35
夜中のテンションで書いたんで、「うわぁ…」と思われる人が居ると思いますが…。
よくよく考えると、今までのも夜中に書いてたんで問題ないですよね!
※※※
私立上ノ原大学附属高校の校長から突然『通学免除の生徒の一人が特別保護指定を受けセキュリティクラス:イージスに認定されました。』と連絡を受けた。
私はこの国でイージスクラスに認定されている三人に会った事はある…、いや…三人の内二名には直接会ってはいないが。
三人とも私が彼等に感じた印象は男性への気遣いなどの観点から控えめに言って『変人』だった。
この国で初めてイージスクラスに認定された男子、名前は宍喰 夕星
彼はネットではかなり有名な廃人ゲーマーであり。
そんな彼がイージスクラスに認定されたきっかけは国の作った多目的SNS、遊べるて学べるDSNSRPG(ダイブソーシャルネットワークアールピージー)名前はマガハラシオンライン(通称:マガオン:MSO)のアバターを作るときに当時まだそれほど認知度が高くなかった特別保護法を広める為のキャンペーンとして、特別保護指定を受けた男子はレアなアバターでアカウントを作れると広告していたのだ。
様々なオンラインゲームの大会で優勝を重ねてきた彼は最新のMSOとレアアバターに釣られた結果、見事に我が国始めてのイージスクラス認定者となった。
ただ、重度のひきこもりで彼が部屋から出てくるのはもちろん家族ですら彼の部屋に入ることも出来なかった。
食事なども全て無人配達機からでないと受け取らず、過去にカメラ付きの無人配達機で間違って配達してしまった業者は商品を受け取ってもらえないどころかイージスクラスの男子のプライバシーを侵害したと訴えられ危うく倒産に追い込まれそうになった。
※※※
一方その頃、四人目のイージスクラスの男子の様子はというと…
「ねえ黛さん、なんで更衣室とは逆の方向に向かってるのかな?
ねぇちょっと、なんで抱えられてたはずなのに抱え込まれてるのかな?
ちょっと降ろし…って、待って…ヤダ…ピクリとも動かないけどこの腕!
黛さん!?
ねぇ黛さん、なんで全く力が入ってる様に感じないほど優しく抱え込まれてるのに抱えてる位置から全く動けないのかな!?
ねぇちょっと!マユズミサァン!?」
自身の保護官に翻弄されていた。
※※※
二人目は先ほど出てきたMSOと特別保護指定された男子に渡す端末及びその端末から情報を収集し特別保護指定された男子が女性と性行為に及ぶまでの理想的なパターンを作るシステムなどを作った天才…いや、天災とも呼べる男子…片喰 天路
政府に“保護”されるまでは全世界のセキュリティシステムにハッキングを行いセキュリティの虚弱性などを指摘するメッセージを残す“いたずら”を行っていた。
正体が判明したのは政府が特別保護法を制定した後だった、もっとも当時あらゆる方面から信頼されてきた彼が実は全国最大のハッカー集団の正体だと判明したせいで非常に厄介な事になったのだ…。
ただ、彼がハッキングやクラッキングを繰り返した理由や何故“保護”されたのかを尋ねると「本当は“彼”が来るまでの暇潰し兼“彼”が不自由しない様にする為の地ならしってヤツかな、ただあんまりやり過ぎると怒られそうだから程々にして自分が作り出したシステムの最終チェックの為の言わばテスターだね。」と言っていた。
“彼”が誰を指しているのかは結局答えを得る事は出来なかったが…、私は三人目のイージスクラス認定者が“彼”なのではないかと考えている。
そして、彼にも直接会えなかったのだが…。
彼の場合は国に登録されている住所が全くのデタラメだったのだ、登録されている住所にあるのは我が国でもトップの業績を誇る企業の本社ビルが建っており、登録されている階もフロア全てを“サーバールーム”として使われている階の1つだった。
※※※
一方四人目は…
「黛さん…この際、更衣室に向かってない事は水に流そう。
だからさ…ね、話し合おう?
お互いにまだ会ってから数時間しか経ってないんだし、色々勘違いしてると思うんだよね?
