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浮遊図書館の魔王様  作者: るーるー
魔力回復編
92/135

第83話 知らないとこで話が進んでいました。 進め!黒衣の森!②

 


黒衣の森に入って早二時間。すでに私・ビリアラはうんざりしていた。

 まずベタベタする。湿度が高すぎて肌がベタベタするのだ。


「……帰りたい」

「ぐすっ、ドラゴン狩るまで帰らないんだから!」


 泣きながらもやる気満々のマーテには悪いんだけど、すでに私にはやる気が全くなかった。

 黒衣の森の奥は樹々が覆い茂っており全く光の差し込まないような樹海と化していたのだ。結果、地面は日に当たることがないため泥となっており踏むたびに靴が沈む。


「レキ姉さんやアルねぇみたいにできたらいいんだけど……」


 そう言いながら上を見上げるとレキ姉さんとアルは木から木へと軽々と飛び移り移動していた。あれなら泥の被害にも合わないからね。

 マーテと私もしようとしたけど私は飛び移れたけど、マーテはあっさりと飛び移った木から転げ落ちた。

 そのためマーテと一緒に私が泥上の地面を歩く羽目になったのだ。


「うう、ベタベタする」


 横を見ると泥だらけのメイド服を着たマーテが泣きながら歩いていた。


「だからやめようって言ったのに。あなた、魔王様よりはマシだけど運動できないんだから」


 マーテの運動能力は獣人種の中ではかなり鈍臭い分類に入る。周りに人間が多いためにわかりにくいが今のように獣人種だけになるとかなりわかるのだ。彼女の名誉のためにいうと何もないところで転ぶ魔王様よりはマシである。


「ねぇ、ビリアラ」

「なに?」


 頭上の木の上にしゃがみ込んだアルねぇが私に話しかけて来た。木屑が頭にかかるからちょっと移動して欲しい。


「あとちょっと先に行った所に変なのがある。レキ姉さんが見張ってる」

「変なの?」


 この森の大分奥にある物で変なもの? 全く見当がつかない。


「とりあえず、急いで来て」


 そう言うとアルねぇは再びピョンと跳ね、樹々を渡り先に進んでしまった。

 なんならマーテを背負って行ってくれれば早く行けたんだけど。


「……仕方ない。マーテ私の背中に乗って」

「うい」


 マーテが背中に乗るとべちゃりと泥がメイド服に着いたが仕方ない。この子をここに放って行くわけには行かないし。

 マーテをしっかりと抱え跳躍、二度、三度と大樹を蹴り太い枝に登る。


「行くよ」

「うい」


 マーテの返事を聞き脚に力を入れさらに跳躍。

 前方の木に向かい飛び移り、さらに飛ぶ。

 タイミングがずれると泥沼に真っ逆さまだから微妙に慎重に跳躍を行う。

 同時に後ろにペシペシと何かが当たるような音が耳に入る。


「あ痛! 痛い!」


 マーテが痛がる声を上げたため後ろを振り向くと私は躱している枝が物の見事にマーテの頭や顔面に直撃しているようだった。


「ビリアラ! 絶対わざとでしょ!」

「わざとじゃないわよ」


 そこまで、悪質かつ陰湿なことを妹にはしない。

 紙魔法(ペーパークラフト)を使うと足場もろとも切り裂きそうで怖い。というかここまで湿気が強いと紙を一度紙魔法(ペーパークラフト)に使えば湿気で使い物にならなくなりそうなのでいざという時のために温存しときたいんだ。

 やがてアルねぇに追いつき並ぶと私を確認したアルねぇは前方を指差す。

 それを確認すると同じくらいに空間が開け、足場となっていた木がなくなる。

 そのため広がった空間に着地する羽目になったが泥が跳ねることはなかった。

 踏みしめたのは泥状の地面ではなくしっかりとした地面だった。

しっかりとした足場のためマーテを地面に下ろす。


「あれなんだけどね〜ビリアラ」


 気の抜けるような声を出してはいるが全く警戒を怠らないレキ姉さんが前方に視線を向ける。


「……なにあれ?」


 樹々がなく広々とした空間の真ん中にあったのはお菓子の家だった。

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