彩都から見た将棋部 story①
「今すぐ抱きしめたい」
それが、俺、天竜彩都が神代優菜を見た印象だ。
そして俺は思う。
ゆなちんは俺が好きなんだろうと。
幼稚園の時の一言を今でも覚えてるし、赤羽中将棋部を作った時も、一番最初に優菜が来てくれた。
気が付けば俺の隣にはいつも優菜がいた。
それなのに、どうしてだろう。
幼稚園の時の約束を信じて、ゆなちんは毎日のように将棋でVSを挑んでくるし、ゆなちん自身も、
「勝つまで告白しない」と心に決めているらしい。
そして、TVに夢中の黒髪ショートカット、星川心葉。
こいつは中学生ながらC1リーグを戦う女流棋士だ。
ちなみにこいつは何故か、俺とゆなちんの対局中に俺たちのことをにらんでくるのだ。
そして、横にいる桃髪女子が、谷川るる。
この人はチェスが得意だが、ノリで将棋部に入ってきたのである。
そしてこいつも、俺とゆなちんが話しているのを邪魔してくる。
そして、俺は毎日ゆなちんとるるちゃんに将棋を教えているのである。
「あやとくーん。ゆうなとしょうぎしよう!」
「また!? 今日は俺怠惰な日~」
「だって早く勝って、あやとくんに・・・・」
「はいはいはい分かった分かった」
「・・・・じーーーーーーーーーーっ」
ん?何か視線を感じるぞ!?
その視線をたどると、案の定星川さんがいた。
ヤベエ。マジ怖ぇ。
「ん?あやとどうしたの?」
「いや、なんでもない」
「そんなことより、早く将棋しようよ」
「はーーーーーーーーーーーーい!
ボクが相手してあげる!」
俺たちの会話を遮ったのは、るるちゃんだった。
そして、るるVSゆなちんの対局がいま、始まろうとしている!!!