7
あぁ…また家族回なんだ…
自室のドアがノックされる。
「翔ちゃん、ちょっと良いかしら。」
「はい、どうしました?」
お母さんから俺の姉妹に記憶喪失のした事、そして今から姉妹たちに会ってほしいと言われた。
「大丈夫?」
「えぇ、大丈夫ですよ。」
「そしたら、リビングまで一緒に来てもらっても良い?」
「はい。」
「(アイツから俺に姉妹がいるとは聞いていたが、実際に会うとなると急に緊張してくる。
前世では彼女がいた事はあったが、何年も前に別れてからは職場のおばちゃん位としか話してなかった俺は非常に耐性が下がっていると思われる。
そして、このお母さんの娘と考えるとかなり美人だと予想出来る…
俺はちゃんと話が出来るだろうか…)」
そんな事を考えているうちにリビングのドア前まで来てしまった。
「(やばい…手汗が止まらない…、舌が乾いてきた…!)」
「翔ちゃん大丈夫?」
「ひゃいっ!」
一緒にいるお母さんに声をかけられただけで驚いてしまう程度には緊張していた。
そんな状態の俺を連れてお母さんはリビングに入っていく。
「おじゃまします…」
中の様子を確認しながらリビングに入っていく。
テーブルには、落ち着いた雰囲気の黒髪ロングの女性と活発そうな茶髪ショートの女性と可愛らしい黒髪ツインテールの少女。
うん、美女と美少女が座っている。
お母さんに勧められ、お母さんの隣の席に座る俺。
姉妹は何だか凄く信じられない物を見るような目をして俺を見ている。
「あっ、あの…はじめまして…じゃないんですよね…。」
一瞬落ち着いた雰囲気の女性が悲しそうな目をした。
「うん、私は翔くんのお姉さんの來未よ、よろしくね。」
「僕も翔のお姉さんの茉莉だよ!」
「わっ、私は桜です!」
「えっあっ、よろしくお願いします!」
何と言うか、不思議な感覚だ。
自分の姉妹だと言われて違和感があると思ったのだが、実際に会って自己紹介をしただけなのに何故か安心感を感じている。
しかし、やはり姉妹の俺を見る目が異常だ。
なんだかだんだんとギラギラとした眼つきになってきているような…、気のせいだろうか。
「(なんだこの生き物は、翔くんと同じ顔なのに全然別人じゃないか。
記憶をなくす前はずっと無表情だったのにこんなに恥ずかしそうにして…、こんなの反則だ!)」
「(やばいよ~、翔可愛い~。
普段から神秘的な雰囲気だったのに、あぁ…こんなに保護欲を刺激されるなんてっ!)」
「(お兄ちゃんのはずなのに、ぷるぷる震えて仔犬みたいで可愛い…)」
姉妹たちも今までとのギャップによって既に陥落寸前であった。
そろそろ家族回終わらせたい。(願望)