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だいぶ期間開きました!!
お待たせして申し訳ないです!!
10分後、一三さんと俺以外の料理が先に運ばれてきたが、全員が俺と一三さんの料理が運ばれて来るのを待っていた。
先に食べてて良いと言ったのだが…、せっかくの料理が冷めてしまうのが気になるので早く運んできてほしいのだが…。
そんな事を考えていると、厨房の方からカートが二台やってきた。
大量の料理を載せて。
遠目からわかるほど一品一品が大盛りだ、しかも巨大なおひつと思われる物も乗っている。
俺とお母さんと來未姉さんは料理がテーブルに乗りきらない為、別のテーブルに移動した。
サラダ・ミルクスープ・大根と油揚げの味噌汁・大根の金平・ニラと砂肝の炒め物・鮭のチャンチャン焼き・厚切りステーキ4枚・ベイビーバックリブ・リンゴのシャーベット・紫色のスムージー
10品並び、その量に思わず絶句。
そして、おばちゃんが最後に一言。
「おかわりも出来るからね!」
ありがたいが出来る気がしない。
「さて、だいぶ待たせてしまったし…いただくとしようか!
いただきます!!」
一三さんの挨拶でそれぞれ挨拶をし食べ始める。
「いただきます。」
食事は三角食べが基本と言われるが、この場合は何角食べになるのだろうかと。
そんな下らない事を考えながら、結局は一点食べに偏ってしまう。
一三さんは凄まじい勢いで食べているが、全体の動作が早く食べる動作は綺麗だった。
俺はというと、全部の料理を一通り味わっただけで胃袋の限界に達してしまった。
「もう…、無理…出ちゃう…(うぷっ」
「あらあら、翔ちゃん大丈夫?」
お母さんが心配そうに声をかけてくるが、俺の口の辺りに何故。
手でお椀を作ってるんですか?
そして、來未姉さんは何故タッパを貰ってくると厨房に向かうんですか?
それは残ったご飯を持ち帰りする為ですよね、なんで俺をチラチラ見ながら向かってるんですか?
その後、お母さんと來未姉さんが残った分を完食した。
一三さんは最後に食べ終わったがちゃんと完食していた、いったい何処にあんな量が入っているんだとツッコミたくなるほど見た目の変化は少しお腹が膨れている位だった。
食後にのんびりと過ごしていると、ふと思い付いたように一三さんがこの後の事を提案した。
「翔くん、俺のクラスの授業を見学してったらどうだ。」
「良いんですか勝手に決めて?」
「なぁに、プライドを持っている男子は持ってない奴より若干だが優遇されるんだよ。」
一三さんは悪そうな笑みを浮かべ、茉莉姉は困ったように笑っていた。
「そうと決まればさっさと着替えに行くか!!」
「えっ?
いや、見学するとは一言も…と言うか着替えって。」
「ほらほら、男子更衣室はこっちだぞ!」
「あのちょっと!?」
一三さんは俺の腕を掴むとお母さん達を残し食堂を出て男子更衣室へと向かった。
お母さん達に助けを求めるように目で訴えたが、お母さんや姉さん達は微笑ましい物を見るように微笑みながら優しい目を向けてきた、保護官の三人は止めるべきなのか家族が止めないなら止めない方が良いのか判断出来ないようでお互いに目線を交わしながら心配そうにこちらを見ていた。
※※※
一三と翔が食堂から出ていくのを見送った後、廿楽は紗季の側まで行きおずおずと話しかけた。
「白羽様、良かったのですか止めなくて?
翔様は嫌がっていた様でしたが…」
「そうかしら?
