表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/48

ジンモン

捕虜となった私は、制服組が集まった建物に連行され、2人の制服組がいる部屋で、問いただされた。


まずは若い方から尋ねられた。


「自称勇者殿、住所と名前を言いなさい」

「汝ら、まろの勇者なるを知りて為したるか?」

「その口調、どうにかしてくれんか?俺は学生時代古文はいつも赤点スレスレで大嫌いだったんだ」


私の言葉は、ニホンでは昔の言葉だという。東の国では私の言葉の方が正確なはずだが、

ニホンと東の国はどうやら違う国らしいから、きっと崩れた言葉がニホンでは正しいのだろう。

個々の庶民の文章の砕け方は、あらかた掴んだからそれを模してやることとした。


「住所はブランクープの王都トッカネッロ、名前は、『フンドシイッチョ』だ」


若い方は、ガツンと机をたたいて怒鳴った。


「冗談もいい加減にしろ!…まあいい。その剣はどこで手に入れた」

「聖剣シュヴァルツフントは、西の国のドラゴン・アルテイラを倒して手に入れた」

「心神喪失を装うつもりか?最初は、みんなそれをやるんだよなあ~」


若い方は、私に顔を近づけて、不気味な笑みを浮かべた。そして真顔に戻って、言った。


「ケーサツ舐めてんのか?」

「ケーサツとは、ニホンのシノビギルドのことか?私はあらゆるギルドを尊重している」

「…ケーサツは、ギルドというよりは東の国の検非違使、と言えば分かるか?」


ここにきて、年老いた方が初めて言った言葉がそれだった。

検非違使と言われて合点が行った。どうやら私は、ニホンの法律に触れたということになっているらしい。


「なるほど。で、何故この私、勇者フンドシイッチョを捕まえたのだ?」

「あんなでかい刀を振り回したら、どんな人でも逮捕するさ。それが国民を守る我々の仕事だからね」

「それがジュートーホー違反か?」

「そういうことだな」


話によると、剣と、銃と呼ばれる、鋼鉄の怪物集団が使っているような鉛の豆玉を飛ばす兵器の所持は、ニホンでは認められていないそうだ。

ケーサツは普通に身に着けているようだが、それは例外ということか。


「…この国の法に触れたのなら、済まなかった。ブランクープへ送り返すなり処刑するなり、好きにしてくれ」

「こちらもそうしたいところだが、残念ながら、今回は厳重注意だけで釈放だ。

被害者のサカモトさんが自ら身元引受人としてお前を預かると言っているのだから」


はあ?

よりによって何故、私の前で悲鳴を上げたあの偽グンドリル、サカモトが…?


「サカモトさんは、あのゲームの大ファンだからな。

ここまで徹底してコスプレしている人は初めてだっていうんで、君を尊敬しているようだ。

だからか知らんが、とにかく、お前を預かってくれるとのことだ」


相変わらずこの国のシノビ扱いされているようで、どうも奇妙な気分になったが、機は活かした方がいいだろう。

私は、それに乗っかることとした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
小説家になろう 勝手にランキング
感想を書く! / レビューする!
小説家になろうアンテナ&ランキング
カクヨムコンに全部門1作ずつ、計6作エントリー中です!こちらもよろしくお願いします。
カクヨムの小説一覧
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