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浮遊図書館の魔王様  作者: るーるー
魔力回復編
93/135

第84話 知らないとこで話が進んでいました。 進め!黒衣の森!③

 

「……どう見てもお菓子の家だよね」

「ね〜? おかしいでしょ?」

「お菓子の家がおかしい。ぷふぅ!」


 唐突に笑い出したアルねぇは放っておく。

 問題は目の前の家だ。

 確かにレキ姉さんの言うとおりおかしい。ここが森でありこんな奥に家があることもそうだがこんな日の当たらない所にお菓子の家が、しかも虫に食べられずに存在していることがおかしい。


「……マーテ、あれって本物?」

「う〜多分、匂いは本物だと思う」

「匂いは?」

「あれが本物なら虫がいてもおかしくないと思うの」


 マーテも違和感には気づいていたみたいだ。

 ここは慎重にって、


「アルねぇ、何してるの!」

「てぇい!」


 一瞬の間にアルねぇがお菓子の家に近づき威勢のいい声を上げながらチョコレートで出来た扉を叩き割った。

 パキンっと良い音を鳴らしながら割れた扉をアルねぇは掴みなんのためらいもなく口に放り込んだ。

 しばらくモグモグと口を動かしていたが唐突に目を見開いた。


「うま!」

「うま!じゃないわアルねぇ!」


 幸せそうな顔をするアルねぇの頭を引っ叩く。

 この人はいつも特に何も考えずに行動する。


「でも、これすごくおいしいんだよ!」

「そういう問題じゃありません! 毒が入ってたらどうするんですか! あと落ちてるものは食べちゃいけません! ペッてしなさい! ペッて!」

「オレは犬扱い⁉」


 アルねぇが信じられないといった目をこちらに向けてくるが無視。

 どうやらアルねぇを見ていると毒はないみたいだけどそれでもこのお菓子の家が怪しいのはかわらない。


「……魔法ですよね? これ」


 さすがに自然に作られたとは思わない。なんらかの魔法で作られたと考えないと腑に落ちない。

 少なくとも私の読んだ本にはこんな魔法はなかった。


「うまうま〜!」

「あら、美味しい」

「なんで食べてるの!」


 考えているとマーテとレキ姉さんが至福と言わんばかりの笑みを浮かべながら壁を破壊し食べていた。


「だってアルが食べてから様子見てたけど体調が悪くなる様子は見られないし食べても問題ないと思うんだけど?」

「アルねぇね胃袋を基準にしちゃだめよ! 賞味期限が一年喰らい切れてるの食べてもケロっとしてるのよ⁉︎」


 あの時は一口食べたたけでアルねぇ以外の姉妹は身動きが取れなくなって大変な目にあった。


「それでもこのお菓子の家は大丈夫だと思うよ?」

「……その根拠は?」

「美味しそうなお菓子に罪はないよ!」

「聞いて損したよ!」


 お菓子とか料理とかの話になるとマーテはおかしくなる。

 しかし、お菓子を食べる手をレキ姉さんとアルねぇは全く止めることがない。それどころかより一層お菓子の家を破壊していく。

 すでにお菓子の家は見る影もないほど穴だらけだ。


「ヒッヒッヒッヒッヒ、 人様の家を食い散らかすのはどこのドイツだい? いや、ドイツは滅んだんだったか? いや、別の世界のはなしだったか? いやだよ。歳をとったら記憶が……」


 突然、上から声をかけられ慌てて上を見上げたけどその瞬間にはすでにレキ姉さんが剣を振りかざし声の主を切り裂こうとしている所でした。


「やだね!やだね! なんでも力尽くで解決しようとするのは」


 そう声の主が喋るのが聞こえると同時にレキ姉さんの剣が虚空を斬る。

 斬るべき敵が消えたことに驚いたレキ姉さんとレキ姉さんが切り損ねたことに私たちは驚きを隠せなかった。


「なんでも力尽くはいけないよ? まずは話し合いから始めないと」


 後ろから話しかけられ驚く。

 慌てて振り返るとお菓子の家の壁にもたれ掛かるようにとんがり帽子を被りローブを着た小柄な老婆が立っていた。


 攻撃が空振りに終わったレキ姉さんが着地し、剣を構え警戒しながら私たちの前に出る。


「……あなたは何者です?」


 私も警戒しながら尋ねます。すると老婆は愉快そうに笑う。


「ヒッヒッヒッヒッヒ、見てわからないのかい?」


 そういう怪しい衣で立ちをしている老婆の姿をマジマジと見る。

 怪しげなとんがり帽子、真っ黒なローブ、手には巨大な木で作られたであろう怪しげな杖。


「その姿はまさか……」


 絵本や御伽噺によくでてくる悪い奴代表的な、


「魔……」

「そう! 錬金術師さ!」

「「「「魔女じゃないのかよ!」」」」


 錬金術師? の言葉に私たち四姉妹は一斉にツッコミをいれた。

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