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無能な僕と嫌われ者の少女 (仮)  作者: 小雪
第1章.転入編
7/11

5話.サバイバルゲームにて……

 みんなはこういう感覚はないか?

 球技大会とか文化祭とかそういうイベントをめっちゃ楽しみにしてたけど実際はどうということはなかった、って感じ。

 僕はある。

 思ったより速く走れなかったりとか文化祭の準備はしっかり出来たけど本番で上手く行かなかったりとか。

 なんかこう……ガッカリするんだよな。

 今もそうだ。

 楽しみにしていた能力の訓練。

 それが何者かが仕掛けた罠的な物に嵌められ、見たくもない女子の下着姿を見ただけでサバイバルゲームのペアがいないって……

 うちのクラスは何だかんだ僕を加えて奇数らしい。

 だから大罪(覗き)おかした僕がちょうどいいって感じか?

 人生も飛んだクソゲーに落ちたものだ。

 普通こんな狙ったようにペアがいないのなんてそうないぞ。

 まぁ、別に良いんだが。

 だってまだ自分の能力の全貌を把握しきれてない僕と誰かが組むと巻き込む可能性があるから。

 眼前の敵が全て敵ということであれば容赦なく発動できる。

 けど星野ほしのさんが能力を聞いた時のあの驚きを考えるとかなりヤバイ能力だろう。

 そう考えると本気でぶっ放すのは危ないのだろう。

 何せ新宿区を凍結できる規模だからな。

「僕はペアじゃないし、万一を考えて体力温存」

 そういうことで僕は現在、フィールド内の最も高いビルの屋上から高みの見物をしているところだ。

 この学校には能力を訓練するための大規模施設が一つ。

 小規模施設が二つ。

 そして試合会場的な建物ドームが五つあるらしい。

 今使っているのは大規模施設なんだが、驚くべきことに大規模施設フィールド内に森や湖、都市などがある。

 そして大規模施設フィールドは実際の街や森を再現したものらしく、車なども実際に動くらしい。

 運転はさすがにダメらしいけど。

 全部を見たというわけではないが、まだまだありそうな気がする。

 言うてビルの上から見ている限り、目と目があったら戦闘というわけではないらしい。

 双方が引くか片方が引く。

 または交渉が見られる。

 みんなは極力戦闘は避けたいらしく、すぐ戦闘はどうやらセオリーじゃないらしい。

 まぁ、僕もそうだけど。

 二人一組のペアだが、所詮は勝ち残れば良いだけ。

 だから強い能力者を潰すまで共闘という形を取っているのだろう。

 その狙いは僕だろうけど。

 というのもサバイバルゲーム開始前に能力訓練担当の教師であり、更衣室の空間の歪みを治してしまった三枝さえぐさ先生の煽りが原因だろう。

 三枝さえぐさ先生の能力は終焉しゅうえん消滅しょうめつ

 終焉しゅうえんはよく分からんが、消滅しょうめつは物体を消滅させることが出来らしい。

 たとえどんなに小さなものでも、霊的なものでも、そして結界でも消滅させられるらしい。

 三枝さえぐさ先生は消滅しょうめつによって更衣室の空間の歪みを消滅させたらしい。

 そして僕の頭を思いっきりぶん殴ると。

 めっちゃ痛かった。

 喜菜香きなこのビンタより痛かった。

 その後、遅れた僕を含めた十人は授業の説明をクラスメイトと共にルールを聞いた。

 そしてだ。

 そして三枝さえぐさ先生は最後に厳しい顔で言った。

「成績は順位順につけるからパートナーを大事にしろ!わかったな!」

「「「はい!」」」

 先生、パートナーがいません!

