26
学校までは特に問題なく到着した。
少し弘原海さんからの視線が気にはなったが、出発してしばらくしたら寝てしまった。
昔から、車に乗ると寝る癖があるのだ。
「翔ちゃん、もうすぐ到着するから起きて。」
どうやらお母さんに寄りかかって寝ていたらしく、優しい手つきで頭を撫でながら声をかけてきた。
頭を撫でられるのが気持ちよく、お母さんに甘える様にじゃれつく。
お母さんは優しく微笑みながら撫で続けてくれた。
「ほら、校門が見えてきたわよ。」
前方を見ると立派な門が近付いてきた、車は校門前で止まらずにそのまま通過する。
通過してすぐに事務所と思われる場所の前で警備員に止められた、黛さんが対応するとすぐに通過出来た。
しばらくすると校舎が見えてきた、予想以上に立派な造りだ。
玄関前で車を降りる、黛さんは車を停めに行った。
お母さんに連れられ校舎に入る。
「ようこそ白羽様、お待ちしておりました。」
玄関にはスーツ姿の女性が立っていた。
「ご無沙汰しております校長先生、遅くなって申し訳ありません。」
「いえいえ、男性…しかもイージスクラスの白羽様がお越しいただけるだけで大変光栄な事ですので。」
まさか、校長自ら出迎えをしてくれるとは予想もしなかった…
「それじゃあお母さん、僕達は教室に行くよ。」
「お兄ちゃんまたあとでね~。」
「校長先生おはようございます、茉莉も桜もちゃんと校長先生に挨拶しなさい!」
「「おはようございます!」」
姉さん達が教室に向かった後、保護管の二人も黛さんが戻ってきたのを確認したら保護管待機室で待機していると言って行ってしまった。
流石に保護管とはいえ、学校の中でも付きっきりでいる訳にはいかないようだ…
「それでは私たちも行きましょうか。」
校長の案内で校舎を進み、校長室に案内された。
校長の自己紹介のあと、俺が記憶喪失になった事とイージスクラスに認定れてたという事の確認の話をされた。
何を話せば良いのか悩むと思ったが、お母さんが対応してくれたので俺はほぼ頷くだけだった。
校長が俺の為にこの学校の説明をしてくれた。
「この学校、私立 上ノ原大学附属高等学校は男女共学です。
この学校に在学している男性のほとんどが特別保護指定を受けている男子です、まぁイージスクラスの男性は翔様だけですが…ガラハドクラスの男性も多く在学されてます。
女性は様々な入試試験を合格した女性、スポーツで優秀な成績を収めた女性…、決してお金の力のみでは入学できません。
男性の多くは在学中にそれぞれのプライド…自分が認めた女性のグループを作ります、これは強制されているわけではありませんから安心してください。
翔様は入学と同時に登校免除になられたのでプライドは作られてなかったハズですね…、まぁ翔様と同じように登校免除の方が多いのでプライドに所属されていない女性も多いですね。
確か、茉莉さんはプライドに所属されていましたね?」
「えぇ、同じクラスの男性のプライドに所属していたはずです。
母親として誇らしいです。」
その後はあまり興味の引かれる話は無かったので聞き流してしまった。
「それでは校内の案内をしますね、敷地が広いのではぐれないように気を付けてください。」
説明が一通り終わったあと、校舎の案内をしてくれることになった。