だから、さっきから一言も喋ってないから心配なんだよ?
だからね…って、待って…何で窓から校舎を出ようとしてるのかな?
と言うか、この方向は………っは!
ねぇ黛さん!?冷静になって!!ね!黛さんと俺の関係は保護官と保護対象でしょOK!?恋人同士とか将来を約束した仲じゃないっ…、えっ…なにその目付き…えっこわ…えっ、あっ待って無言で抱き締める力増さないで!!歩く速度上げないでぇぇぇ!!」
特別保護指定イージスクラスの男子の悲痛な叫び声がチャイムの音と共に響きわたっていた。
※※※
私が初めて対面した、我が国三人目のイージスクラスに認定された男子こそ聖園 司だ。
彼は我が国の宗教の要である“聖域”を護る聖園家に産まれた初めての男子だ。
聖園家は代々女子しか産まれない家系であり、聖域へ捧げる供物という建前で守護を勤める聖園家への褒美として政権のトップ達の息子を婿に差し出し、宗教と政治のバランスを保つ為の結婚を繰り返されてきた。
この国に存在するあらゆる宗教に対して多大な影響力を持つ聖園家が政治に関与しない代わり、政権のトップが変わる度に聖園家へ婿が差し出されているが。
この事は国民には聖域を護る巫男としての役目を果たす為に聖園家に婿入りしていると言われている。
が…、聖園家に婿入りした男子はその後、表の世界から姿を消す事から『聖域に幽閉され性を吐き出す為だけの生活を送っている』や『聖域のその先には男性が自由に生活し、自身が恋し愛する女性と結婚して幸せに暮らせる楽園に行った。』など都市伝説として語られている。
話が大分それてしまったが、代々女性しか産まれなかったからこそ保たれていた宗教と政治とのバランスが崩れるのを危惧した聖園家は彼を男性としてではなく女性として育てたのだ。
聖園家の婿達と接触しない様に注意しながら女性としての立ち振舞いなどを徹底的に叩き込まれた彼は、12歳の時に将来の婿として迎えられる少年と会うまで自身を女と思っていた。
婿の少年が彼を男だと気が付かなければ彼と結婚し初夜を迎えるまで女性として育てられていたはずだ、婿として聖園家に迎えてしまえば彼の秘密は守られていた。
しかし、婿側の家が彼が男性だと気が付いた時にはもう彼は既に女性として歪みきっており、女性に対して性的に興奮せず男性に対して性的に興奮する様になっていた。
だが、一番歪んでいるのは彼を女性としても男性としても受けとめ受け入れた婿の少年かもしれない…。
その歪みを除けば彼は守護者としてとても優れている、だからこそ特別保護指定にする時に様々な問題が発生したのだが。
そんな、ある意味天才的な才能を持った性格破綻者の三人を思いだし軽い頭痛と目眩に襲われながらも我が国四人目のイージスクラスの男性に会いに行くのだった。
願わくば、四人目こそはまともな男性であってほしい。
※※※
その頃…
「黛さん、まだ今なら未遂だから許されるから…だから降ろしてっ!
どの部屋が良いですか?って、わ~いろんな種類があるんですね~…じゃなくて!
えっ、ここ学校の敷地内ですよね?勢い余って近くのホテルに来ちゃったとかじゃ…。
そっちでも良かったんですかじゃないよ!?ダメに決まってるでしょ!
ちょっ、もう我慢出来ないからソコの部屋に入りましょうって…待ってよく見て使用中って表示が待って器用に足でドア開けないでって…。
アッーーーーー!!」
「キャーーーー!!」
防音設備の整った建物の中に絹を裂くような男性二人の叫び声が響きわたった。
直後、大慌てで駆けつけた弘原海さんと廿楽さんによって極度の興奮状態にあった黛さんは取り押さえられ、俺は貞操の危機を逃れる事が出来たが…。
黛さんは「翔様を丁寧に洗いたい人生だった…」という言葉を残して連行されていった。
休憩室棟…いったいどんな棟なんだ…。
不純異性交遊は学校として推奨出来ないが、子作りは推奨したい結果として、学校の用意した場所で学校に許可を取って“励む”なら不純ではない!というヤツです。