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無能な僕と嫌われ者の少女 (仮)  作者: 小雪
第1章.転入編
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4話.更衣室の惨劇

 図書室から帰って来た僕は早速更衣室に移動し新品の匂いを纏ったジャージを着た。

 とりあえずこれで移動すれば問題ないか?

 更衣室には元から数人の男子が着替えていた。

 まぁ、その誰もが僕が入って来た時に「来んなよ」っていう顔したのを感じた。

 いやけど更衣室に来て驚いた事なんだけどさ。

 更衣室のロッカーって荷物置きっ放しで良いようだ。

 どういうことかというと、更衣室のロッカーって全学年使用したりするから基本もの置きっぱはダメじゃん。

 けどこの学校は更衣室のロッカーの指紋認証装置が付いてて、指紋を認証して開けると自分専用のロッカーの中身になるらしいんだよ。

 流石、国の将来を担うと言っても過言ではない魔導士育成学校だこと。

 最先端技術もポンポン取り入れてるってことか……

 まぁ、僕も工業高校生の端くれであったためのさがか色々試したくなるんだよね。

 指紋認証しないで開けたら何が入っているのか?とかロッカーの中身は時間が止まっているのか?とか。

 時間のない中、指紋認証なしでこじ開けようとすると警告をするメッセージが流れた。

 当たり前といったら当たり前だ。

 それでも無理に開けようと力を入れるとロッカーの扉が重たくなったが、さらに力を入れるとロッカーは無事開いた。

 どうやら指紋認証せずに開けるとロッカーの中は真っ黒だった。

 なんというか深淵スペースでそこは空間が歪んでいるようで手を入れると弱い力だが徐々に身体が吸い込まれることを確認した。

 流石、最新技術。

 この技術うちにも欲しいな。

 これあれば家に収納スペースとしてロッカーだけあれば他に収納棚とかいらないじゃん。

 まぁ、これ以上解体的なことをすると直せない気がするので元どおりに戻しておいた。

 それにしても……

 オラ、ワクワクすんぞ!

 だって自分の能力をぶっ放せる時間が来たんだぞ。

 この時のために僕は生き延びて来た。

 そう言っても過言ではない。

「さて、移動するか?」

 確か移動先は能力訓練場だったかな。

 僕は力強く更衣室の扉を開い……かない。

 あれ、開かねえ。

 何でだよ。

 誰かがグルーガンで扉を溶接してしまったのか!

 まぁ、今のは興奮気味な僕の謎思考。

 さてさて入口の立て付け悪かったのかな?

 僕はドアノブを持って体重をかけるようにしてドアを引く。

 なんでこんなに硬いんだよ!

 このドア押して開ける式じゃなかったけ?

 クソが!

 僕はドアに向かって思いっきり蹴りを入れる。

 まぁ、扉自体は蹴り一発で開いたんだよ。

 すごい音を立ててな。

 しかしだな………なぜその先女子更衣室なんだよ…………

 着替え中の女子が一斉に僕の方を向くが、僕の思考はそれどころではなかった。

 いや、女子の下着が高々見れたことで興奮したわけじゃないからな。

 そんなの普段の生活だったら洗濯で日常的に見てるからみたいとは思わない。

 僕がツッコミたいのはそこじゃないんだよ。

 この男子更衣室の出入り口は一つしかない。

 なのになんで開いた扉の先が女子更衣室の中なんだよ。

「だ、男子!なんで女子更衣室に入って来てるのよ!」

「キャー変態!」

 女子たちはこの謎の現象に悲鳴をあげていた。

 もちろん女子更衣室には一緒に更衣室前までやって来た星野ほしのさんの姿もあった。

 星野ほしのさんは制服をちょうど脱ぎ終わって下着の状態だった。

 まぁ、この時僕の思考に浮かんだことは何か?

 それは星野ほしのさんがとても非常に妹の思考や感性が似ていると思った。

 いや、どこで思ったかとい…………

「え、さ、坂本さかもとくん!な、な、な、なんでじょ、じょ、女子更衣室に………」

 バタン!

