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浮遊図書館の魔王様  作者: るーるー
暴走編
67/135

第59話 教会が動きました①

長編再開です

 ポンパドゥール教会。


 女神ポンパドゥールを崇めるファンガルム皇国を含む中央大陸で信仰されている二大宗教の一つだ。

 中央大陸のいたるところに教会を建てているため各国の有力貴族とも繋がりがある。

 そのためいたるところに情報を掴む糸が張り巡らされているのだ。

 その糸にかかった情報が中央大陸での信仰を集めている教会に激震を走らした。


「ファンガルム皇国が魔王を名乗る者たちに半壊させられたそうです」

「いや〜勇者まけちゃったわ〜アッハッハッハ」


 教会の中、大神殿の一番奥、神降りの間になんとも軽い若い女の声が響く。

 女は下着とも言えるような踊り子じみた服を着、褐色の肌を晒しながら全く恥ずかしがる素振りを見せずただ楽しそうにケラケラと笑う。

 その褐色の女に数人の白い修道服をきた者たちが跪いていた。


「いや、そんな軽く言われましても」


 最前列に跪く高齢の男が額に玉のような汗を流しながら呟く。その周りには同じように汗を流す男や女が同じように跪いていた。


「女神ポンパドゥール、貴方の選んだ勇者が倒されたのですよ?」


 そうこの褐色の肌をした女こそポンパドゥール教会の信仰の象徴。女神ポンパドゥールである。

 しかし、その存在を知るものはかなり少ない。


「いやだって、彼、アリフォンだっけ? 私に対する信仰度ゼロじゃん? そんなのが恩恵受けてもたかが知れてるじゃない?」


 自身が力を授けた勇者の名前すら間違えるポンパドゥール。

 女神が授ける勇者の力とはその勇者が力を授かった女神をどれほど信仰していたかで左右されるのだ。そのためポンパドゥールの言葉通りなら勇者アリオンは最低限の恩恵しか授かっていないことになるのだ。


「ならば、なぜあのような者に恩恵を授けたのです! おかげでファンガルム皇国より抗議文がきています!」

「はぁ? そんなのしらないよ。勇者だって必勝じゃないのはみんな知ってるでしょ? それに恩恵を授けたのだって面白そうだからにきまってるじゃん」


 高齢の神官は歯をギリっと噛みしめる。

 確かに勇者は必勝ではない。更には勇者をファンガルム皇国に向かわしたのは教会の一部の独断に過ぎないのだ。

 これにより教会は遺憾ながらファンガルム皇国に負い目を作ってしまったのだ。


「ファンガルム皇国からの抗議文はどうするのです」

「そんなのはおじいちゃん達に任せるよ? 私興味ないから」


 ポンパドゥールは自分を信仰する神殿、民すら眼中にない。

 これがこの女神を人前に出さない理由。

 それは愉快犯すぎるのだ。

 ただ、楽しいから恩恵を与え、ただ楽しいという理由で簡単に見捨てる。そして欲しいというだけで手に入れる。

 そのため教会としては彼女を『愉悦の女神ポンパドゥール』を表の顔として大々的に使えないのである。

 使ったが最後、この女神は自分の愉悦を満たすためになんでもするだろう。

 それが例え人類が滅びかける一歩手前までいくことであっても。

 こんな女神を人々の前にだせば信仰など集まるはずなく、それどころか人々は離れていくだろう。


「まぁ、勇者ならまた聖女に信託下ろしたらいいじゃない」

「神聖な儀式である信託をそんな軽く扱わないでください!」

「あ、それより聞いて聞いて! 今度新しくはいった聖女すっごいかわいいのよ! もう初心な感じが堪らないのよ!」

「おねがいですから私たちの話を聞いてください!」


 神官達の苦悩など全く考えず『愉悦の女神ポンパドゥール』の楽しげな声と涙ぐんだ神官達の声が今日も大神殿に響き渡っていたという。

女神の名前はなかなかに気に入っています


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