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鋼鉄の世界

気付いたら、私は鋼鉄の世界にいた。


とんでもなく巨大な鋼鉄の建物が立ち並び、鉄の箱が群れを成して飛び回っており、

更には鉄の蛇だかミミズだかわからない何かが橋の上を高速で駆け巡っていた。

鉄の箱も、鉄の蛇ミミズも、体の側面に部分的に透明なガラスを含んでおり、中には人が入っているのが見て取れた。


恐ろしいことだ。きっとこれらの怪物は、人を追いかけまわして食らっているのだろう。


地獄に落ちろ。奴はそう言った。


やはり、私がいるのは地獄なのか…?そして、奴は本当に神なのか?


少なくとも、奴がこの「地獄」について何か知っているらしいことだけは見当がついた。

鋼鉄の世界と鋼鉄の怪物集団。いずれも鋼鉄つながりだ。それは偶然ではあるまい。


周りには、どこの国の服とも似つかない怪しげな服を着ている男女が多数歩いていた。

中には雑談している人もいる。


彼らの言語に耳を傾けると、どうも東の国の言語に近い。


あの国で修行していたおかげで、何とか意思疎通はできそうだ。


とりあえず東の国の言葉で、見慣れた戦士の服装をしている男性に声をかける。


「まろはブランクープ王国の勇者なり。汝は()そ?また汝、ここのいづくなるか、知るや否や?」


男性は一瞬固まった。…そして、一息ついてから、こう答える。


「擬古文ですか。それに本格的なコスプレ。尊敬します。

例のゲームの、東の国修業時代の勇者にとことんなりきっておられるのですね?」

「擬古文、コスプレ、例のゲームとは何ぞ?」


男性は一瞬呆れたような表情を見せたが、答えてくれた。


「擬古文とは是れ、今のニホンでは使われていない、昔の言葉に侍り。

コスプレとはコスチューム・プレイの略称に侍り。

例のゲームとは、勇者様のようご存知のものに侍れば、言うも愚かにや?」


やはり微妙に私の知っている東の国の言葉とは違う。

文法が崩れているが、かの国の庶民の崩れ方とも違う。

また、語彙も見慣れないものが目立つ。


とはいえ、何とか意思疎通はできそうだ。

ここはニホンという場所らしい。


少なくとも、東の国の地獄という言葉は「ヨミ」だから、この鋼鉄の世界は、

地獄ではない「どこか」らしいことも分かった。


まだまだ疑問はあるが、まずはこれだけでも、収穫としては十分だろう。

若干の古文教養が必要です。多分中学レベルなので、大人の読者なら普通に読みこなせるでしょう。

野暮なので、現代語訳は載せません。


仮名遣いや字体は、普通の現代仮名遣い・新字体を採用しております。

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