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浮遊図書館の魔王様  作者: るーるー
暴走編
88/135

第79話 ライブラリ防衛……?いや殲滅完了しました

 


 ファイヤーゴーレムくんが腕の一振りで発生さした炎の壁は時間にして一分もしないうちに消失した。

 炎の壁が消え、目の前に広がるのは真っ黒な野原と黒焦げになり炭のような黒い塊となった所々に転がったゴブリンがゴブリンの死骸だけだ。

 この灰とか農地に蒔いたら肥料にならないかな? でも下手に蒔いたらまた怒られそうだし聞いてからにしよ。

 周囲に山のようにある灰を見ながらそう考える。

 先程までの騒がしさが嘘のように周囲はとても静かだ。

 少し周りを警戒しつつ焼け野原と化した大地を踏みしめ前へ進む。後ろにはファイヤーゴーレムくんがついてきている。

 ざっと見た感じ三キロ位は所々から煙が上がっているが地面は完全に真っ黒だ。

 生き物がいる気配は全く感じられない。

 耳を澄ますと本当に音が聞こえない事を考えるとレキとアルも殲滅が完了したのだろうし。


「さて、マーテ抱えて帰るかな」


 やることなくなったし帰るしかないしね。

 焼け野原と化したのから現実逃避してるわけじゃない。

 後ろを振り返らずに逃走しようとすると爆音と共に後ろの地面が吹き飛んだ。

 驚いて前のめりに倒れ鼻を打った。地味に痛い。


「な、何事!」


 鼻を抑えながら後ろを振り返るとほとんど溶けてしまった鎧を身にまとった一つ目の黒い巨体がこちらを睨んでいた。


「まさか、これがよく本に出てくるサイクロプス⁉︎」


 本の挿絵とかで見たことはあるけど全然違うな。

 明らかにゴブリン達とは別格だ。全身が筋肉の塊みたいだし大きさも三メートルはあるだろう。

 しかし、左腕からは煙が上がっており肘から先はなかった。

 片腕を失ったサイクロプスは血走った目をこちらに向け持っていた槍を突き出した。

 すでに発動していた結界が攻撃を受け止めたがなんか揺れてるのがわかる⁉︎


「HIGAAAAAA!」


 咆哮をあげながらサイクロプスは槍を振り回す。こちらも結界で防ぐが衝撃までは殺せないので弾き飛ばされ真っ黒な地面をゴロゴロと転がる。砂が口に入って気持ち悪い。

 インドア派のわたしは強化魔法をかけてなかったら常人以下の身体能力だからサイクロプスの攻撃が全く見えないし。

 おそらく死にかけなのだろう。動きがキレッキレである。

 まぁ、わたしの前にはゴブリン大量殺戮犯であるファイヤーゴーレムくんがいるから全く怖くないわけなんだけど。

 ファイヤーゴーレムが突き出された槍を掴むと瞬時に蒸発⁉︎ 溶けすらしなかった。いや、なんでわたしが転がされるの見黙ってたし。

 そんなわたしの胸中など知らないサイクロプスが驚きに目を見開いき、熱しられ溶けた槍を手放した時にはファイヤーゴーレムくんの拳がなんの抵抗もなくオークの腹を溶かしながら突き破った。


「gya……」


 弱々しい声をだしながらもサイクロプスが倒れた時の音はなかなかにうるさかった。

 続いて額に汗を滲ませたレキとアルが姿を見せた。

 よく見ると必死に走ってきたのか二人共息が乱れまくりだし、メイド服はゴブリンの返り血で紫色に染まってるし。


「魔王様、遅くなりました」

「ました!」

「あ〜いいよ、楽にしてて」


 焼け野原と化した地面に膝をつこうとするのをとめる。服汚れちゃうし。


「これはサイクロプスでしょうか⁉︎」


 レキがわたしの前に転がる胴体に穴が空いたサイクロプスの死体を目に止め驚いたような声を上げた。


「そうだよ?」

「サイクロプスはランクB相当の冒険者でも返り討ちにあうことがある魔物ですよ?」


 ということはわたしはランクBくらいの強さはあるということかな? 倒したのはわたしじゃないんだけどね。

 後ろを振り返るとすでにファイヤーゴーレムくんの姿はなかった。使っていた魔力が尽きたのか。強いけどなかなかに燃費が悪い。


「思ったより早かったな〜」

「なにか?」

「あ〜魔法の話だよ」


 頭の上に疑問符を浮かべたレキだったがわたしが説明しないのでアルと一緒にマーテの方へ向かうわたしの後ろを着いてくる。


「なぁ、レクレさま」

「なにアル?」


 残りの魔力で三人の次元魔法ムーブでライブラリに戻るとなるとギリギリだな。


「そこから先の街道どこ?」


 アルの言葉に慌てて振り返ったわたしが見たのはプッツリと途切れた街道と広大な焼け野原だった。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ! 創造魔法クリエイトゴーレム!」


 わたしは悲鳴を上げながらゴーレムくんを作り出した。ゴーレムくんなら道を作れるはず!

 ゴーレムくんが作られるのを見ているとまた魔力が抜けていくのがハッキリとわかり目の前が暗くなってきた。


「なに……これ?」


 地面がなんか近づいてきたなぁと思った時にはわたしは地面にキスして気を失ったのだった。

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