まぁ、翔ちゃんには大変かもしれないけど歌枕くんのクラスの授業は見学して損は無いと思うから。」
「どういう事ですか?」
「翔ちゃんは今のままでも充分に魅力的だけど、世の中には歌枕くんみたいな男の子も居るんだって知るのは良いと思うのよ。」
紗季の回りくどい言い方に首を傾げる廿楽を見て楽しそうに笑う紗季、そんな二人を見ながら弘原海は茉莉にこっそり近づき話しかけた。
「ひそひそ(あの歌枕って奴、男子にしてはかなり筋肉質だけど人気あるのか?)」
「ひそひそ(ん~、見た目だけで言うならそんなに人気ではないと思うよ。
ただ、女子に対して威圧的な態度をとらなかったり趣味も女子に近い趣味が多いから、そういう面では人気だよ。)」
「ひそひそ(確かに、翔様も歌枕もあれだけ女子からの視線が集まってもそれほど嫌そうにはしてなかったな。)」
「ひそひそ(確かに、二人とも男子らしくはないかもしれないけど、そこが良いと思うし。)」
「ひそひそ(その、男子らしくない奴の授業が同じく男子らしくない翔様の為になるって訳か。)」
「かもねぇ…(いやぁ…、一三の授業は翔の為にはならないと思うけどなぁ…大丈夫かなぁ…)」
茉莉は自信の恋人が連れていった、最近最愛になった弟の身の心配をし苦笑いを浮かべた。
※※※
一三さんに連れられ男子棟の1階にある男子更衣室まで来た、来る途中で様々な女子から色々な視線を向けられたが一三さんは全く気にする様子もなく俺の腕をグイグイ引っ張りながら歩いていた。
「さてと、次の授業は体育だ!
翔くんも体操着に着替えとくか!」
「いや、着替えとくか!って言われても…俺体操着持ってないですよ。」
「ほら、そこの棚に体操着が置いてあるだろ、それ使えば良い。
基本的に男子は毎回クリーニング済みの体操着を使うんだよ、これも男子の特権だな!
それに、何回も体操着が盗まれたら大変だろ?」
「盗まれたことあるんですか?」
「俺は無いけど、何回かあったらしいぞ。
体操着なんて盗んで何がしたいのやら…。」
その後、なにやら一三さんの変なスイッチが入ったのか女子がたかが布でしかないパンツやシャツに興奮する意味がわからないなど文句を言いながら体操着に着替え始めた。
体操着は元の世界と同じ様なデザインだが、体操着の下にコンプレッションウェアを着るのが普通らしい。
これは、男子の肌を隠すのと体の動きをサポートするのを目的として着ているらしい。
一三さんも着ているが、ウェア姿になったからこそわかるその肉体美。
魅せる為の筋肉ではなく、野生の動物の様な力強さを感じさせる筋肉だ。
「ん、どうしたそんなに見つめて。」
「あ~いや、一三さん筋肉が凄いなぁと思って。」
「…触ってみるか?」
「あ、じゃあ失礼して…」
「えっ…!?
んっ///」
一三さんが何か言おうとしたが、言う前に胸板をペタペタと触る。
「ん…ふっ…くっ…///」
筋肉を触っているだけなのに何故か顔を若干赤らめながら息を漏らしている一三に『くすぐったいのかな?』程度の認識をするが、気にせず今度は胸から腹筋へと筋肉の触感を楽しみながら手を下げていく。
腹筋の硬さを楽しみ、割れ目を指でなぞったりペチペチと軽く叩くと腹筋も楽しんだので今度は腕を触ろうとするが。
「もっ…、もうその位で勘弁してくれ…」
先ほどよりも顔を赤くして息も激しくなって若干涙目になっている一三からストップがかかった。
「もしかして、くすぐったかったですか?」
「いや…、まぁ…そんな感じ…だな…。」
何故か歯切れが悪い返事をしながら頬を掻いて視線をそらす一三、くすぐったかったのが恥ずかしかったのかな?とそれ以上聞こうとはしなかったが。
先ほどまでのやり取りを元の世界で表現するなら、
恋人の妹が自分の胸をキラキラした目で見つめてきたので、冗談半分で触ってみるかと聞いたら触ると即答即行動され、冗談だと言う暇もなく胸を揉みしだかれ、胸を揉まれた後お腹を撫でまわされた。
下心を感じさせないキラキラした目で揉み撫でたので怒るに怒れない
といった所だ。
意図しないところで先ほどの一三からの冗談への仕返しをした翔だが、本人は全く意識していない行動だったので気にした様子もなく体操着に着替え始めた。