 みんな周りではパートナーと作戦を立てているが、僕にはそんな相手いない。

 まぁ、居ても作戦立てられないんだけど。

 だって男女ペアが基本だから、女性恐怖症の僕には超無理ゲーだ。

「あ、忘れていたことがある」

 三枝さえぐさ先生が思い出したようにクラスに言う。

 僕の方を指差してにこりと良い笑顔をする。

 あ、嫌な予感がする。

 女というのは何を考えているのかわからないのも嫌だ。

「そこの坂本広輝さかもとこうきは女子更衣室を覗きしたから、躊躇なく殺していいからな」

 っと。

 とんでもないことを言ってくれるよ、三枝先生あいつ

 その瞬間クラス全体の雰囲気が変わる。

 笑顔で作戦を立てていたペアたちからさっきが沸き起こる。

 いや、被害者は既に殺す気満々だっただろうけどその言葉でさらにやる気がついたのでは?っと僕は思う。

 まぁ、今思い返せば我が人生。

 現実リアル女子とはほぼ接しなかったが、二次元の女子とは少しだけいい関係になれたから良い気がするよ。

 僕はもう現実から目を背けるしか道はないようだ。

 なんという残酷な運命なのだろう……

 なんて考えてても狙われない。

 正直、誰にも居場所は特定されていないんだけどね。

 というか何、訓練始まってもうそろ三十分経つけど僕まともなこと何一つしてないんだけど。

 フィールドに入ってから速攻でビルの屋上にエレベーターを使って上がって、屋上に上がるドアを氷で凍らせただけで後は何一つ能力使ってない。

「悲しいのう……」

 僕自ら襲いに行く勇気はないためチキるしかないんだけどさ。

 というかここって確かSEシステムエンジニアの会社だよね。

 ってことはパソコンがあるだろ。

 そしたらパソコンゲームして待ってられるんじゃね。

 さて、思い立ったら吉日。

 下の階からノート型のパソコンを持って来よう。

 僕は屋上の入り口の氷を自身の氷で作った塊を打ちつけて壊すと下に向かってスキップしながらパソコンを探しに行った。

 ドアを開けて下の安全を確認しノート型パソコンを探す。

 そしてものの数秒後。

 無事ノート型パソコンをゲットした。

 そして資料室の中に何かないか漁ってみると、ゲーム製作用のプログラムをまとめたクリアファイルが何冊か見つかった。

 それもゲット!

 そして後は仮眠室に置いてあった冷蔵庫の中からブドウジュースと数分の水をゲット。

 さらに冷凍庫からはバニラアイスをゲットした僕は屋上へと再び帰り着いた。

 ここの建物はまだ荒れてないから戦闘は行われてないらしい。

 さて早速プログラミングだ。

 まぁ、僕の天才に等しい頭脳を使えば朝飯前だ。

 まずはパソコンからプログラミングの一般知識について調べた。

「if構文はもしもこの条件通りにならなかったらもう片方の結果を行うってことか〜」

 と理解を深めていた。

 うん、英語ばっかでよくわからんがなんとなく理解できた。

 僕…天才だろ!

 まぁ、喜んだのもつかの間。

 取り組んだのはいいものの理解できたのは基礎中の基礎だけ。

 応用はまったく理解できなかった。

 途中でアイスとかジュース飲みながら誰か来るのを待っていたけど誰もこない。

 外の様子を確認しても街には人の気配がなかった。

「暇だな〜」

 なんか授業でここまでダラダラしているのもいかがなものかと思い始めてきた。

 いやだってこれ一応は授業じゃん。

 なのにこの家にいるような状況は……

 まるで屋上に家のような安心感を感じる。

 そして気づけば始まってから一時間が経過していた。

 これはさすがにダラけ過ぎだと珍しく思った僕は周囲の様子を見てみた。

 しかし上から見えるのは荒れかけた街。

 一体戦場で何が起きているのか、戦っていない僕にはまったくわからない……

 ん?

 ここのビルよりも少し低いビルに弓を持っている小さな女子が二人の男子に追い詰められているのが見える。

 男子二人に小さな女子一人って醜いなぁ。

 それに弓兵にとっては至近距離での対決は分が悪い。

 弓を構える間に攻撃されるだろう。

 まぁ、理由がどうであれ複数で追い詰めて女子を倒すとか強者のすることではない。

 弱者のすることだ。

 てな訳で自分の置かれている立場を理解しない僕は颯爽とビルの端に移動する。

 追い詰められているビルとの距離は約二十…メートルくらいか?

 それぐらいなら問題ない。

 僕は足元に氷のイメージをする。

 白くて冷たくてとても硬い氷……白くて冷たくてとても硬い氷……

 すると足元が氷始めた。

 そのまま僕は空中に右足を一歩踏み出す。

 すると足元に氷が生成される。

 このイメージのまま前方に足を踏み出せば氷が生成されるはず。

 それを利用して男子達アイツらを背後から殺害!

 この計画の前に敗北はほぼない。

 何故なら不意打ちなのだから!

 というかコレ、アニメキャラがカッコよく移動するときにしそうなことじゃん。

 スゲェ!

 僕の力だとそれも出来るのか……

「僕の勝ちだ!」

 僕は一言呟くと落下への恐怖を捨て、空中に駆け出し始める。

 というか、というか!

