私は勝手に行動する。
「――お前、絶対勝手に行動するなよ。俺が戻ってくるまでホテルで待機だぞ」
翌日、せっかくホテルの豪勢な朝食を堪能しているところに、春哉がくどくどうるく言って邪魔をする。今日こそは北海道支社に顔を出さないとまずいんだそうだ。
「お前って思い付きでほいほい行動するから危なっかしいんだよな」
保護者みたい、と心の中で突っ込んだが、ここまで来られたのは春哉の協力もあってのことなので、言わないでおく。
感謝している。本当に。
「いいか、午前中は休んでろよ。午後には戻って来るから、それから行動開始だ」
「はーい」
そして春哉がホテルを出たのを見送ると、私は上着とリュックを手に。部屋を出た。
電話がかかってきた。宇野だ。
「もしもし?」
そろそろかかってくるころだと思っていた。昨夜目を覚ましたと、病院から連絡があったから。「よく眠れたみたいね」
「――おう、すまん。ここんとこ徹夜続きでな……。昨夜目が覚めたらしいんだが、またうとうとしてた。もう年だな」
電話の向こう、気まずそうな宇野が想像出来て可笑しい。
「心配してた。無事でよかった」
「さっき警察が来て、ようやく頭がはっきりしたよ。お前のことも思い出した。待ちぼうけくらわしてすまなかったな」
「いいよ。体、どう?」
「まあぼちぼち……骨折と打撲以外問題ないから、すぐにでも退院したい。――お前、今どこにいるんだ」
「北海道」
「なんでまた。北海道のどこだ?」
「法務局」
「なんだって?」
「調べ物をしていたの。――ちょうどよかった。宇野に聞きたいことがあるのよ」
「……なんだ?」
「紫永って人、知ってる?」
はっ、と息を呑む気配。それで答えがわかった。
「……ああ、知ってる」
ようやく、繋がった――。
「どういう知り合いか、教えて」
「紫永が……どうかしたのか」
「宇野を殺そうとした人よ」
「……。俺も聞きたいことがある」
「なに」
「俺を車で轢こうとした人間の顔を、避ける寸前見たんだ。――お前と同じ顔をしてた。どういうことだ?」