 僕は星野ほしのさんの顔を真っ赤にしながら言うセリフを最後まで聞かずに扉を閉めた。

 これは夢か何かだ。

 だっておかしいだろ。

 なに、僕が着替えているうちに次元が歪んで男子更衣室と女子更衣室の扉が繋がった?

 いやいやいや、アニメじゃないんだからそんな視聴者様のための間違って男子が女子更衣室に入ったシーンとかいう名目でガン見できなくて良いんだよ。

 大体そういうキャラって跡形もなく砕けるよね、信頼が。

 女子の信頼とか正直要らないけど、学校全体 (先生含めて)なくなるし、女子更衣室なんて覗いたら停学処分は免れないだろ。

「これはどういうことだ……」

『男子更衣室と女子更衣室の扉が繋がってしまった事件』の要因として僕が推理できたのは二つ。

 一つ目はこの男子更衣室にいる男子が自分の欲望のために僕を覗きの犯人にしてしっかり覗き、犯人じゃないと述べるか?

 二つ目は僕をはめるための罠か?

 それか……

「僕の神にも等しい神聖な魂がついに第二能力を開花させてしまったか!」

 第二能力とは、その人の二つ目の能力。

 二つ目の能力が開花するのは百万人に一人レベルでほぼ覚醒することはありえない。

 しかし実際覚醒事例は何件かあるらしいが、このタイミングで覚醒っていうのはなんだ?

 このラブコメに必須のラッキースケベ的な展開を作者が「出すタイミングないから能力覚醒しちゃえ!」って適当な感じで覚醒させたこの感じ。

 何なんだよ。

 なんの因果があってこのタイミングなんだよ。

 僕は決してラブコメ主人公になりたいわけじゃない!

 ただ妹と二人で仲良く暮らせる生活であればどんなものでも受け入れてやる性分である。

 さて、この第二能力がなぜ開花したのか?はさて置き。

 過程の現実性から述べると一つ目か二つ目が妥当な判断だろう。

 それよりだ。

 僕はドアから振り返って部屋全体を見て思う。

 どうやってこの密室から出る。

 更衣室というのは着替えるための部屋。

 もちろん窓はほとんどが小さい。

 開いても僕じゃ出れない。

 絶体絶命じゃないか?

 ドアを開けば女子更衣室。

 出口はどこにもない。

 この難事件をどう解決すればいいんだ?

 ガチャ!

 ドアが勢いよく開かれる音が僕の後ろから聞こえる。

 その後に聞こえて来た声は……

「ちょっと…坂本さかもとくん!覗きなんて最低!」

 女子の声だった。

 女子も少なからず困惑

 まぁ、何らかの現象で男子更衣室と女子更衣室が繋がってるんだから女子も男子更衣室こっちに来れるだろう。

 それよりも僕に近ずくな!って感情が自己主張をしているが、今ここで変な対応を取れば殺されるだろう。

「さ、坂本さかもとくん!」

 当然、星野ほしのさんも女子更衣室にいたのだから、僕に問いただすだろう。

「な、なんですか……」

 僕はいつも通り落ち着いた口調で対応をする。

「なんでの、覗きなんていう犯罪を!」

 犯罪と言われても……女子が視界にヒィフゥミィ……星野ほしのさんを含めて五人か。

 男子も僕を含めて五人……ってなんか僕以外の男子は扉から距離おいてもう既に避難してるんだけど。

楠木くすのきくん!これをやったのは誰?」

「ど、ドアを開いたのは坂本さかもとだし坂本さかもとなんじゃない?」

 楠木くすのきと呼ばれる男は躊躇なく僕の名前を出す。

 おそらく楠木くすのきは女子とも多少仲がいい……というかこの状況で一番信頼度ないの僕じゃん!

