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浮遊図書館の魔王様  作者: るーるー
国獲り編
38/135

第三十八話 第一階層 マーテ頑張りました①

 

 浮遊図書館が地上に降り、門が開いた瞬間冒険者たちは我先にと言わんばかりに雄叫びを上げながら走り出す。

 城門をくぐった彼等周りに咲く花々にも目をくれず移動する。

 ガシャガシャと大きな音を立てながら移動する冒険者の前に巨大な扉が姿を現す。


「いくぞ、野郎ども! 報酬をとりによ!」


 指揮をなんとなくの形でとることになったのは暁の旅団と呼ばれる二百人もの冒険者で構成されるパーティーのリーダーのフランクである。


『おお!』


 雄叫びを上げ、冒険者が巨大なる扉を押し開けるとかなり大きなフロアが見えた。その一番奥には階段が見える。


「とつげうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 扉を開け一歩踏み出した瞬間幾人もの冒険者の姿が消える。


「なんだ⁉︎」


 目の前で消えたことにたたらを踏んだ冒険者だが後ろにいる冒険者には見えず後ろから押されることになる。


「おい、押すな! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 再び消える冒険者。

 さすがに後ろから押されるのは止まり不気味な沈黙が広がる。


「盗賊だ! 盗賊を前に出せ! トラップが仕掛けられてるぞ!」


 フランクが声を上げると各パーティーから盗賊が前に出てくるとトラップがないかを調べ始める。

 盗賊達が調べた結果、扉を開けて一歩目の所に落とし穴が仕掛けられていた。それも結構な大きさだ。


「他にトラップは?」

「わからない。反応が多すぎる」


 盗賊は額に汗をかきながら答えた。そこいら中に罠の反応がありそれが本物か偽物かわからないらしい。


「……このまま盗賊を先頭に進むぞ」

「了解」


 冒険者同士で連携をしながら進もうと考えたその時、コツコツという音が聞こえたためそちらに警戒しながらも視線を向ける。

 音の発生源は階段の横から現れたメイド服を着、魔法のカバン《マジックバッグ》を背負った少女だ。耳をピコピコとさし、怯えた表情でこちらを見ている。


「よ、ようこそ、おいでくだひゃぃま、痛!」


 口を押さえうずくまる少女に何かの攻撃かと全員が身構える。


「いひゃくない。痛くないわ、マーテ。あなたはやればできる子よ」


 うずくまりブツブツとなにかを言う少女を警戒しながらも盗賊が解除した足場を踏み、広間へと入る冒険者。


「よ、ようこそ、おいでくださいました。第一層担当のマーテといいます」


 そういうとマーテは深々とお辞儀をする。

  冒険者は毒気を抜かれたような表情を浮かべ周りと顔を合わせる。

 可憐ではある。だが、怪しすぎると。


「こ、この第一層はわた、わたしのしかけたトラップでいっぱいにしときました。五分以内に階段にたどり着かないと……」


 マーテはそこで言葉を区切るとガタガタ震え出し泣き出した。


「いろいれどたいへをなごどになりましゅ」


 途中から涙声だった。

 なにをされるんだろう、という不安が周囲に蔓延する。


「で、では始めます」


 ビクビクしながらもマーテは背負って魔法のカバン《マジックバック》を階段に降ろす。そして小さな砂時計を取り出し置く。サラサラと砂が落ち始める。

 次にマーテが取り出したのは小さな球体だった。

 球体を持ったマーテに緊張が走る。

 冒険者達が各々武器を強く握りしめ、備える。


「で、では行きます!」


 マーテは球体を握り振りかぶると、


「てぇぇぇぇい!」


 思いっきりぶん投げた。

 マーテの放り投げた虎ばさみ? は真っ直ぐと冒険者の男に向かい飛んで行った。

 しかし、対したスピードではない。


「はっ! こんなもの」


 フランクはすかさず背中の剣を抜き、一瞬で球体を切り捨てるべく剣を振るう。


 ボン!

「え?」


 まず、フランクは剣を振り切った。確かにマーテの放り投げた球体を断ち切った。

 球体は真っ二つにわれ中から赤い煙が立ち上がった。

 それが男の顔面を覆った瞬間、


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ! 目がぁぁぁぁぁぁ!」


 眼を押さえながら転がり回るフランクの絶叫がひびきわたった。

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