陽の下で、広い畑の真ん中で


俺のお腹の音に笑った君を見た時から


なっちゃんが好きだ。



俺が今、謝って…なっちゃんが許してくれたら…


俺は君と生きていきたい。


くだらない、妄想かも知れないけど、俺は…なっちゃん


君を愛してる。




テイトはその場に膝から崩れるように座り込んだ。

目は虚ろになり、動けない。



「ナルが!ナル様が!不死身だから痛くないとでも思っているのか!」


ラナはレイピアに貫かれたままのナルを支え、抱きしめ号泣しながら叫ぶように訴える。


「この人の心は…!誰より優しく、誰より傷付きやすい…!お前と一緒に食事が出来るのが楽しいと、私たちに笑いながらそう言ってたナル様をお前は殺そうとした!!」


涙を流したままのラナの目は赤く染まり、テイトに強い殺意を向ける。


「このあと、ナル様からどんな罰を受けても構わん。私はお前を殺す。」


テイトは抵抗を一切しなかった。


もう、死んでも構わないと思っていた。


「やめんか、ラナ。これ以上、ナル様を悲しませるな。」


地面に崩れるように座り込んだままのテイトを無理矢理立ち上がらせたジェンは、テイトの両手を後ろ手に縛り、無理矢理歩かせる。


「こいつは納屋に連れて行く。わしが話しをするから、ラナはなっちゃんの手当てをな。」


テイトはジェンの言葉にピクッと反応した。


「…なっちゃん……」


ジェンはテイトの呟きを拾い、やれやれとばかりにテイトを納屋に連れて行った。





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