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ウィドウ

作者: 鳥丸唯史

<ウィドウ>


思い出は夏の日 こぼれた宝石

バスティーユの煙は 花色に巻き上がる


やもめのあなたは 気高く美しい

もう一度つけよう 焦がれた御胸(みむね)に火を


水弾く指から 引き寄せて

運命さらおう 紅はこべが香る前に


なめらかな首もと 口づけをし 永久(とわ)の愛誓い

羽根が舞う楽園に つれていきたい

不安は脱ぎ捨て 裸足のままに無邪気に誘い

たとえばワルツでも 踊りましょう あなたと


喪服の黒など あなたに似合わない

絢爛(けんらん)におそれもない 笑い声に囲まれて


蜘蛛の糸を垂らして 試したい

純白の薔薇 金切り声がするり落ちてく


なめらかな首もと 口づけをし 永久の愛誓い

あたたかい涙に 頬を濡らし

歓声が噴いて ハッピーエンドの祝福をして

コンコルド広場で 踊りましょう 誰かと


望まれた結末を 見守られて


なめらかな首もと 口づけをし 永久の愛誓う

あたたかい涙に 頬を濡らし

思い出は秋の日 花色のパリ こぼれた宝石

たとえばワルツでも 踊りましょう 楽園へと

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