第十五話 貴族会議しました
「あの書類が世に出ればファンガルムは終わりだぞ」
薄暗い暗闇の中に男の声が響く。
「ファンガルムがというかフ貴族三十二門の大半が、だかね」
「まあ、間違いないのは今この場にいる者は全員捕まるということでしょうね」
「違いはない」
何人もの煌びやかな服を着た貴族然とした者達がテーブルを囲んでいた。
「それで、盗んだ者の目星はついてるのか?」
「それが全く、ただ、どこにあるのかはわかっている」
「どういうことだ?」
「二日前にフィンガルド全域で起こった現象を覚えているかね?」
「本が空に浮かぶ城に吸い込まれていったというやつか?」
「ええ、何分危ない橋を渡る書類ですからね。それなりの保険をかけていましたから」
「というと、魔法か」
「はい。場所がわかるように探知魔法を掛けていましたから」
「ほほう、で、書類の場所は」
「今、副都で一番、注目されてる場所、浮遊城ですよ」
「ならば奪還は不可能ではないか!」
「いえ、それがですね。どうも地上に降りて来てるみたいなんですよ。浮遊城」
室内がどよめく。
「つまり攻め入ることが可能ということか」
「あの浮遊する魔法の仕組みを解明すれば莫大な富が」
全員が好き勝手に話をすすめる中、パンッと手を叩く音が響き、皆がその音の発信源に視線を向ける。
そこには一人、他の者達と違い一際存在感を放つ初老の男が座っていた。
「ならば、まずはこちらの貴族から使いを出し例の書類を返す意思があるかどうかの確認を行う。宣戦布告などは行わずあくまで交渉だ」
「ならばその役、私にお任せください」
「ふむ、バァース子爵か、ではそなたに任せる」
「はは! 任を全うして見せます」
礼をした貴族の男の口調には自信、そして口元には獲物を狩る喜びを浮かべた笑みが浮かんでいた
「その後、騎士団、冒険者ギルドを使い、浮遊城探索のクエストを依頼する。これでどうだろう」
「それでよろしいかと思います」
一人が立ち上がり、胸に手を当て礼をする。すると周りの貴族達も立ち上がり同様の礼をとった。
その姿に男は満足そうに頷く。
「よし、では皆、行動に移せ。ファンガルムのために」
『ファンガルムのために!』
貴族という、国の中核がゆっくりと動き始める。
書き方わからないのでノリで書くかつ短いです