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1#教典とクルースニク

いきなり始めたので、どう話が転がるか謎です。


書き殴りからのスタート、どうかお付き合い下さいませ。

この世には、人の命を脅かす闇の眷族と呼ばれる生命体が存在する。


遥か遥か遠い昔、この世界は聖なる神々と闇の神々との戦の地となり


人の地は焦土と化した。



長きに渡る神々の戦いは聖なる神々が勝利を治めた。

焦土と化した大地は聖なる神々の息吹によって緑がよみがえり、僅かに生きながらえた人々に与えられた。


闇の神々は地の底に堕ち、人の世には平和が訪れたように思えた。


しかし、闇の神々の眷族である吸血鬼たちは狡猾に難を逃れ、地の底に堕ちずに人の世にまぎれている。


聖なる神々を恨み、その神々に庇護された人間を憎み、地の底に堕ちた闇の神々を地上に引き上げ、再び大地を焦土とするつもりなのだ。



━━━クインザー教典 始まりの書━━




「平和だ…。」


どこまでも広がる青い空。

どこまでも広がる畑。


遠くでは小鳥のさえずり、牛の鳴き声、川のせせらぎや水車の回る音。


のどかな農村の一本道を、教典を読みながら歩いていた一人の青年は教典を閉じて欠伸をする。


背に赤い十字架の刺繍のある白いロングコートにアメジストのような紫の髪が映える━━この青年はクルースニクである。


この世界においてクルースニクとは、神々の戦いを経て今ある人々の平和を守る為に、教典に従い吸血鬼を屠る者たちの総称。


その中でも腕が良いとされる彼が此度、こののどかな農村に来たのは、吸血鬼たちの始祖と呼ばれるバンパイアがこの付近に潜伏している可能性があると教皇からの命を受けたからである。


青年にとって、教典に書かれている事は事実かどうか分からない胡散臭い記述だと思っている。


青年は神を見た事が無いし、奇跡と呼ばれる事象にもお目にかかった事が無い。


現実主義者の青年は教会に属する者でありながら、内心では無神論者に近い。


だが、吸血鬼と呼ばれる者たちは現実に居て、人々に暗い陰を落としている。


だから青年は吸血鬼を屠る。


人々の為に?神の代理で?


いや、ビジネスとして。





燦々と照りつける太陽の下、吸血鬼の根城を探すのは定石である。


うまく根城を見付けられ、陽の高い内に吸血鬼本体を見付けられれば危険を伴う事無く退治してしまえるからだ。


吸血鬼は太陽を嫌う。太陽に当たれば消えて無くなる。


腕の立つ青年は吸血鬼と対峙すると、そのまま倒してしまう。

よって、太陽に当たれば吸血鬼が消えて無くなる事を確認したことは無いが教典にはそう書かれている。


太陽は聖なる神々の息吹の一部で、闇の眷族には神罰の光だ。




「お兄さん、見かけない顔だねぇ!こんな田舎になんか用かい?」


農作業をしていた60歳程の年配の男が手を休め、青年に声を掛ける。


「この道の先に古城があると聞いて、そこに行きたいのだが」

青年が答えると、年配の男は不思議そうな顔をする。


「確かに、あるっちゃあ、あるが…城には何もないぞ?誰もおらんしな」


誰も寄り付かない古城、吸血鬼が居るのであれば、隠れ家としてこれ程うってつけな根城は無いかも知れない。


「陽が高い内に、そこに行きたいのだが」


青年が言うと年配の男は困った顔をした。


「城の持ち主なら、村の外れにいるからな。無人とは言え好き勝手入っちゃイカンよ。」


青年は、少し驚いた顔をした。

吸血鬼が潜伏しているかも知れない城に所有者が居るとは。


「おい、かーさん!この兄さんが城に行きたいそうだ!」


年配の男が、ほっかむりをして作業をする女に声を掛ける。おそらく男の妻であろう女が青年の側まで来てほっかむりを取った。


「ああ、なっちゃんなら小屋に居るみたいだよ。」


年配の男の妻なら年配の女だろうとの予想に反して、ほっかむりを取った女は若く美しかった。


年配の男の娘と言っておかしくない程に。


「この道を城に向かって行ったら、村の裏門のそばに小屋があるよ。なっちゃんなら、そこにいるから訪ねてみるといいよ。」


年配の男とほっかむりの女は、仲睦まじく肩を並べて農作業に戻った。年の離れた夫婦なのだろうか。


青年は二人の背に軽く頭を下げて、再び歩き始めた。


「なっちゃん…か」


今は小屋に住んでいるようだが、古城の持ち主と言うからには、元貴族とかなのであろうか?


しかし、なっちゃん……ナッチャン…名前?




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