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やっと、本編に入れるかな…?
誰かが読んでいる声がする…
「し…ちゃ…! しょ…ちゃん! 翔ちゃん!」
目が覚め声のする方を見ると知らない女性が今にも泣きそうな顔でこちらを見ていた。
『あぁ、ソレはその体の母親だよ、つまり君のお母さん!!
さぁ、感動の対面だよ、泣いても良いんだよ!』
この世界の母親らしい、美人だ。
そして、なにやら神が色々と解説しているが要約すると
・家族は母と姉が二人妹一人居る、ソレ以外は同じ姓だという事しか知らないらしい、家族というか人間自体に興味が無かったそうだ。
『家族とは言っても所詮はその体のってだけだし、僕の家族はもう居ないし。』
・この世界では父親が居ない家庭の方が多い、理由は男が少ない為に精子バンクからランダムに選ばれた精子を使い妊娠するらしい
『まぁ、男性が少ないんだししょうがないよね。』
・男の出生率は神が非常に低くしているらしく10人中3人産まれる位の確率らしいが、実際はそれより低いかもしれない
『コレばっかりはねぇ~、僕でも解決出来ないんだよね!!』
声だけだが、確実にどや顔しているに違いない…
「(どうする…、神から色々聞いたが…)」
「どうしたの翔ちゃん、まだどこか痛むの?」
「(心が痛むが…)すいません…、どちら様ですか…?」
「えっ…?」
「ごめんなさい、自分の名前以外何もわからないんです…。」
「なにも…わからないって…嘘…そんな…まさか…記憶喪失…?
はっ…ははっ…」
今度はお母さんが気絶してしまった、顔が真っ青だ…。
まさか、ここまでの反応をするとは想定していなかった。
しばらくして目を覚ましたお母さんの立ち会いのもと、もう一度精密検査を受けたが…
「検査の結果ですが、記憶に混乱が見られます。ご家族のことが解らないのも一過性のものかどうか……外傷はおそらく転倒した時にぶつけた頭部の傷だけですし幸い少し腫れている程度です。ですが、万が一を考えて定期的に受診頂き様子を見ましょう。」
医者からの話を聞いてさらに顔色が悪くなるお母さん、とりあえず落ち着いて話す為に自宅に戻る事となった。
余談だが、この病院は国内でも数少ない男性専用の病院らしい。
国が運営しているらしく医者・看護師・その他のスタッフの大半は男性が務めているとなっている。
一部の患者はお母さんを見ただけでその場で動けなくなり震えていた、その時は不快感しか感じていなかった。
どうしてそんなに女性に怯えているのか考えずに。
入り口と駐車場でのみ警備員として女性が働いているのを目撃した。
次回、家族回を予定してます。