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家族とのやりとりとか難しいです!!
姉妹たちも今までとのギャップによって既に陥落寸前。
と言うか、來未以外の二人は完全に陥落していた。
そんな状態で突然、俺のお腹が可愛い音を出してしまった。
姉妹と母は何の音なのかわからない様子だったが俺は恥ずかしさで一気に顔が赤くなる。
俺の様子がおかしい事でさっきの音が何処から鳴ったのか気がつき、同じ様に顔を赤くする姉妹と母。
「朝から何も食べてなかったもんね。」
困ったようなお母さんの笑顔で更に恥ずかしくなる。
「ママ! お兄ちゃんに桜のおやつのプリンあげる!!」
「でも、桜ちゃんのお小遣いで買ったプリンでしょ?」
「うん、でもお兄ちゃんにあげる!」
「(桜ちゃん優しいなぁ…)」
ちょっとしたアクシデントと桜ちゃんからの優しさのおかげで、先ほどまでの緊張もだいぶほぐれた。
桜ちゃんに感謝しつつプリンをいただく。
「桜ちゃん、プリンありがとうね凄く美味しいよ。」
微笑みながら桜ちゃんにお礼を言うと桜ちゃんの顔が赤くなりどこか恥ずかしそうにしていたが、やはり自分も食べたかったのかプリンをチラチラと見ているのに気がついた。
既に食べてしまっていたが流石に独り占めするほど意地悪ではないので。
「桜ちゃん桜ちゃん、あ~ん。」
やっておいて何だが凄く恥ずかしい。
「ひぇっ!?
おっ、お兄ちゃん!?」
「ほら、もとは桜ちゃんのプリンなんだし、あ~」
「あっ、あ~んっ!」
「美味しい?」
「うん…、しゅごくおいしい…」
桜ちゃんも流石に恥ずかしかったのか、耳まで真っ赤に染まっていた。
そして、お母さんと姉さん達も食べたかったのか、羨ましそうにこちらを見ていた。
この家族はプリンが好きなのだろうか…。
その後も何回か桜ちゃんにあ~んをねだられ、とても恥ずかしかった。
プリンを食べ終わった後、姉妹達にお母さんから俺に何があったのか説明していたが…全く耳に入ってなさそうだった。
「そっ、それでお母さん…翔くんはこれからどうするの。
学校は今までは通わなくて大丈夫だったけど、記憶喪失になったんだったら通学免除試験に合格出来るかわからないでしょ?」
「そうねえ…」
「通学免除試験って?」
「通学免除試験ってのはね、頭が凄まじく良い男子生徒のみが受けられる試験で、この試験に合格すればその学期は学校に通学するのを免除される制度だよ。
全国でも免除されてる子は少なくて、その試験の合格者は自動的に政府から特別保護指定されるんだよ。
まぁ、翔も対象者になったんだけど、拒否した上にこっそり監視していた人達を全員見つけて『僕に見つかる程度の能力しかない人間に保護されるつもりは無いです。』って追い返しちゃったけどね~。」
「お兄ちゃんかっこよかったなぁ~。」
「(なにやってんだアイツ…)」
「だけど、お母さんとしては今回の事件もあったから特別保護指定を受けた方が良いと思うわ。」
「私も受けた方が良いと思う。(こんなに無防備だし…)」
「俺は学校に行ってみたいです。」
「翔ちゃんが行きたいって言うなら…、じゃあ明日学校にお話しに行きましょうか…」
ここで俺は重要な事に気がついた。
「そういえば、まだ皆の名前しか聞いてないんだけど。」