 へ、下手に動いたら殺される。

 というか意外とうちのクラスの男子はノーマルばっかだと思ってたけど意外にまともな顔もいたものだ。

坂本さかもとくん!どうなの?」

「僕にこんな能力は……ないんだけど……」

 僕は振り返らず背中で語る。

「じゃあ誰がやったの?うちのクラスにもこんな能力を使える人はいないわよ」

 やっぱ信用ないなぁ…当たり前のことだけど。

「僕は氷の能力者であってそういう転移系?次元を歪めたりは出来ないよ」

「けどあなたがドアを開いたら女子更衣室と男子更衣室のドアが繋がったんでしょ」

「みたいですね………」

「みたいですねってあんた、私たちの下着を観といて他人事ひとごとで済むと思ってるの?」

 思ってません。

 妹の喜菜香きなことの生活において数少ない家内事件のひとつだ。

 喜菜香きなこが着替え中の時に入ると思いっきりビンタをされる。

 別に僕は妹の着替え姿を見たくて入っているのではない。

 例えば………妹の私服や下着をタンスにしまいに行ったりとかする時、一ヶ月に一回程起きる。

 一度家内事件が起きると一日二日、三日の間は口を聞いてもらえない。

 まぁ、コンビニでプリンを買って来てあげると機嫌直してくれる。

 またそこが可愛い……

坂本さかもとくんがやったんですか?」

 星野ほしのさんの声によって僕は現実に引き戻された。

 ……完全に意識が現実逃避しようとしてた。

「僕じゃないです」

 僕は後ろにいる星野ほしのさんに言う。

「お前じゃないっていうならまず誠意として私たちの方を向いて言えよ」

「そうだよ」

「私たちの方を見て話してよ」

 僕は女子が見たくないんだが……

「ちょっと待ってみんな。その……私が事情を聞くから」

 僕を責める女子を止めている星野ほしのさんの姿を今の声から想像した。

 しかし僕は女性恐怖症的な症状がある男子。

 女子とは決別するのが最良なのだ。

 それが我のさだめ

坂本さかもとくん、実際のところどうなんですか?」

「実際のところも何も僕じゃありません」

「だって!みんな、この現象には坂本さかもとくんは関係ないよ」

 なぜ、星野ほしのさんはそんなことを言い切れるのだろうか?

「ほ、星野ほしのさん?」

「どういうこと?」

「だって坂本さかもとがドアを開いたら繋がったんなら坂本さかもとが犯人だっていうのが妥当だろ」

 まぁ、そうなるだろう。

 僕が触れて女子更衣室と繋がってしまったのであれば理由がなんであれ僕のせいになるのは必然だろう。

「けど坂本さかもとくんは何もしてないんだって!」

星野ほしのさんはなんで坂本さかもとがやってないと思うんですか?」

「それは……」

 僕のことを庇うだけ無駄だとは思わないのだろうか?

 僕は転校初日にクラス全体に喧嘩を売ったような男だ。

 そんな男を誰も信じたいとは思わないだろ……

「私は坂本さかもとくんが優しい人だと思うから!」

「「「…………………」」」

坂本さかもとくんはコミニケーション能力があまりなくて誤解を招くことも多いよ。けど坂本さかもとくんは根は優しい人だって私は思うから」

 どうしてそこまで言えるんだよ!

 今日会った人にどうして………

「確かに坂本さかもとのせいではないな。坂本さかもとの能力は氷を操ることに優れている。ただそれだけで空間を歪めることはできない」

 どこからかそんな声が聞こえてきた。

 だがそれは救世主メサイアではなく、悪魔デーモンだったと僕は後で知った。

 更衣室全体にパキパキ……やパリッ……パリパリと言った風な何かが粉々になっていくような音が響く。

 これはよくあるアニメとかでいう…「け、結界に亀裂が!」的な感じなことが外部で起きているような気を起こさせる音。

 これは僕は助かったのか?

「だがしかし、女子更衣室で女子の下着姿を見てしまったのは罪だと思う。よってこの事件は校長に報告。そして女子の下着姿を見てしまった坂本広輝さかもとひろきは次の時間に行うサバイバルゲームを単独で行うことを命じる」

 おい、よくわからんが僕の処罰を言っていたのか?

 だが我にその程度の脅しは通用しない。

 何故なら……

「サバイバルゲームって何ですか?」

 状況がまったく理解できていないからだ。

 パリン!っと一瞬にしてなにかが消滅した音が聞こえた、がその直後に僕に訪れたのは祝福でもなんでもない。

 ただ僕が覚えているのは背後からの重たい一撃だった。

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