「この能力ならアニメでやってることに似たことを……」

 僕は男子生徒達の背後に飛び降りる。

 そして手元に短い二本の短剣を想像する。

 すると手元にすごく熱い二本の剣が生成される。

 形は歪で、自身の両手は冷た過ぎて熱く感じる程に痛い。

 だが、そんなことは数秒耐えれば良いことだ。

 グサッ……皮膚を突き破り内臓に深く突き刺さる音が聞こえる。

 あ、説明し忘れてたけどこの演習場は最新技術によって死の判定及び降参をすると強制的に転移されるらしい。

 怪我や火傷をしている場合は転移中に治療されるという超高性能転移装置が全フィールドにセットされているらしい。

 だからこの男子達に刺しても問題ない。

 ゲームみたいに生き返るんだし……

 男子生徒達は声を発さずただ無言で倒れて消えた。

 サバゲーだと相手の死体漁って弾丸とか補充するんだけどなぁ……とか考えつつ僕は今更のように凍結しかけた手から二本の短剣を離す。

 短剣は地面に落ちると粉々になってしまった。

 まぁ、これだけでもいい勉強になった。

 無差別に凍らせる他に物質として作って戦うことも出来るらしい。

「さ、坂本さかもとくん」

 この声どこかで聞き覚えがある。

 僕が顔を上げるとそこには弓を背負った星野ほしのさんがいた。

「あ、追い詰められてたの星野ほしのさんだったんだ……」

 星野ほしのさんって弓使うんだ。

 なんか弓道やってる雰囲気がなかったからてっきり普通の小さい女子かと思った。

「た、助けてくれてありがとね」

 星野ほしのさんは僕の目の前まで歩いてくる。

「いえいえ、気にしないでください。ちょうど暇してたところだったので」

「暇ですか?」

「はい、暇でしたので……そういえば星野ほしのさん、ペアの男子はどうしたんですか?」

「えっと……ペアの佐々ささきくんに前衛を頼んで私は後衛でアシストをしていたのですが、集団で共闘しているグループと遭遇して逃げる最中に佐々木くんは……」

 佐々ささきくん、誰だか知らないけど御愁傷様です。

 集団戦闘だとこういう事態が起こり得る。

 まぁ、それはしょうがないことだ。

「そ、それで坂本さかもと君はまだ生きてたんですね」

「死んでた方が良かった?」

「い、いえ…共闘しているグループの狙いが坂本さかもとくんだったのでてっきりもう死んでいるかと……」

「僕はずっと隠れてたので特に誰とも遭遇しませんでしたよ」

「そうですか。それは良かったです」

「ま、星野ほしのさんも気をつけてください。僕も最後まで生き残れるように頑張るんで!」

「ちょ、ちょっと待って!」

 星野ほしのさんが僕の服を掴む。

 お、おお…それ以上僕に触るな。

「はい、どうかしましたか?」

「その……坂本さかもとくんってペア不在なんだよね」

「そうだけど」

「じゃあ私とペア…じゃなくて共闘関係にならない?」

 僕はここで二つの未来を予想した。

 一つは背後から脳天を撃ち抜かれ死亡。

 もう一つは星野ほしのさんを巻き込んで批判が飛び交う。

 まぁ、どっちにしろ僕に干渉する割合が多過ぎるということだけは言える。

「共闘関係ですか?」

「うん、私が坂本さかもとくんの援護をするよ」

「そう言いつつ僕の頭蓋にめがけて矢を放ちませんよね?」

「そ、そんなことしないよ!」

「けど僕は能力を使うことに慣れてないので巻き込んじゃうかもしれないのですが……」

「大丈夫!私は遠距離で構えてるから問題ないよ」

「そして僕の頭蓋をかち割ると……なるほどなるほど〜」

「だからそんなことしないよ!」

 焦ってる星野ほしのさん少し可愛いなぁ………いや、ここは戦場だ坂本広樹さかもとひろき

 くれぐれも油断しないことが大事だ!

「べ、別にいいですけど……」

「けど?」

「僕の隣にいることが条件です。それなら共闘関係になっても良いですよ」

 まだ能力の行使に慣れていない僕でも隣で僕に向けて射ようとしている相手を止めることはできる。

「わ、私なんかが坂本さかもと君の隣を歩いて良いの?」

「いや、むしろ歩いてもらわないといつ脳天に矢が飛んでくるか?気が気じゃありませんよ」

「だから狙わないって!」

「まぁ、共闘関係になったと言っても何をするんですか?」

「他グループの殲滅」

「物騒だなぁ……」

坂本さかもとくん、戦場というものは物騒で怖いんだよ!」

 星野ほしのさんが脅すように言う。

「もうちょっと平和に済ませることはできないんですか?」

「無理だよ。私が平和に済ませようとしても相手が攻撃仕掛けて来ちゃうんだから」

 なにこの学校の生徒は野蛮人なの?

 目と目があったら戦闘しないだけまだマシだけどいつでも戦闘したくてウズウズしてるの?

「いや、もうちょっと平和に……だから怪我をしない、させないをモットーに………血を流さずして解決しましょうよ」

「つまり名誉革命をすれば良いの?」

「なぜその言葉ワードが出てくる」

 星野ほしのさんってもしかして天然?

 しっかり者でちょっと抜けてる天然系ロリキャラ……

 ありだな。

 二次元であれば……な。

「けど星野ほしのさん。これからどうしますか?」

「周囲を警戒しながら行動。そして敵に遭遇したら戦闘!じゃないですか?」

「そんな戦闘、戦闘って野蛮人じゃないんだから……」

 とりあえずまぁ、星野ほしのさんがいればちょっとだけ心強いや。

 巻き込む心配も出てきたけど。

「さて、坂本さかもとくん。いざ戦闘へだよ!」

 星野ほしのさんは弓を構えて言う。

 星野ほしのさんと弓のサイズが合ってない気がする。

 まぁ、良いや。

「とりあえず敵を探しに行こうか」

 こうして僕の一方的な虐殺劇が幕を開けることとなった。

解説

名誉革命

名誉革命は血を流さない革命として有名。

この革命によりイギリスのカトリックの再確立の可能性が完全に潰され、イングランド国教会の国教化が確定しただけでなく、権利の章典により国王の権限が制限され、イギリスにおける議会政治の基礎が築かれたのであった!


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